【499号】静電気のバチッ!とサヨナラしたい

冬場になると起こりやすい静電気。車のドアや家のドアノブなどに触れた時に感じる「バチッ!」という痛みは嫌ですよね。そこで読者スタッフが、静電気のメカニズムや発生を抑えるための対策について、静電気に詳しい東海大学の岡野大祐教授に聞きました。

空気の乾燥が原因 工夫次第で軽減も

静電気は、物体がもともと持っている電荷(電気の量)のプラスとマイナスのバランスが、摩擦などの力が加わり、崩れることで起こるといいます。「プラス・マイナスのバランスが崩れた状態で電気を通しやすい物体に触れると、偏ったバランスを元に戻そうとして電気が流れます。これが静電気です」と岡野教授。

冬場に静電気が発生しやすいのは、空気が乾燥することが原因だそうです。岡野教授は「電気は、湿気が多いと水分を通して大気中に流れていきますが、少ないと逃げ場がなくなります。そうした状況で、電気が通りやすい金属などの物体に触れると一気に放電が起こります」と説明します。

静電気ショックは完全には防げませんが、日常のちょっとした工夫で、抑えることができるそうです。今回紹介した対処法をぜひ実践してみてください。

測定器を使って摩擦帯電量を調べる読者スタッフの平川友紀さん(左)と藤原睦美さん
※帯電=物体が電気を帯びる現象

お話を伺ったのは

東海大学現代教養センター・同大九州教養教育センター兼務 教授・工学博士
岡野 大祐さん(65)

1999年九州東海大(現・東海大)教授に就任、現在に至る。静電気や雷保護について研究。著書に「解明カミナリの科学」「現場でわかるノイズ対策の本」など


試してみて! 家庭で手軽にできる 3つの静電気対策

(1)静電気を水分で大気中に逃がす

静電気を、水分を使って大気中に逃がす方法です。車のドアやドアノブなどに触れる前に、ミストタイプのスプレーボトルに入れた水道水を手のひらに吹きかけます。難しい場合は、水で手を洗ったり、ウエットティッシュで拭いたりするだけでも一定の効果が期待できます。

(2)静電気ショックを分散させる

物質間の接点を複数設けることで、1カ所の静電気ショックを分散させて和らげる方法です。電気は、先が尖った物に集まりやすい性質があります。例えば、指先よりもショックが少ない手のひらを使って触れることで、静電気ショックが緩和されます。

(3)静電気が体内にたまるのを防ぐ

衣類で発生する静電気を抑えつつ(下のQ&A参照)、水分を通して静電気を空気中に逃し、体内にたまるのを防ぐ方法です。水分子は電気を受け取りやすい性質があるため、加湿器などを使って湿気を多くすることで、体内の静電気が逃げやすい環境をつくります。

※静電気の感じ方は、その時の状況などによって個人差があります


教えて! 教授

読者スタッフが、静電気に関する素朴な疑問を岡野教授にぶつけてみました。

Q.人によって、静電気が起こりやすい、起こりにくいはありますか?

A.

子どものように、皮膚の水分量が多い人は電気が抜けやすく、静電気が起こりにくい傾向があります。


Q.身近にある物で静電気対策として有効なのは?

A.

革製の手袋は静電気ショックを直接防ぐ効果が期待できます。革自体に保水性があり、手の水分も吸収するので、電気の逃げ場をつくってくれます。


Q.静電気が起こりにくい服装ってありますか?

A.

基本的に、木綿や絹など天然素材はプラス、ポリエステルなど人工素材はマイナスの電気を帯びやすい性質があります(表参照)。プラスとマイナスを重ね着すると静電気が起こりやすい状態になってしまうので、プラス同士、マイナス同士の素材を組み合わせて着るのがお勧めです。


Q.ガソリンスタンドにある静電気除去シートの効果のほどは?

A.

電気を逃がす働きがあります。4~5秒間触れていれば、体内にたまった電気がおおよそ抜けてしまうので、一定の効果は期待できるでしょう。


取材を終えて

(藤原さん)

自然素材と人工素材を一緒に着ることで静電気が発生しやすくなるという事実は衝撃的でした。今年の冬は、静電気対策を考えながらコーディネートを楽しみます。

(平川さん)

自分の帯電量の多さにびっくりしました。教えてもらった対策を全て実行して、この冬は“静電気レス”を目指したいと思います。