【502号】すぱいすフォーカス – 良い年に… しめ縄に思い込めて

令和になって初めてのお正月を迎えます。そろそろ準備を始める時季です。家の玄関などに飾るしめ縄もその一つ。ところで、どうしてしめ縄を飾るのでしょうか。由来やその意味は? 早速、調べてみました!

なぜ、しめ縄を飾るのか

年の瀬になると、大掃除をしたり、門松やしめ縄、鏡餅を飾ったりとお正月を迎える準備を始めます。これらは、全て年神様という新年の神様を迎えるためのもの。かつての日本人は、さまざまなものに神が宿ると考え、家の農具や民具にも年越しの飾りをする風習がありました。しめ縄は、家の内に災いをもたらすものが入らないよう、そして空間を清らかに保つための境界線とされています。

【しめ飾り】

しめ縄を縁起物などで装飾したもので、左ひねりがしきたり。豊作を願い、わらで編みます。


大しめ縄に復興と五穀豊穣を願う

阿蘇 一の宮

初詣に出かける神社でもしめ縄を見かけます。阿蘇神社のしめ縄は、「一の宮町大注連縄伝承会」が毎年制作し、奉納しています。メンバーは、70〜80代の男女19人の氏子たち。作業は、稲刈りが終わる9月ごろから本格的にスタートします。古い稲わらで作っておいた芯を、専用の機械で柔らかくしたもち米の稲わらで包み、糸で編んで縄にします。この縄3本をより合わせ、フサを付けて完成です。

現在は、仮拝殿用などに長さ3・4mのしめ縄を制作。地震前は7mの大きなものを楼門用に用意していたそう。「阿蘇の復興を祈りながら作っています」と特別顧問の小代勝久さん。「今年は、お盆前の稲の受粉に大切な時期に台風が来た影響で、米の品質が良くなかった。来年は自然災害が少ない年であってほしい」。阿蘇の復興と新しい年の五穀豊穣を願って、今年もしめ縄作りが行われます。

「一の宮町大注連縄伝承会」5代目会長
古澤 義則さん

阿蘇神社からの依頼で1985年ごろ発足。今年10月、「エイジレス・ライフ実践事例及び社会参加活動事例」として内閣府より賞状と盾が贈られました。「4年後に復旧する楼門に立派なしめ縄を奉納できるように、しっかりと技術をつなぎたい」

「よいしょ、よいしょ」の掛け声と一緒に、6人がかりで縄をよります

稲わらの下葉を取り除き茎だけを残す作業「ワラすぐり」

20回以上繰り返される稲わらを柔らかくするための作業。下準備にも手間をかけます

週2回の作業は12月下旬まで続きます

「みんなで食べる昼ご飯はおいしい」。ムカゴご飯や炊き込みご飯をお代わりしながら会話も弾みます

地震後に作られた阿蘇神社の仮参拝所。拝殿は2021年に再建される予定


クリスマスから飾る かくれキリシタンゆかりの正月飾り

天草 河浦町今富

一年を通して玄関などにしめ飾りを飾る風習がある天草地域。一説には、江戸幕府のキリスト教禁教政策で弾圧が激しかった時期に、信者ではないと示すための儀礼が今に残ったものともいわれています。

世界遺産になった天草市河浦町﨑津集落の山手にあり、禁教政策が解かれた後も独自の信仰の仕方を守り続けた今富集落では、農家に伝わる「幸木(さわぎ)飾り」と、信者ゆかりの「臼飾り」が伝承されています。川田富博さんは、「先祖が守ってきた伝統を受け継ぎ残したい。今は、宗教というよりも一年を振り返りながら、その年の収穫に感謝し翌年の豊作を願って準備しています」と話します。2つの飾りは、クリスマスの時季から1月7日まで飾られます。

今富集落に残る正月飾りを伝承する
川田 富博さん

天草市河浦町今富に生まれる。10年前から叔父の川嶋富登喜さんと一緒に集落に残る正月飾りを伝承。「この土地に残るたくさんの歴史、文化、伝統を次の世代に伝えたい」

五穀豊穣や無病息災を願い稲わらを束ねた脇にダイコン、ニンジン、農機具のくわなどをつるす幸木飾り(写真の上部)。臼飾りは、逆さにした臼の上に3本のきねを組み合わせて置き、十字架に見立てます。マリア様へ供えるご飯と煮しめは臼の中に隠します

(撮影は2018年12月23日)