【509号】疲労をためない習慣

すぐに疲れる、休んでもなかなか疲れが取れない…ということはありませんか。 疲れの原因はさまざまですが、そのメカニズムを知って、疲れをためない習慣を身に付けましょう。


これでスッキリ! 疲れをためない、たまった疲れは取る!

疲れをためない、または疲れを取るために、日常生活で実践できる方法を、日本赤十字社熊本健康管理センターのスタッフに聞きました。


疲れは心身の限界を知らせるアラーム

文部科学省の疲労研究班が2004年に行った調査によると、日本人の56%が疲れを感じていて、その半数を超える人が慢性疲労に悩んでいることが明らかになりました。

そもそも疲れとは、対人関係の悩みや仕事の忙しさ、睡眠不足などによって、心にストレスを感じたり肉体的に負担がかかったりした結果、心身に限界が来ていることを知らせるアラームです。この疲れを感じるメカニズムには、自律神経の働きが関わっています。自律神経には心身を活発にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経があり、心と体に負担がかかることで交感神経が優位な状態が続くと疲れを感じるようになるのです。

疲れが蓄積すると、体がだるい、朝起きるのがつらい、眼精疲労、肩凝り、頭痛、集中力の低下、腰痛などさまざまな不調が起こります。疲れのアラームが発せられたら、まずは睡眠を取るなどしっかり休養し、副交感神経を優位にして自律神経のバランスを整えることが大切。しかし、何かに熱中し、気持ちが高ぶっているときは、疲れのアラームに気付かず突然体調を崩すこともあるので、無理のし過ぎは禁物です。睡眠時間はもちろん、食生活や運動など生活習慣を見直して、常日頃から心身のケアを心掛けましょう。ただし、休養しても疲れが長引く場合は、病気が隠れていることがあるので、内科医に相談しましょう。

湯船につかってリラックス

疲労回復にはシャワーだけではなく湯船につかるとより効果的。38〜40度のお湯につかると、血行が促進され心身共にリラックスできますよ。

スマホの使用は寝る2時間前まで

スマートフォンやパソコン、タブレットなどのブルーライトは、交感神経の働きを活発にさせるため、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下して疲れの原因に。スマホなどの使用は寝る2時間前までにしましょう。

寝酒はしない

寝る前にお酒を飲むと交感神経が優位になるため、寝付きは良くても眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすく、脳も体も十分に休めなくなります。

お話を聞いたのは

地域産業保健課 保健師
東 由依さん


食生活

食べ過ぎや食事を抜くのはNG

疲れと食生活には密接な関係があり、栄養が偏るとエネルギー不足になって自律神経のバランスが崩れ、疲れやすくなります。

食事を抜くのはもちろん、食べ過ぎもNG。ストレス解消に甘いものや好きなものばかりを食べ過ぎるのは、かえって疲れを招くもと。食べ過ぎを繰り返すと栄養が偏り、疲れを感じるだけでなく、イライラする、集中力が低下する、だるくなるなどの症状が出るほか、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の原因になることも。また、常におなかいっぱい食べていると、腸内環境のバランスが崩れて胃腸の不調につながります。

疲れをためない、引き起こさないためには、日頃から栄養バランスの良い食事を心掛けることが大切です。

良質のタンパク質を取る

タンパク質が不足すると、筋肉が減り体力や抵抗力が落ちて疲れやすくなります。鶏肉や牛ヒレ肉、魚介類、大豆製品など、良質のタンパク質を含む食品を取りましょう。

規則正しい食生活を

朝・昼・晩の3回、きちんと食事を取りましょう。特に朝食は体内時計を整え、一日の活動をスタートするスイッチになります。

酸味を利用する

梅干しや酢、かんきつ類などに含まれるクエン酸は、体内の疲労物質を取り除く働きがあります。

主食は減らし過ぎに注意

炭水化物は脳のエネルギー源。不足すると、集中力の低下やイライラにつながり、認知症の発症リスクも高まります。

水分を小まめに取る

脱水は疲労のもと。1日約1.2Lを目安に、1回につきコップ1杯程度の水を飲みましょう(150〜200mlの水を1日に8回程度)。

ビタミン・ミネラルを取る

緑黄色野菜に多く含まれるビタミン・ミネラルは、疲労回復に効果的です。

お話を聞いたのは

健康栄養課 管理栄養士
嶋田 けいさん


一日に必要な食事量の目安は 手ばかりで

自分の手のひらに載る量が適切な食事量です。手のひらを量りに見立てると、一日に必要な食事量と栄養バランスが分かりますよ。

ごはん

両手に収まる大きさの茶わんに1杯×3食。取り過ぎ、減らし過ぎに注意。

メインのおかず

魚・肉・卵・豆腐は、両手に入る程度。魚や肉は、手のひらの厚み程度に。

野菜

両手3杯(加熱した場合は2杯)程度、たっぷり食べましょう。さらに、海藻やきのこ類をプラスして。

果物

こぶし1つ分

イモ・トウモロコシ

こぶし1つ分

牛乳・乳製品

ヨーグルト200gまたは牛乳200mlなど、いずれか1種類。


運動

不活動時間が長いと筋力低下で疲れやすく

睡眠以外で、座ったり寝転がったり何もしない時間(不活動時間)が長い人は、筋肉量が減って血液循環が悪くなり、筋肉が硬くなって疲れやすくなります。生活習慣病のリスクも上昇。さらに筋力低下により姿勢が悪くなることで、肩凝り、腰痛、膝痛を引き起こすこともあります。

激しい運動は疲れが残りますが、ウオーキング程度の運動を定期的に行うと、心肺機能が強化され、筋肉量の保持・強化につながります。姿勢も良くなって血流が促進され、疲れにくく、疲れても回復が早くなります。適度な運動は自律神経を整えるのにも効果的。家事や仕事をしている際も時々、おなかやお尻に力を入れるなど、筋肉を刺激して筋力アップを目指しましょう。

疲れに効く簡単ストレッチ

大きな筋肉を刺激することで血流が促進され、疲労回復につながります。

のび〜る体操[5セット]

あおむけに寝て、両手・両足が上下に引っ張られるイメージで、息を吐きながら5~10秒伸ばす。

いったん息を吸って、息を吐きながら膝を抱えて10秒キープ。息を吸って吐きながら元の姿勢に戻る。


両手・両足ぶらぶら体操[2〜3セット]

あおむけに寝て、両手・両足を上に上げ、力を抜いて手首と足首を15~20秒ぶらぶらさせる。


大腿(だいたい)裏ストレッチ[左右 各3セット]

椅子に浅く座り、片方の足を伸ばしてつま先を立てる。そけい部に手を当てて背中を伸ばしたまま、息を吐きながら上体をゆっくり前に倒し5~10秒キープする。反対の足も同様に行う。


肩甲骨ストレッチ[左右 各3セット]

体の前で腕をクロスさせ手の甲を合わせる。

肩甲骨を広げるイメージで、息を吐きながら肘を前方にできるところまでゆっくり伸ばして5~10秒キープ。息を吸いながら元に戻す。

背中の後ろで手を組んで、胸を張るように息を吐きながら両腕を後ろに伸ばして5~10秒キープする。

※(1)・(2)は手を左右入れ替えて同様に行う。

お話を聞いたのは

健康支援課 健康運動指導士
山口 真由美さん


取材協力:日本赤十字社熊本健康管理センター

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