【551号】2020 今を楽しむ 未来に備える 30代、40代からの親子で考えるセカンドライフ

「セカンドライフを心豊かに過ごしたい」。そんな意欲的な人たちと、その子ども世代に向けて、今を楽しむコツと未来に備える方法をテーマごとに伝えるシリーズ「セカンドライフ特集2020」。第2回は、相続と終活、スマホ入門、消費者トラブルについてお伝えします。〈次回は2月掲載予定〉

いざというときに慌てないために知っておきたい 「相続」Q&A[Part2]

「相続」と聞いても、まだまだ先の話と思っている人も多いと思います。ただ、「相続」が現実問題となってみると、限られた日時の間にさまざまな手続きが必要となります。できれば親子が元気なうちに、じっくり話し合っておくと安心です。「相続」に対する質問に、上田祐輔弁護士に答えてもらいました。

話を聞いたのは

上田法律事務所 代表
上田 祐輔弁護士

相続が“争族”にならないよう、事前に情報を共有しておきましょう


[Q1]「相続」と聞いてもピンときません。どのようなことが必要になるのでしょう。

A

親族が亡くなった場合、通夜から葬儀、四十九日の法要などの供養を行う家庭が多いと思いますが、家族を見送る傍らで、さまざまな手続きも同時に行わなければなりません。例えば、世帯主が亡くなった場合は14日以内に、住民票の世帯主変更届の提出、また年金や健康保険の関連手続き等も必要になります。

このような手続きを行いながら、相続に関しては、まずはどのような財産があるか、その財産をどう分割するか、故人の遺言はなかったのかなどをくみ取りながら手続きを行います。相続を放棄する場合は、亡くなったことを知った日から3カ月以内に手続きが必要です。また、亡くなった被相続人に一定の所得があった場合は、相続人が亡くなった日から4カ月以内に所得税や消費税の納付をしなければなりません。

さらに亡くなった方に一定の財産がある場合は、亡くなった日から10カ月以内に相続税の申告をすることが必要になることもあります。これらを全て、相続が必要になってから行うとなると、分からないことが多かったり、もめ事に発展したりすることもあります。できれば、家族が元気なうちに、相続についての話をしておくと安心ですね。

※緑色部分は、事前に話し合いができます。この機会に話し合ってみましょう


[Q2]「相続」について話し合う際、まずどのようなことから始めればよいですか?

A

案外、夫婦や親子の間柄でも、どの銀行にいくら預けているのか知らない、不動産や株などについても、内容を把握していないという家族が多いようです。まずはどのような財産があるかを把握するところから始めてみましょう。意外と本人も忘れていた通帳が出てきたり、逆にあるはずと思っていた書類が見つからなかったり、記憶がはっきりしている間に整理ができるはずです。

財産の整理ができたら、それをリスト化してみましょう。(1)どこの銀行にいくら貯金しているか (2)不動産の概要 (3)株式の取引先─などをパソコンで一覧にしておくと、財産目録として活用できます。


[Q3]遺言書の作成について、気を付けることはありますか。

A

遺産を分割する際にまず優先されるのは、被相続人が、残された方にどのように遺産を分割したいかということです。遺言書がない場合は、法定相続分に従った分割協議をするのが一般的です。中には、法定相続人以外の、例えば、「愛情を持って介護をしてくれた息子の配偶者にも分け与えたい」という(※1特別寄与料)方もいらっしゃるかもしれません。このような場合は、遺言書で遺産を分け与えた上で、その理由などを書いておけば、法定相続人にも理解が得やすくなると思います。

また遺言書を書いたら、保管場所を伝えておくことを忘れずに。前回のこの特集(9月11日付)内でもお伝えしましたが、今年7月から遺言者本人による申請があれば、法務局での保管が可能です。

※1「特別寄与料」とは・・・

相続法改正に伴い、2019年7月から開始した相続については、相続人以外の親族(被相続人の子どもの配偶者など)が、介護や家業などに献身的に貢献した場合、特別寄与料として請求できるようになりました。


[Q4]将来、両親が認知症になることも考えられるので、今からできることはありますか。

A

認知症などによって自己の行為について判断する能力が低下し、正しい意思表示ができなくなることがあります。これらをサポートする制度として、成年後見制度があります。

この制度は大きく次の2つに分けられます。

(1)法定後見制度=認知症などにより判断能力が不十分になった後、法律に従って後見人を指定するもので、家庭裁判所が選定する。

(2)任意後見制度=将来認知症などになってしまうことに備え、事前に後見人になる人を定めておくもので、本人が選任する。

前者は、家庭裁判所が選任するため、家族以外の人が財産を管理することもあります。一方、任意後見制度の場合は、本人が選定するため、親族や仲の良い友人などを選任することもできます。ただこの場合も、本人が認知症になり、任意後見人の効力が発生した後は、家庭裁判所が選任した監督人のもと、本人に代わり契約などをすることになります。

選任された人に、預貯金の管理や不動産の処分などの法律行為を代行してもらうのですから、周りに頼れる親族がいない方などは、将来的なことまで早めに考えておくと安心ですね。


[終活編]〜よりよい、豊かな人生へ向けて「終活」を考える

最近よく耳にする「終活」という言葉。一般的には、自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための準備や、そこに向けた総括を意味するものだそうです。具体的な考え方や、実際どのようなことをすればいいのかを、セルモ熊本本社玉泉院総館長の田丸裕太さんに聞きました。

「終活」は、これからの人生ビジョンを 明確化する前向きな活動です

終活と聞くと、葬儀やお墓について話し合う、死に向かう準備のように思っている方も多いのではないでしょうか。「もちろん葬儀をどうするかなどを考えておくこともその一つですが、相続や介護、医療の選択が必要になったらどうするか。供養の方法などに加え、これまでの人生を振り返りつつ、残された人生をどう過ごしていきたいのかを考える機会と捉えてほしい」と田丸さんは話します。

家族にとっては、本人が寝たきりになって意思表示ができなくなった際、できるだけ本人の思いに沿った最期を迎えてほしいと思うもの。「終活は、残された家族が迷ったり、困ったりしないための活動でもあるのです」

また、「本人にとっては、自分自身の人生を振り返ることで、これからをどう過ごしたいのか。人生のビジョンを明確化することにもつながります」と田丸さん。終活は、よりよい人生を送るための明るい活動なのです。「終活を実践することで、何げない日常や家族のありがたさを感じてもらえればいいですね」とほほ笑みます。

家族が迷ったり、悩んだりしないために

遺影写真
  • いざ葬儀になったときに、良い写真がないというケースも多い。元気なうちに撮影し、お気に入りの写真を家族と共有しておく。

介護・医療など
  • 医療現場で意思表示ができない状況になったときに、延命措置をするか、しないかの決定を家族に委ねるのではなく、自分で決め意思を伝えておく。
  • 認知症になり、自己判断ができなくなった際、施設を使用するか否かを話し合っておく。
  • 相続する遺産のリストを作っておく。
  • 葬儀はどうするか(費用や場所)、どのような人に知らせるかを伝えておく。

本人の意思が分からないと、家族のもめ事に発展してしまうことも!


[終活 その1]エンディングノートを書いてみる

遺言書は、法的強制力はありますが、いざ準備するとなると、少しハードルが高いと感じる人も多いようです。まずは、大切な人に自分の思いを伝えるエンディングノートを書いてみましょう。エンディングノートは、家族に残す最後のラブレターです!

エンディングノートとは…

自分の人生を振り返り、人生の棚卸しをしてみましょう。何歳で就職して、何歳で結婚して、子どもが何歳で生まれた・・・など。一つ一つを書き出したら、その時、自分がどんな思いだったかをつづってみましょう。また自分の葬儀をどうしてほしいか、供養の方法なども、希望があれば書いておくといいですね。

エンディングノートを書く際のpoint

point(1)

鉛筆書きをして、定期的に更新をしていく

point(2)

エンディングノートの存在を家族に伝えておく

point(3)

死期が近づくと話がしづらくなるので、元気なうちに取り掛かる


[終活 その2]動画や手紙などで、家族への思いを伝える

声で思いを伝えられる動画のほか、手紙などで思いを伝えてもよいでしょう。このようなものがあると、大切な人の死に直面した家族のグリーフ(悲嘆)ケアにもつながります。


[終活 その3]供養に関して話し合ってみる

どこに納骨するか、どのような納骨の方法があるのかなど、供養に関しても調べておくといいですね。最近は、墓を管理する子孫がいないため、墓じまいをして遺骨を永代供養墓に移すことを希望する方が増えています。

最近は、墓を作らずに樹木の下に埋葬する樹木葬や海洋葬のニーズが増えています


[オンライン活用編]スマホで広がる新しい生活

「スマートフォン(スマホ)」と聞くと、若者が使うもので操作が難しいというイメージが先行し、敬遠している高齢者も多いのではないでしょうか。しかし、スマホは機能を理解し使い方をマスターすれば、家族や友人と気軽にコミュニケーションできたり、趣味を充実させたりすることができます。そこで、ソフトバンク・スマホアドバイザーの宮崎翔子さんに、活用法などを聞いてきました。

調べ物や趣味、テレビ電話… やってみると意外に簡単!

これまでスマホを敬遠している高齢者も、「まずは、家族のスマホを操作してみたり、お店に行って実際に触ってみたりすることから始めてみましょう」と宮崎さん。1カ月もすれば、次第に操作にも慣れてくるそうです。

特にスマホは「画面が大きく、指の操作だけで拡大もできるので、シニア向き」なのだとか。使用方法を説明する際は、分かりやすいように、なるべく専門用語は使わず、「ここを指でスーッとなぞるように」「親指と人差し指で同時に画面にタッチしたまま指をビヨーンと開くと拡大できます」など、実際にスマホを使いながら解説しているそうです。

最初の操作の壁を越えさえすれば後は簡単。テレビ電話で孫との会話を楽しんだり、インターネットで調べ物をしたり、ゲームを楽しんだりと使い方は無限に広がります。はじめの一歩を踏み出して、楽しいスマホ生活をスタートさせましょう。


Aさん(60代・スマホ歴1年半)の使用例

最初は操作方法の違いに戸惑いましたが、慣れると、案外簡単でした。分からないことがあると、スマホアドバイザーに相談し、その都度解決しています。携帯電話は連絡手段でしたが、スマホは用途が多いので断然楽しさが広がります。

よく使う機能

Youtube

趣味のギターや水彩画の動画を見て、弾き方や描き方を手本にして練習に活用。散歩中に音楽を聴くときにも使用しています。

LINE

孫の誕生日に趣味のギターに合わせ夫婦でバースデーソングを歌う動画をプレゼント。友人との連絡もほとんどLINEを使っています。


スマートフォンは自分仕様の道具箱

スマートフォンは、従来型の携帯電話(ガラパゴス携帯=ガラケー)とは全く別のものと考えましょう。ガラケーは、電話機にすでに入っている通話やショートメールなどの機能を使いますが、スマートフォンは、自分が使いたい機能(アプリ)を選び、それを入れて使う“自分仕様の道具箱”です。必要ない機能は削除することもできます。

(1)シニアによく使われている機能

地図

地図を開くと、自分の現在の位置が表示されます。また行きたい場所の住所を入力すると、現在地から目的地までの経路や情報を提示してくれるので、旅行先でも便利。

天気予報

気になるタイミングで天気予報を調べられます。また雨雲の動きも約半日先まで確認できます。

写真

カメラを持たなくても、サッと気軽に撮影できます。写真だけでなく、動画も撮影可能です。また、文字が小さくて読めないものでも、撮影し画面上で拡大して見るなど、メモ代わりとしても活用できます。

LINE

メールアドレスを入力せずに、メッセージや写真、動画を送ることができます。


(2)シニア世代が直面するスマホの落とし穴

操作方法

操作は、指でやさしくタッチ。携帯電話のボタンのようにしっかり押す必要はありません。銀行のATMのタッチパネルをタッチするように操作しましょう。

不審なメール

身に覚えのない不審なメールは開かず削除しましょう。


教えてくれた人

ソフトバンク光の森北郵便局前店 スマホアドバイザー
宮崎 翔子さん

通信キャリアの携帯ショップでは、無料のスマホ教室を開催しているところもあります。ソフトバンクの場合、スマホアドバイザーという専任のスマホの使い方を解説するスタッフがいます。事前に予約が必要ですが、どなたでもご利用可能です。お気軽に相談にお越しください。


[消費者トラブル編]防げ 高齢者の消費者トラブル

近年、高齢者の資産を狙う悪徳商法や詐欺が後を絶ちません。そこで、熊本市消費者センターの西武志さんに、熊本市で起こったトラブルの実例のほか、家族や地域の人たちが高齢者をトラブルから守るためのポイントなどを教えてもらいました。


Q. 熊本市内で実際にあった被害は?

高齢者を狙った悪質商法の中に、貴金属を強引に買い取る「押し買い」があります。「不要な靴や古着を買い取り、外国の貧しい子どもたちに送る活動をしている」などと電話をかけて高齢者宅に上がり、そのうち貴金属を探させ、とんでもない安価で買い取り、転売するのが手口です。買い取り業者が「貴金属を見るまで帰らない」などと威圧的な態度を取るので、特に高齢の女性の場合は、恐怖心から従うしかなくなるようです。


Q. なぜ高齢者は被害に遭いやすいの?

一般的に、高齢者は【健康】【お金】【孤独】という3つの不安(老後の3Kともいう)に駆られやすく、その不安をあおるよう、言葉巧みに高齢者をだますのが詐欺師のやり方です。

一方、被害に遭った高齢者は「家族に怒られるだろう」と相談しなかったり、「自分が悪い」と諦めたりすることもあります。中には、何度も家を訪問する詐欺師を「親切な人」と思い込み、だまされたことに気付かないケースも。

万が一のためにも、家族間で相談しやすい関係をつくっておきましょう。


Q. 被害を防ぐには?

たとえ家族と同居していても、日中1人で留守番をしている高齢者が被害に遭うこともあります。家族や周囲の人が見守りを行い、トラブルを防ぎましょう。


[Point]「クーリング・オフ制度」を正しく活用!

訪問販売や電話勧誘販売などの場合、契約書面を受け取って8日間以内は契約を解除できる「クーリング・オフ制度」が適用されます。しかし、悪質な業者は、書面を交わすことはおろか、正しい連絡先を教えずに契約を進めることもあり、制度の利用が困難な場合もあります。また、店頭やネット販売での購入のほか、フリマアプリなど個人間の売買には適用されません。すべての契約に「クーリング・オフ制度」が適用されるわけではありませんので制度を正しく理解して活用しましょう!


トラブルに遭ったら、まず電話を!

お問い合わせ

熊本市消費者センター

TEL
096-353-2500
営業時間
月~金曜(祝日、年末年始は除く) 9時~17時

教えてくれた人

熊本市消費者センター
西 武志さん

地域の敬老会などで、消費者トラブルを防ぐポイントをお伝えする出前講座も行っています。詳しくはお問い合わせを!