【564号】ななみ先生と浦田先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A[2021 春]

就職、転勤、転居…。春は生活環境が大きく変わるシーズンです。これからの家計管理や暮らしについて、あれこれ考えを巡らせている方も多いでしょう。今回は住居費用を中心に、日々の生活に関わる“お金”の情報について、本紙「家計簿チェック」でおなじみの佐藤ななみさんと浦田幸助さんに聞きました。
ファイナンシャルコーチ
佐藤ななみさん

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
https://kakei773.com

佐藤ななみさん

ファイナンシャルプランナー
浦田 幸助さん

浦田幸助FP事務所所長。個別相談への対応やセミナー開催など、活動は多岐にわたる。ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャルプランニング技能士。
https://www.sfpmoney.jp/


上手な家計管理のために 「固定費」にきちんと向き合って

あなたはどのように家計を管理していますか? 比較的ゆとりがある人から、「ひたすら倹約あるのみ」という人までさまざまだと思いますが、あらゆる人に共通する家計管理の原則は「収入の範囲内で生活すること」。まずはこれが基本です。

ところで、家計の支出費目は、家賃や保険料、ローン返済など、毎月決まった金額を支出する「固定費」と、食費や水道光熱費、日用品費など、やりくり次第で金額が変わる「変動費」に分けられます。そして多くの人が“やりくり次第”の性質に従って、変動費をどうにかしようと頑張りがちです。しかし、そこで苦労する前に、一度きちんと向き合っていただきたいのが固定費の方です。なぜならば、過大な固定費はやりくりの工夫を水の泡にしてしまうからです。

中でも住居費は、金額も大きく生活に不可欠なもの。人生の土台ともいえる重大な計画のヒントをお伝えしたいと思います。

1 住宅取得にかかる諸費用 土地・建物以外に必要なのは?
2 住宅ローン年間返済額の目安 「年収の○%以内」は本当?
3 「ZEH」について知りたい メリット・デメリットは?
4 ZEHの住まいを検討中 補助金制度について教えて


住宅取得にかかる諸費用 土地・建物以外に必要なのは?

Q.

住宅取得の際、土地・建物の代金以外に諸費用が必要と聞きました。物件価格の数%~10%前後が目安だそうですが、金額にするとかなり高額になります。どんな費用があり、何のために必要なのかを知りたいです。

A.

住宅取得のための“諸費用”には、「物件取得のため」「住宅ローン借入のため」「登記のため」に必要な費用と、「入居前後の必要経費」があります。

【物件取得のため】
印紙税…「売買契約書」および「建築工事請負契約書」を交わす際、収入印紙の貼付が義務付けられています。
消費税…業者から購入する建物代金に課税。土地代と、個人から建物を購入する場合(中古住宅など)は非課税。
仲介手数料…売買を仲介した不動産業者の手数料。

【住宅ローン借入のため】
事務手数料…金融機関に支払う事務取扱手数料。
保証料…保証会社に支払う手数料。借入時に一括で支払う方法と、金利に上乗せする形で月々支払う方法、また不要な場合もあります。
印紙税…「ローン契約書(正式には金銭消費貸借契約書)」を交わす際、収入印紙の貼付が義務付けられています。

【登記のため】
登録免許税…不動産の所有権を公にするために行う「移転登記」「保存登記」と、住宅ローン借入条件の一つである「抵当権(債務不履行となった場合に備え、物件の売却代金で優先的に弁済を受ける権利)設定登記」の手続きの際に納める税金。
司法書士報酬…登記手続きの代行を依頼する司法書士に支払う手数料。

以上のほか、入居前後の経費として、火災保険や地震保険の保険料や、新築の場合は水道加入金も必要です。また、住宅取得から数カ月たつと都道府県から不動産取得税の納付書が届きます。新居のインテリア購入や引っ越し代、ご近所へのあいさつにもある程度のお金がかかりますね。

諸費用の内訳、ご理解いただけましたか? 住宅取得時は必ず予算に含めて計画を進めてくださいね。(佐藤)


住宅ローン年間返済額の目安 「年収の○%以内」は本当?

Q.

マイホーム計画を進めています。何かの記事に「住宅ローンの年間返済額は年収の25%以内に」とありましたが、現在の計画だと超えてしまいそうです。こだわりを捨てて予算を削るべきでしょうか。

A.

住宅費に限らず、よくある「〇〇費は〇%」などの数字が気になる人は少なくないようです。こうした情報は、一つの目安にはなるかもしれませんが、絶対視することには危うさを覚えます。お金の使い方は、収入や資産残高、年齢や家族構成、また価値観によって異なり、同じ人でも変化するのが当然。重要なのは「わが家にとって最適なバランス」を常に図ることです。一般論にとらわれ過ぎると思考停止に陥りかねません。

ところで、住宅ローン借入の際、金融機関が融資限度額を算出する際に用いる尺度の一つに“返済負担率”があります。これは、収入に対する借入金の返済額が一定割合を超えると回収が困難になるとして、住宅ローン以外の借入金も合わせて計算するものです。上限割合は金融機関や年収によって異なりますが、30~35%程度とされていることが多いようです。

本題の住宅予算の件、人生観に即したこだわりや、長い目で見た合理性に照らして投資する価値を明らかにした上での予算なら、むやみに削るものでもないでしょう。そもそも住宅資金は高額かつ長期にわたるもの。現在の収入に対する比率だけで最適解を出せるほど単純ではありません。真に最適なバランスを見いだすには、この先のあらゆるライフイベントと、変化し続ける収支を想定した上で計画する必要があります。これには、家計・金融・年金・保険・税など幅広い知識が欠かせません。包括的に対応できる専門家に相談されることをお勧めします。(佐藤)


知っ得情報

「保証料」って何?

諸費用の中に含まれる「保証料」とは何でしょう。お金を借りる際、保証人が必要な場合があることはご存じかと思います。住宅ローンでは、この保証人の代わりに保証会社と契約し、対価を支払って返済の保証を請け負ってもらう仕組みがあります。このときの対価が保証料です。

たまに団体信用生命の保険料と混同される方もおられますが、まったくの別物です。(佐藤)


「ZEH」について知りたい メリット・デメリットは?

Q.

ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、簡単に言うと「家庭で消費するエネルギーよりも創り出されるエネルギーの方が多く、家計にも環境にも優しい住宅」のことです。ZEHには、「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの条件が求められています。

A.
主なメリット
  • 使用する電力を最小限に抑えつつ(高断熱・省エネ)、太陽光発電のシステムによって自宅の電力を創り出すこと(創エネ)で、光熱費を抑えられる。
  • 室内の温度を一定に保ちやすいため、ヒートショックや熱中症などの防止につながり、快適な環境になる。
  • 認定住宅としての優遇減税を受けやすく、「フラット35S」の金利優遇や、ZEHならではの補助金を受けることができる。
主なデメリット
  • 従来の家よりも省エネ・創エネ設備が必要となりコストがかかる。ZEH化の費用は一般的に250万~300万円程度。
  • ZEHの基準を満たすために、外観デザインや窓の大きさ、間取りに制限が出ることも。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新しい生活様式として在宅勤務が普及していくと、住宅のエネルギー消費の増大が見込まれます。そのため、ZEHは今後ますます重要になってくると思われます。(浦田)

(経済産業省資源エネルギー庁ホームページを基に作成)


ZEHの住まいを検討中 補助金制度について教えて

Q.

ZEHを導入しようと考えています。設置費用に対する補助金制度があるそうですが、詳しく教えてください。

A.

2021年度の補助金制度はまだ発表されていませんが、20年度と同程度になると思われます。20年度の補助金については、表のように、「ZEH」「ZEH+」「ZEH+R」の3つのグレードに合わせて補助金が用意されています。

ZEH+は、スタンダードなZEHの省エネ性能をさらに強化するとともに、再生可能エネルギーの自家消費を拡大した住宅が対象。「次世代ZEH+」は、ZEH+の要件を満たした上で、蓄電システムなどを導入したものです。

ZEH+Rは、ZEH+に加え、停電時、主となる居室での電源確保や、蓄電システム、太陽熱利用温水システムなどの導入によるレジリエンス(災害対応力)を強化したものです。また「先進的再エネ熱等導入支援事業」は、地中熱ヒートポンプ・システム、液体集熱式太陽熱利用システム、蓄電システムなどを導入する場合に補助金が支給され、ZEHやZEH+の補助金と併用できます。

いずれの場合も、補助金を受けるには、エネルギー合理化事業の支援団体「一般社団法人環境共創イニシアチブ」に登録のZEHビルダー/プランナーが建設に関与している必要があります。(浦田)

※「α」は、蓄電など設置するシステムによって変わる。「Nearly ZEH」や「Nearly ZEH+」は、太陽光による発電量が不利なエリアでも、要件を緩和してZEHとして認めるというもの。「ZEH Oriented」は、都市部の狭小地で、発電量があまり見込めない住宅でも、太陽光発電以外の要件を満たしていればZEHとして認めるというもの


知っ得情報

グリーン住宅ポイント

国の新たな住宅取得支援策として昨年12月、「グリーン住宅ポイント」制度が創設されました。一定の省エネ性能を持つ住宅の新築やリフォームなどに対し、商品や、特定の追加工事と交換できるポイントが付与されるもので、2021年10月31日まで(予定)に契約を結んだ人が対象です。

新築ZEH住宅の場合、40万ポイント+要件によって最大60万ポイント(計100万ポイント)を取得できます。(浦田)