【577号】ななみ先生と浦田先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A[2021 夏]

私たちの生活と切っても切れないのが“お金”という存在。日々の暮らしを営んでいくためには、この大切なお金と上手に付き合っていかなければなりません。本紙「家計簿チェック」でおなじみの佐藤ななみさんと浦田幸助さんに、住まいと暮らしにまつわるお金の情報について聞きました。
ファイナンシャルコーチ
佐藤ななみさん

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に、家計・住宅資金・保険・資産運用・終活に関する個別相談業務やセミナーを展開中。YouTubeチャンネルでもお金の情報を分かりやすく発信。
https://financialcoach.jp/

佐藤ななみさん

ファイナンシャルプランナー
浦田 幸助さん

浦田幸助FP事務所所長。個別相談への対応やセミナー開催など、活動は多岐にわたる。ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャルプランニング技能士。
https://www.sfpmoney.jp/


お金と上手に付き合っていくために 生活への多様な視点とバランス重要

梅雨まっただ中ですね。これから秋にかけて、大雨や台風などによる自然災害が発生しやすい季節を迎えます。万一の際にも被害を最小限に抑えることができるよう、何より身の安全をしっかりと確保できるよう、あらためて住環境を整えておきたいものです。また、いざ被害が発生した場合に備え、火災保険や預貯金など資金面を整えておくことも非常に重要です。

備えるといえば、不測の事態だけでなく、教育・老後資金をはじめ、ライフプラン上のさまざまなイベントに対する準備も欠かせません。最近では資産形成の手段にも選択肢が増え、「iDeCo=イデコ」(個人型確定拠出年金)や「NISA=ニーサ」(少額投資非課税制度)など優遇税制を活用した少額からの投資も急速に普及しています。

お金と上手に付き合うためには、あらゆる角度からの視点とバランスが重要です。この夏押さえておきたい情報をお届けします。

1 マイホームを検討中 購入予算で考慮すべき点は?
2 子ども・子育て支援の新制度 主な内容について教えて
3 資産運用に興味 投資の基本を知りたい
4 住宅ローン付帯の保険 どんなものがあるの?


マイホームを検討中 購入予算で考慮すべき点は?

Q.

マイホーム購入を検討しています。住宅ローンは「4000万円まで」を条件に、物件の選定を進めています。月々の返済負担や残高の推移も確認して決めた予算です。他に見ておいた方がよい点はありますか。

A.

金額設定の根拠が不明なので、「4000万円まで」が妥当かどうかは何とも言えません。予算設定の前提がもし、物件価格や借入額だけに注目したものでしたら、他にも重要な視点があることをお伝えしておきましょう。

住宅にかかる費用には、物件価格や各種手続き費用など、取得時に必要なもの(イニシャルコスト)と、固定資産税や火災保険料、経年劣化に伴うメンテナンス費用など、維持管理のため継続的に必要なもの(ランニングコスト)があります。イニシャルコストが一般的に千万単位であるのに対し、ランニングコストは、個別には十万、百万単位と、幾分少なめには感じます。しかし侮ってはいけません。支出していく金額を積み重ねると、千万単位に上ることも十分にあり得るのです。

マンションの場合でしたら、建物共有部分のメンテナンス費用として修繕積立金を徴収されるため、当初から資金計画に組み込まざるを得ないともいえます。しかし戸建て住宅の場合は、百パーセント自分で行わなければなりません。必要なメンテナンスの内容や周期、金額は、住宅の素材や工法によっても差が大きいため、候補物件別にリサーチしてください。

後々、資金繰りに行き詰まったり、当初の予算を抑えたつもりが逆に高く付いたり…という事態とならないためにも、住宅資金は「生涯経費」の視点で計画してもらえたらと思います。(佐藤)


子ども・子育て支援の新制度 主な内容について教えて

Q.

妊娠や子育て、教育費など子どもにかかる費用や休暇について、サポートのための新しい制度がいろいろとあるようですね。それぞれの内容を教えてください。

A.

子ども関連の法律や制度は、毎年のように改正されます。今年対象となるいくつかの制度を紹介します。

(1)子どもの看護休暇改正(育児・介護休業法)…子どもの世話が必要な労働者が、事業主に申し出ると、1年度につき5日(子ども2人以上の場合は10日)を限度に、休暇を取ることができます。

従来は、1日または半日を単位とした取得に限られていましたが、改正により、今年1月から、時間単位での取得が可能となっています。

また改正前は、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者については、半日単位での休暇取得は認められていませんでした。しかし、これらの労働者についても時間単位での取得が可能になりました。

(2)不妊に悩む方への特定治療支援事業の拡充…政府は、来年4月からの不妊治療保険適用を計画しており、それまでのつなぎとして、不妊治療の助成が拡充されることになりました。金額や回数、所得制限などに変更があります(表)

(3)教育資金の一括贈与を受けた場合、一定の条件を満たせば1500万円まで非課税になる制度…適用期限が、2023年3月31日まで2年間延長されることが決まりました。(浦田)


知っ得情報

教育資金の一括贈与の特例

直系尊属(父母や祖父母)が30歳未満の子や孫に対して、教育資金に充てるために金銭を贈与し金融機関(子や孫名義の口座)に預け入れなどをすると、受け取る側1人当たり、原則1500万円まで非課税になります。

ただし、贈与した人が死亡した場合は、子や孫が学校に在学中などを除き、その死亡の日において、教育資金に支出せず残っている金額が相続財産に加算されるため、注意が必要です。(浦田)


資産運用に興味 投資の基本を知りたい

Q.

資産運用に興味があります。預金では利息は期待できませんし、周りで始めている人は結構利益を出しているようです。とはいえリスクの高いものは怖いです。投資の基本を教えてください。

A.

一口に「資産運用」と言っても方法はさまざま。投資対象や手法によってリスクの種類や大小、期待できる収益も異なり、結果は全て自己責任です。取り組むなら丁寧に学び理解する必要があります。ここで全体を語れるほど単純なものではありませんので、入り口として、金利の基本について紹介します。

例えば、100万円を1%の利率で5年間運用するとします。このとき「100万×1%」で1年当たり1万円の利息が付き、それが5年繰り返されるので計5万円を受け取ることができる…というのが「単利」という方法です。

利息の付き方にはもう一つ「複利」という方法があります。1年目では単利と同じく1万円の利息が付きますが、このとき受け取った利息を元金に足した101万円を新たな元金とし、2年目はこの101万円の1%を受け取ります。さらにこれを前年の残高に足して…を繰り返すと、結果は表の通りとなります。

金融資産の運用においては「複利」で計算するのが一般的ですが、元金が同じとき、利率が高いほど、期間が長いほど資産が増えることはイメージしてもらえると思います。ちなみに、月1万円を30年間コツコツ積み立てると、合計360万円になりますね。この間、複利で運用を続けた場合、利率1%なら資金は約420万円に、3%なら約583万円に、6%なら約1005万円になります。参考になれば幸いです。(佐藤)


住宅ローン付帯の保険 どんなものがあるの?

Q.

住宅ローンを組む際、「団体信用生命保険」という保険への加入が条件になると聞きました。また、一定の病気になると住宅ローンが保険でカバーされるものもあるそうですね。それぞれ、どのような保険ですか。

A.

団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンの契約者が死亡したり、高度障害状態になったりした場合、残っている住宅ローンを保険金で返済するものです。団信はもともと多くの金融機関で加入が原則となっており、保険料は金利の中に含まれています。

最近は、三大疾病・七大疾病保障付きなど保険付きをうたった住宅ローンが数多く登場しています。三大疾病はがん(上皮内がんを除く)、急性心筋梗塞、脳卒中の3つ。七大疾病は、これに、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変が加わります。

一般的な保障内容は、がんと診断されたり、急性心筋梗塞や脳卒中にかかり、その状態が60日以上続いたりしたときに住宅ローンがゼロになるなどです。

保険料の支払いは、(1)借入金利に0.25~0.40%上乗せされる(2)毎月の返済額に保険料が追加され口座から引き落とされる―のいずれかです。一部の金融機関では保険料負担なしで保障を付けているところもあります。

ただし、この契約をすると、原則として途中で解約ができないため、長期にわたって上乗せされた金利で返済を続けることになり、注意が必要です。また、あくまで住宅ローンの返済が終わるまでの保険であり、一般の医療保険の代わりにはなりません。

従って、加入するかどうかを決める際は、現在入っている保険も含めてよく検討する必要があります。(浦田)


知っ得情報

借入金の金利は?

金利差が大差をもたらすのは資産運用だけではありません。さらに注視したいのは借入金の金利です。

例えば、クレジットカードのキャッシング金利は一般的に18%程度。ここに100万円の残高があるとき、1カ月分の利息額は1万5000円です。この金額は、金利1%の住宅ローン1800万円の残高に対して負担する利息と同額です。

「〇%」は必ず「〇円」に換算した上で活用する必要があると思います。(佐藤)