今回教えてくれるのは「佐藤ななみさん」

さとう ななみ

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に、家計・住宅資金・保険・資産運用・終活に関する個別相談業務やセミナーを展開中。YouTubeチャンネルでもお金の情報を分かりやすく発信。
https://financialcoach.jp/


法務局が相続発生の日まで遺言書保管 「検認」不要で、手数料もさほどかからず

【今回のスタディー】自筆証書遺言書保管制度

ファイナンシャルプランニングの一分野である「相続」。「いつかのその日」を迎えたとき、もめ事や困り事が生じる事態は避けたいものです。そのための有力な対策となるのが「遺言」ですが、これには一定のルールがあります。

遺言書には2つの方式

遺言には、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つの方式があり、双方にメリット・デメリットがあります。

公正証書遺言は、公証人役場で作成・保管してもらうため、書式の不備や、紛失・改ざんなどのリスクを排除することができ、より確実な遺言執行につなげられます。半面、この方式には証人2人が必要で遺言内容を秘密にできないこと、財産額に応じて数万円からの手数料が必要になるというハードルがあります。

自筆証書遺言は、財産目録を除く全文を自筆で記入し、日付・署名・押印を漏れなく記載することでその書式を満たすため、比較的簡単に作成できるのが特徴です。ただ、相続が発生した際に発見されなかったり、遺言書としての書式を満たしておらず無効になったりといったリスクをはらみます。また、この方式で不動産や預貯金などの名義変更を行うには、裁判所による「検認」が必要で、手続きに1~2カ月ほどの時間を要します。

"いいとこ取り"の新制度

それぞれの悩みをカバーし、双方の”いいとこ取り”をした新しい制度が、昨年7月に始まった「自筆証書遺言書保管制度」です。この制度では、自筆証書遺言書を法務局に届けると、法務局が書式に不備がないかチェックした上で相続発生の日まで保管してくれます。保管された遺言書には検認も不要で、手数料も一通につき3900円で済む点も手軽です。ただし、手続きを行うには必ず本人が法務局に出向く必要があります。詳細は法務省の自筆証書遺言書保管制度ホームページをご確認ください。

本当に「まだ早い」ですか?

「遺言なんてまだ早い」─。そんなふうに思う人の方が多いのかもしれません。しかし実際のところ、ここに年齢は関係なく、あなたがどんな状況にあるか、で要否を考えていただきたいと思います。

例えば、離婚や再婚。一緒に暮らしていない子にも相続権はありますので、新しい家族ができた際にも「こちらで全部」というわけにはいきません。また事実婚の場合は、パートナーであっても相続権はなく、ケースによっては「住まいが他人の手に渡る」なんてことも。ひとり親の場合は、未成年の子の保護者となってくれる「未成年後見人」を指定しておきたいですね。若くても遺言が必要な人の一例を紹介しました。


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