一部の学資保険で販売停止の動き!? マイナス金利が貯蓄型保険の向かい風に
【今回のスタディー】学資保険の今
子育て世帯に人気の金融商品といえば、何といっても学資保険でしょう。子どもが生まれたら「当然、加入するもの」といった風潮を感じているのは、私だけではないはずです。
そんな学資保険、最近どうやら、一部の商品や販売チャネルにおいて販売停止の動きが出ているらしく…。注目してみることにしましょう。
払った全額は蓄えられない貯蓄型
販売停止の理由とは、ほかでもないマイナス金利の影響です。保険会社が積立金を運用する利率を『予定利率』といいますが、今年4月、生保各社はそれまで1%台前半だった新規契約の予定利率を、0・4%台~0・8%台程度(会社や商品により異なる)に引き下げました。貯蓄型や契約期間の長い保険ほど、この予定利率の影響を大きく受けます。
この数字から「保険の利率って高いのね…」と感じた人もいるかもしれません。確かに預金と比べると大きい数字に見えますね。しかし、預金と大きく違うのは、保険会社は保険料の一部(例えば学資保険で1割程度)を会社の運営経費として差し引き、差額を満期保険金などの準備のために積み立てるという点です。つまり、保険料の全額は蓄えられないということ。支払い保険料ベースで見ると、結果としての利回りは予定利率の数字をグッと下回ります。
“元本割れ”してしまうものも…
現行で販売されている学資保険を見ると、受け取る保険金などの総額が、支払う保険料の総額を下回る“元本割れ”の商品もかなりあるようで…。加入者のために利回りをアップしようとすると、保険会社の経営を圧迫してしまうというジレンマが、このたびの一部販売停止の背景というわけです。
「教育資金づくり」という目的に対しては当面、他の手段を選択するほうが好ましいと私は思います。「学資保険への加入」が目的にすり替わり、確定している損失を見落としてしまいませんように…。
運用内容にしっかり目を向けて
学資保険に限らず、貯蓄型生命保険の実質的な利回りは、かなり厳しい状況です。終身保険しかり、個人年金しかり。保険会社の手数料相当額を超えてリターンを得るには、低すぎる予定利率だと言わざるを得ません。
ちなみにこれは、あくまで今どきの新規契約のお話です。保険は原則として、加入した時の予定利率が最後まで続く固定金利の金融商品ですので、高金利時代に加入したものは今でも有利な内容のままです。『学資保険』『個人年金』といった“名前の魅力”で選ぶのではなく、どういう運用内容なのかを確認することが重要です。
さとう ななみ
「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
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