投資信託についてよくある勘違い 分配は利益の有無に関係ない!?

【今回のスタディー】投資信託の分配金

早いもので6月も終盤。サラリーマンの皆さんにとって楽しみなボーナスの季節ですね。せっかくのまとまった資金、いくらかを何らかの手段で蓄えたいと考えている人も少なくないでしょう。そこで今回は、身近な窓口で案内を受ける機会が増えた投資信託について、“よくある勘違い”を交えながら選択のポイントを考えていきましょう。

資産を共同購入、小口で分散投資

投資信託とは例えるなら、「資産を共同購入する金融商品」のこと。株式や債券、不動産など、本来であればまとまった資金がないと投資できない資産を、数千円単位の少額から、数百銘柄にも対象を分散して投資することができます。

投資家は、“ファンド”と呼ばれる共通のお財布に資金を拠出。億単位となった資金を、運用のプロであるファンドマネジャーが目論見書に示した方針に則って運用します。そのリスクとリターンは全てファンドに反映され、一口当たりの単価(=基準価格)が毎日変動します。この基準価格の上昇を期待するのが、投資信託における主な収益です。

分配金は利益が出なくても…

ファンドの中には、年に1~2回、あるいは毎月など、定期的に“分配金”を出すものもあります。銀行窓口での販売を中心に、人気を集めているようです。

「分配実績は毎月〇円」などと聞くと、それだけ利益が出ているように感じてしまいますが、投資信託においては目論見書に謳(うた)われていれば、利益が出ていなくても分配金を出さなければならないルールです。この場合、単に元本を切り崩しているだけにほかならず…。分配金を出すと基準価格は下がります。運用益が出ないまま資産がジワジワ目減りし、月日とともにすっかり残高が少なくなって、なんて話もなくはなく…。

利益が出たことによる分配金には、20.315%の税が課せられるのが原則。長期的な運用には、小まめに分配金を出さないファンドの方が向いてそうです。

思い込みを排除し情報を 正しく受け止めて

私たちに最も身近な金融機関である銀行。一昔前と違って、預金やローンのほか、証券会社、保険会社の商品も購入できるようになっています。ただ、元本保証がないことなど、さまざまな注意点もあり…。

販売側に、ミスリードを避けていただきたいのは言うまでもありませんが、「こんなはずではなかった」にならないために、消費者側にも、思い込みを排除して情報を正しく受け止める姿勢が求められます。勧められて採用したものであっても、最終的な結果を損益という形で被るのはほかでもない、消費者自身なのですから。


さとう ななみ

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
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