【426号】ななみ先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A

日々の暮らしはもちろん、先々の人生を設計する上で切っても切れないのが“お金”。住宅や教育、結婚、介護などのライフイベントに資金の悩みは尽きません。本紙「ななみ先生の家計相談QandA」でおなじみのファイナンシャルコーチ・佐藤ななみさんに、住まいと暮らしにまつわるお金の情報について聞きました。
ファイナンシャルコーチ
佐藤ななみさん

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。


未来の選択肢は自らの手で 知ること、学ぶことが大事

人口減少社会の到来と年金不安の中で、いつ終わるとも分からず続く超低金利。税や社会保険料の負担もジワリと重さを増し、将来への不安を数えればキリがありません。だからといって、悲観してばかりでいいのでしょうか。私たちには、新しい技術や制度を活用し、自ら未来を切り開く選択肢が与えられているはずです。

進化論を唱えたダーウィンは「唯一生き残るのは、変化できる者」という言葉を遺したのだそうです。時代のうねりの中で、柔軟かつ軽やかに立ち居振る舞える力こそ、いまの私たちに最も求められているものかもしれません。

そのためには、知ること、学ぶことが欠かせません。知らなければ、選びようがないですものね。明るい未来への選択肢を、自らの手でつかみませんか。そのヒントとなる情報をお伝えできればと思います。

1 ローンを月々同額で返済中 返済額が減る方法もある?
2 長期優良住宅って何? メリットや注意点も教えて
3 増税前のマイホーム計画 いつまでに何をしたら?
4 連帯債務で住まいを取得 団信は夫婦双方に適用?
5 リボ払いで借金が増え… 立て直し方を教えて!
6 配偶者控除の上限見直し いくらまで働けるの?
7 貯蓄を毎月、取り崩し 上手に貯める節約術は?
8 FPって一体何をする人? 将来設計を相談したいけど…

ローンを月々同額で返済中 返済額が減る方法もある?

Q.

住宅ローンを月々同額ずつ返済中です。返済額が徐々に減っていく方法もあり、利息面でお得と聞いたのですが本当ですか? 銀行も住宅会社も何も教えてくれなかったので…。

A.

まずはローンの大前提から。私たちが通常「返済している」としている金額には、元金のほかに、残高に応じた利息が含まれます。利息額は「残高×金利×期間」で求められ、期間は日割(365日分の30日など)で計算されています。

元金と利息の合計額が一定になるよう返済する方法を“元利均等返済方式(以下A)”といいます。一方、「徐々に減っていく方法」とは“元金均等返済方式(以下B)”のこと。返済に充てる元金の額を一定とし、残高が減るにつれて減っていく利息を加算。結果として元利合計額も減っていきます。

借入額・金利・返済期間を同じとして両者を比較すると、Bの方が総支払利息額は少なくなります。下表の条件で総支払利息はAが約858万円、Bが約789万円です。

だからといって必ずしもBの方がお得と言えないのがローンの奥深いところ。下表にある通り、BはAに比べて返済当初の負担が大きいのが特徴です。では、Bの金額を返済できるなら、月々の金額を減らさず一定額を払い続けたとしたら? 同条件下では、返済期間を28年2カ月にまで縮められ、総支払利息は約681万円に。でもこれって…返済方式としてはAですよね。

利息を減らしたければ残高を減らすこと。繰り上げ返済という方法もあります。名前に捉われず、柔軟な考え方で状況に応じた対応力を持っておく方が賢明だと思います。

貸入額:3,000万円 金利:1.5% 返済期間:35年

※月々返済のみ(ボーナス加算なし)で試算


長期優良住宅って何? メリットや注意点も教えて

Q.

マイホーム(戸建て)の新築を計画中です。長期優良住宅の認定を受けると、税制優遇があると聞きました。そもそも長期優良住宅って何ですか? 具体的なメリットや注意点なども教えてください。

A.

日本の住宅の平均寿命はおよそ30年といわれ、欧米諸国の半分ほど。“量”重視の価値観で「建てては壊す」を繰り返してきた流れを変え、「良質な住宅を受け継いでいく」ことを社会全体で目指したのが、長期優良住宅の概念です。これを普及・促進するため、長期優良住宅には税制面でさまざまな優遇が設けられています。

まずは所得(住民)税について。住宅ローン利用者の税負担を10年間軽減する『住宅借入金等特別控除』では、一般住宅の控除上限額が年40万円のところ、長期優良住宅では50万円までに引き上げられています。また、自己資金で建てる人には、最大65万円(1年)を軽減する『認定住宅新築等特別税額控除』を適用。いずれも本人の納税額が控除の上限です。

固定資産税については、建物部分(120㎡以下)の税額を2分の1に軽減する期間が、一般住宅で新築から3年であるところ長期優良住宅では5年に。登記の際に必要となる登録免許税の税率も、一般住宅の3分の2に軽減されます。不動産取得税(建物)の非課税枠は、一般住宅が1200万円に対して、長期優良住宅は1300万円です。

長期優良住宅では、税制優遇のほか住宅ローン金利や火災保険料などでも優遇が見られる代わりに、一般住宅と比較すると建築費用がかさみがちです。認定手続きにも十数万円ほどの費用がかかります。お得感というより、住まいに対する価値観で選択するものだと思います。


知っ得情報

住宅ローンごと引き継げる⁉

長期固定金利住宅ローン『フラット35』には、いつか住宅を売却することになった場合に、住宅ローンごと引き継ぐことのできる『アシューマブルローン』の取り扱いがあります。

もし、購入者が新たなローンを組む時点で、金利が上がっていたら…。今のような低金利のまま引き継げるなら、買ってもらいやすくなりますよね。仕組みなど、詳しくはまたの機会に。


増税前のマイホーム計画 いつまでに何をしたら?

Q.

消費税率の引き上げを来年に控え、マイホーム計画を急ぐべきか考えています。住宅の場合、契約から引き渡しまでにかなりの期間があると思いますが、いつまでに何をしたら、消費税率8%で購入できますか。

A.

消費税率が、それまでの5%から現行の8%へ引き上げられたのは、2014年4月のことでした。当初は、15年10月に10%へ再引き上げの予定でしたが、景気動向などを鑑みて17年4月へいったん延期。さらに2年半、先送りして19年10月の予定とされています。果たして、三度の延期があるのか? それとも、三度目の正直か…は、この先を見守るとして、今のところ引き上げの方向で構えておく必要がありそうです。

まず消費税は、課税業者が行った取引にかかるものということが前提です。ですから、個人間で中古住宅を売買した場合は対象外。また、土地代については非課税であることも知っておいてください。

さて、税率適用のタイミングですが、原則、引き渡し日の税率が適用されるとお考えください。19年9月30日までの引き渡しであれば8%、同年10月1日以降となると10%が適用されます。

ただし、注文住宅の場合、諸般の事情で工期が延び、予定より引き渡し日がずれ込んでしまうことも考えられますよね。その点を考慮して、半年前の19年3月31日までに契約したものであれば、8%の税率が適用されるという経過措置が設けられています。

いかんせん高額の買い物、決断にもそれなりの時間が必要でしょう。早めに取り組まれることをお勧めします。


連帯債務で住まいを取得 団信は夫婦双方に適用?

Q.

共働きで住宅ローンを返済中です。連帯債務なので、夫婦どちらかに万一の場合は団体信用生命保険でローンが完済されると考えていいですか? これを踏まえて生命保険を見直そうと考えています。

A.

住宅ローンに付帯される団体信用生命保険は原則、主債務者に万一のことが生じた場合にのみ保険金が支払われます。したがって、連帯債務者に万一のことがあっても、ローンはまるまる残ってしまいます(夫婦連生型団信を除く)。

夫を主債務者、妻を連帯債務者とするケースで考えると、共働きで妻に万一の場合、妻の収入が失われることは分かりやすいリスクですね。同時に、遺族年金などの公的保障も、夫に万一の場合と比較して目に見えて手薄であることも把握しておいてください。

見落としがちなのが、子育て世代においては妻が有職であるか否かにかかわらず、夫一人の肩に育児までのしかかってしまうことです。そのとき夫は、残業や夜勤などを続けることができますか? 育児時間を優先した配置転換や転職もやむを得ず、収入が激減してしまう可能性も考えておく必要がありそうです。

団体信用生命保険を踏まえた生命保険の見直し、大いに賛成です。その際、妻に万一の場合にも住宅ローンを完済できるぐらいの保障は考えておきたいものですね。


知っ得情報

すまい給付金

住宅取得者に対し、所得に応じて支給する『すまい給付金』が創設されたのは2014年4月のこと。消費増税の負担を緩和するのが目的でした。給付基礎額は消費税率別に設定されており、税率10%になると、現在の10~30万円から10~50万円へ拡大、同じ所得水準なら給付金は増えることに。それでも、増税負担には追い付けないケースが多くなりそうです。


リボ払いで借金が増え… 立て直し方を教えて!

Q.

家計のピンチに「今回だけ」のつもりで頼ってしまったリボ払い。定額払いの便利さに、いつの間にか利用が増えてしまい、気付けばカードは4枚に。このままではマズイですよね…。どう立て直したらよいでしょうか。

A.

どんなものにも何かしらの利用価値を見出したい私ですが、“リボ払い”に関してはいまだ何も見つけ出すことができず…。カード4枚はマズイですね。ここはあえて、一度でも利用した時点で十分マズイと言わせていただきます。

クレジットカードの支払い方法には「一括で支払う方法」と「2回以上に分けて支払う方法」があります。「分けて支払う方法」の中にはさらに、回数を指定して支払う“分割払い”と、金額を指定して支払う“リボルビング(リボ)払い”があります。このとき、2回分割払いを除いて所定の手数料(実質年率12~15%程度)が発生します。

リボ払いの最大の特徴は「追加利用しても毎回の返済額は一定」という点です。これは、見た目の返済額は同じでも、残高が増えることで返済額中に占める支払手数料は増加、残高の減り方が鈍ることを意味します。また、リボ払いの中には、とにかく返済額を一定に保つ“定額方式”と、残高の動きに応じて返済額を見直す“残高スライド方式”があります。

残高が増え、支払額が増えると、それを返すために新たに借り入れてしまうという人も。いわゆる多重債務の始まりです。

立て直しには、相応の知識が必要です。一日も早く専門機関のサポートを受けられるようお勧めします。


配偶者控除の上限見直し いくらまで働けるの?

Q.

平成30年分の所得から、配偶者控除が見直しになると聞きました。パートの主婦が働きやすくなるそうですが、新税制のもとでは、手取りを減らさないように働けるのはいくらまでになったのですか?

A.

配偶者の収入が増えることによって世帯の手取り額が減るという逆転現象は、社会保険の扶養範囲や家族手当の支給要件などに起因する問題です。税制上で逆転することはないのでご安心ください。

さて、『配偶者控除』について。合計所得38万円(給与年収103万円)以下の配偶者を扶養する人に一律38万円(70歳以上の配偶者は48万円)とされていた控除額が、納税者本人の所得に応じて変更されます。本人の合計所得900万円以下では据え置かれるものの、900万円超で控除額を段階的に引き下げ、1000万円超所得者については控除が適用されません。

配偶者の所得38万円超76万円未満(給与年収103万円超141万円未満)に適用だった『配偶者特別控除』は、配偶者の所得額を38万円超123万円未満(給与年収103万円超201万6000円未満)に拡大されました。

控除額は納税者本人の合計所得額によって異なります。夫婦の所得バランスにより、拡大する層と縮小する層が見受けられます。


知っ得情報

給与所得控除も改正へ

給与所得者に対して、所得税の計算上、課税対象額から除かれる『給与所得控除』の金額が、2020年分所得以降に引き下げられることが決まっています。

給与年収850万円以下の層では、基礎控除額の引き上げ分(10万円)と相殺されるので、これによる差引税額への影響は生じません。年収850万円を上回る人については、事実上の増税となる形です。


貯蓄を毎月、取り崩し 上手に貯める節約術は?

Q.

食費や日用品費など、生活費をつい使い過ぎてしまいます。予算を決めても月末には足りなくなり、先取り貯蓄した分から取り崩してばかり。結局いくらも貯(た)まりません。どうしたら、うまく節約して貯蓄できますか?

A.

生活費が恒常的に予算をオーバーしてしまうのですね。そもそもその予算、どのように決めたのでしょう。もしかしたら予算額の方が見当違い…なんて可能性はありませんか?

家計の費目は、決まった額を支出する“固定費”と、使い方次第で金額が変わる“変動費”に分けられます。そして家計の改善を試みる時、多くの人が“変動費”にまず注目するようです。使い方によって金額が変わるので、やりくりで抑えようと考えるのは自然なことかもしれません。しかしそこには、ストレスが伴う割に効果が薄いという“いばらの道”が待ち受けます。

実は、プロ目線で最初に注目するのは、決まった金額を支出する“固定費”のほう。ローン返済や保険料などは「どうにもできない」と思い込んでいる人も多いですが、ここをうまく見直せると、まとまった金額を固定的に抑えることが可能になります。さらに、それらは口座振替などで自動的に支払うのが通常。ストレスのない節約生活が続くことになります。

さて、貯蓄で重要なのは、目的の資金を必要なタイミングで十分に準備できるかどうかです。やみくもに今の家計を犠牲にして元金を切り出すのみでは苦しいだけ。適切な手段を組み合わせて目指す状態を構築していきましょう。

家計はつまり、バランスです。常に全体的な視点で見つめたいものです。


FPって一体何をする人? 将来設計を相談したいけど…

Q.

将来設計を考えるにあたり、相談できる専門家を求めています。ここはファイナンシャルプランナー(FP)かな? と思う半面、FPは保険のイメージが強く…。具体的にどんなことをしている人ですか?

A.

ファイナンシャルプランナー(FP)とは、一つには資格の名称です。資格といっても、医師や弁護士のような業務独占の国家資格ではなく、人生設計・金融・不動産・保険・税・相続について、一定の知識と技能を認定したものです。

資格者の圧倒的多数は、関連の特定業務で生計を立てています。具体的な職種は、銀行や証券、保険会社など金融機関およびその代理店に勤務し金融商品の販売に従事する人、不動産会社や住宅会社に勤務し不動産業務を行う人、税理士など各士業に従事する人…とさまざま。一般会社員や主婦など、職務とは直接的に関係のない人もいます。

一方、ごく少数ながら、販売マージンとつながらず、有料の個別相談や講師業などを主業務とする人も。「職業としてのFP」といえばこちらを指すでしょう。“マネーのホームドクター”ともいわれ、特定分野に偏らない視点で絡まった悩みに耳を傾け、必要に応じて専門家と連携します。将来設計の包括的な相談をお求めでしたら、こちらのFPが応えてくれるでしょう。


知っ得情報

問題を生まない解決策のために

以前、読んだ本の一文「昨日の解決策が今日の問題を生む」が、常に頭の隅にあります。本とは『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』(共著:枝廣淳子・小田理一郎)です。

お金も同じで、目の前の支出を避けたことで、後に大きな損失を招いたり…。必要に応じて、投資的支出も適切に選択できるよう、全体的な視点を常に持っていたいと思うのです。