基準や物差しによく使われる「所得」 理解しておきたい「収入」との違い
【今回のスタディー】所得について(前編)
来年10月の消費税率アップに伴う景気対策が議論されています。その一つに、低所得者層や子育て世帯を対象とした『プレミアム付き商品券』の発行がありますが、対象となる人の範囲はこれから確定していくようです。
こうした施策が出る際に、対象者を線引きする物差しに使われがちなのが世帯の「所得額」です。さて、あまりにも自然に見聞きしているこの“所得”という言葉、一体どのくらいの方がその概念を正確に把握しているでしょうか。もしかして、“収入”と同じ意味に捉えちゃっていませんか? 今回はそんな“所得”について、2回に分けて解説します。
収入から経費を引いたのが所得
所得税法において、“収入”と“所得”は明確に異なる概念です。“収入”とは、受け取ったお金の総額で、例えば商売をしている人の場合、お客さまから受け取った金額(=売上額)を指します。ここから、商品や材料の仕入れ、お店の家賃、従業員の給料など、仕事上の必要経費を差し引いた金額が“所得”です。よって、“収入”と“所得”では、必ず“所得”の方が少ない金額となります。
給与所得者はみなし計算で
サラリーマンの場合、仕事上の必要経費は会社が負担しますので、ピンとこないかもしれません。ですが、例えば出社時の服装で、スーツやネクタイなどは自分でそろえなければなりません。このように、「サラリーマンであるための必要経費」の負担があることを考慮して計算式に当てはめ、必要経費相当額をみなし計算する仕組みのことを“給与所得控除”といいます。源泉徴収票を見ると「給与所得控除後の金額」の欄がありますが、ここに記載されているのが給与所得者にとっての“所得額”です。
ひとまずは、「収入≫所得」であることをご理解いただけたでしょうか。この続きはまた来週。
所得を基準にした施策の具体例
所得額を基準とする施策の具体例を挙げてみましょう。検討中の『プレミアム付き商品券』をはじめ、2014~16年度に実施された『臨時福祉給付金』、住宅取得者に給付される『すまい給付金』などは、消費税率アップの影響緩和を目的とした施策です。
国民健康保険料は、所得額に保険料率を掛けて求める『所得割』の部分が大きなウエートを占めます。さらに、世帯ごと、および加入者の人数に応じて負担する『平等割』『均等割』についても、所得によっては2・5・7割の減免が行われます。
こうした情報を読み解くためにも、収入と所得は異なることを踏まえておく必要があるのです。
さとう ななみ
「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
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次回の予定は
ちゃっかり家計学
「所得について(後編)」
お楽しみに!
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