「借りた額の倍払う」うわさも今は昔 金利がいくらになるか実額で理解を
【今回のスタディー】住宅ローンの総返済額
あなたも耳にしたことがあるかもしれません。「住宅ローンは借りた額の倍を支払わねばならない」という“うわさ”。先週の『家計相談Q&A』で触れたところ、「詳しく教えて!」とのご要望をいただきました。早速、掘り下げてみましょう。
昔の金利なら確かに倍以上
この“うわさ”、昨今は住宅取得を検討している人たちの“親の世代”で強く信じられている様子。この世代が中心となって住宅を取得していた昭和50年代からバブル経済崩壊直後の平成4年ごろにかけて、住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の基準金利は4%台前半~5.5%の水準にありました。対して、2019年1月の『フラット35』の金利は1.33%~(融資率9割以下の場合)。“いま”の人にとってはこちらの方が感覚的に「普通」でしょう。5.5%の方が、信じがたい驚きの昔話かもしれませんね。
そして、その金利で住宅ローンを借りた場合の返済額を知れば、あなたはもっと驚くはず。左の表を見てください。全期間固定金利で3000万円を借り入れ、35年間で返済する場合の月々の返済額と総支払利息を計算してみました。5.5%だと「借りた額の倍」どころか、元金よりも利息の方が多いことが分かります。一方、1.33%では利息の総額は借入額の25%ほど。「借りた額の倍を支払う」といった事態にならないことは明白です。
「%」は「円」に引き直してみて
実際に経験した人にとって「倍を支払う」は、紛れもなく現実の話でした。しかし、その主語は「住宅ローン」にあらず。問題は金利だったのですね。
お金に関する情報を取り扱うとき、金利はことさら重要な要素となります。「%」は実額でいくらになるのか? 引き直して計算してみる習慣が、あなたの正確な判断を助けてくれることでしょう。
住宅ローンって初めは利息だけ?
「倍払う」とセットで耳にしがちなのが、「住宅ローンは初めのうちは利息ばかり払って元金は減らない」というもう一つの“うわさ”です。検証してみましょう。
3000万円を5.5%で借りた場合の初回の支払利息は「3000万円×5.5%×30日/365日」で13万5616円。返済額16万円強のうち、元金は2万5000円ほどしか返せなかったのですね。なるほど確かに「利息ばかり」かも。
一方、金利1.33%だと初回の支払利息は「3000万円×1.33%×30日/365日」で3万2794円。9万円弱のうち5万6000円ほどは元金の返済に。こうなると「利息ばかり」でもありませんね。こちらの“うわさ”も「住宅ローン」が主語ではなく、金利の問題だったのです。
さとう ななみ
「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
https://kakei773.com
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