【477号】ななみ先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A

令和の幕が開きました。新しい時代の到来と共に、私たちの暮らしにもこれから、さまざまな「変化」が訪れます。新たに取り入れたいもの、大切に残したいものを丁寧に見極めていきたいものです。住まいと暮らしにまつわる“お金”について、本紙「家計相談Q&A」でおなじみ、ファイナンシャルコーチの佐藤ななみさんに聞きました。
ファイナンシャルコーチ
佐藤ななみさん

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『ななみ先生のおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。

佐藤ななみさん


増税や制度改正など家計に関わる大きな変化 必要な情報しっかりキャッチして

スマートフォン、自動運転技術、AI(人工知能)…。平成の約30年、暮らしを取り巻く技術の進歩は目を見張るものがありました。そして、大きく変化したのはそれだけではありません。平成元年に3000人強だった100歳以上の高齢者は、30年には7万人に迫る勢いに。一方、出生数は元年の124万人から29年には94万人と、約25%も減少しています。

「少子高齢化」が叫ばれて久しいですが、社会を支える“人”の様相もますます変わっていく中で、働き方や家庭観、教育の在り方など、あらゆることで昔の価値観を引きずったままでは対応できなくなっています。

10月からはいよいよ消費税率が10%に上がる予定です。また、幼保無償化もスタートします。新紙幣の発表と同時に、キャッシュレス社会への転換も推し進められています。今の、そして将来の生活を守るためにも、必要な情報をしっかりとキャッチし、変化に柔軟に対応していきたいですね。

1 増税まであと約3カ月 8%で住宅を購入できる?
2 子育てに専念したい 勤務8年、年金もらえる?
3 新築、リフォームが対象 「住宅ポイント」って何?
4 幼稚園、保育園が無償に 対象の範囲を教えて
5 消費税率据え置きの品目 具体的にはどんなものが?
6 住宅ローン減税の期間 3年延長ってホント?
7 「すまい給付金」が変更に⁉ 給付額と手続きを教えて
8 姑を同居の嫁が長年介護 遺産の相続権はあるの?


増税まであと約3カ月 8%で住宅を購入できる?

Q.

増税を念頭に住宅購入を検討してきました。「確実に税率8%のままで購入するには3月までの契約が必要」と言われながら、とうとう決断できず…。今からでも増税前の税率で購入できる方法があれば教えてください。

A.

住宅にかかる消費税は、引き渡し日の税率を適用するのが原則です。つまり9月30日までに引き渡されれば8%、10月1日以降になると10%です。つまり、これから契約する人も、9月中に引き渡しを受けることができれば、税率8%で購入することは可能です。

では、「今年3月までの契約で」という話があったのはどうしてでしょうか。新築住宅を注文する場合をイメージしてください。契約から引き渡しまでの間に、設計・資材調達・建築と、それなりの期間を要することは想像に難くないですね。また、天候などにより工期が長引くことも考えられます。〝運悪く〟引き渡しが遅れ、税額が数十万円も増えたとしたら酷な話。そこで、「3月末までに契約した人は、10月以降の引き渡しになっても税率は8%」という経過措置が設けられていたのです。

ただ、これから新築住宅を注文する場合、現実的には9月末までの引き渡しは難しいと思います。ですが、建て売り物件や分譲を開始しているマンションなど、既存の建物でしたら間に合う可能性は高いでしょう。

ところで中古住宅の場合、法人所有の物件には消費税が課されるものの、個人間の売買では、そもそも消費税はかかりません。また、土地代に消費税が課税されないことも知っておいていただきたいと思います。


知っ得情報

住宅資金贈与の特例

住宅取得に当たって、親や祖父母から資金の贈与を受けた場合、年700万円(長期優良住宅等は1200万円)まで贈与税が課税されない特例があります(本則は年110万円以上で課税)。

消費税が10%に上がると非課税枠はさらに拡大され、2500万円(長期優良住宅等は3000万円)まで非課税(2020年3月までの額)。“かじるスネ”がある人にはメリット大の制度です。


子育てに専念したい 勤務8年、年金もらえる?

Q.

正社員として8年、勤めてきましたが、子どもが生まれ、子育てを中心に生活したいと思うようになりました。ただ、厚生年金は10年以上加入しないともらえないとのこと。あと2年粘って、働き続けるべきでしょうか。

A.

公的年金の受給権は、10年以上加入した人に発生します。裏返すと「10年以上加入しないともらえない」になりますが、このときカウントされるのは、厚生年金だけの加入期間ではありません。

公的年金は、その仕組みから家に例えて“2階建て”ともいわれます。土台である1階部分が、20歳以上の全ての国民が加入する『基礎年金』です。会社員や公務員などサラリーマンの場合は、これに2階部分の『厚生年金』が加算されます。

ところで、厚生年金の保険料は、毎月の給与やボーナスから天引きされていると思います。では、基礎年金の保険料は? 給与明細にはそのような項目はありませんので、納めている自覚は持ちにくいかもしれませんね。実は、厚生年金保険料の中に含まれています。つまり、基礎年金にも間違いなく加入しており、給付を受ける権利もちゃんとお持ちであるということです。

ぼちぼち話が見えてきたでしょうか。「資格期間10年」には、基礎年金の加入期間をカウントします。配偶者の扶養に入った期間も、自営業者として国民年金保険料を納めた期間も、また、保険料の払込免除を受けた期間も、「10年」を判定する対象期間にもちろん含まれます。

まだまだ子育て世代ということで、加入可能期間は十分に残っていますよね。悠々とクリアできる条件だと思いますので、ご安心ください。


新築、リフォームが対象 「住宅ポイント」って何?

Q.

増税後にマイホームを新築、またはリフォームした人に対してポイントを付与する『次世代住宅ポイント制度』が新設されるそうですね。詳しく教えてください。

A.

『次世代住宅ポイント制度』は、消費税率10%が適用される住宅を新築、またはリフォームに取り組む方にポイントが付与される制度です。「1ポイント1円」の比率でさまざまな商品に交換できます。新築、リフォームで内容が異なりますので、それぞれ確認していきましょう。

まずは新築の場合。対象となるのは、下の(1)~(4)の住宅で、該当すると“標準ポイント”として1戸当たり30万ポイントが付与されます。また、(A)~(D)の「より高い住宅性能を備えた住宅」にも該当すれば、“優良ポイント”として5万ポイントが加算されます。さらに、ビルトイン食器洗浄機や浴室乾燥機など、指定の家事負担軽減設備を導入すると0・9~1・8万ポイントが、耐震性のない住宅の建て替えについては15万ポイントが“オプションポイント”として付きます。ただし、1戸あたり35万ポイントが上限です。

リフォームについては、断熱改修、エコ住宅設備、耐震改修、バリアフリー改修、家事負担軽減設備、リフォーム瑕疵保険の加入等、工事内容に応じて0・2~15万ポイントが付与されます(既存住宅を購入しリフォームを行う場合は2倍に)。上限は30万ポイントとされていますが、若者・子育て世帯については、45万ポイント(既存住宅の購入を伴う場合は60万ポイント)にまで引き上げられます。

なお、対象となる住宅について契約や着工の期間は左の通りです。ポイントの発行申請は6月3日から始まっており、商品交換期間は2019年10月~2020年6月(予定)です。

≪標準ポイント/30万ポイント≫

(1)エコ住宅 (断熱等級4または一次エネ等級4を満たす住宅)
(2)長持ち住宅 (劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2を満たす住宅)
(3)耐震住宅 (耐震等級2を満たす住宅または免震建築物)
(4)バリアフリー住宅 (高齢者等配慮対策等級3を満たす住宅)

≪優良ポイント/5万ポイント≫

(A)認定長期優良住宅
(B)低炭素認定住宅
(C)性能向上計画認定住宅
(D)ZEH(ゼロエネルギー住宅)

【対象となる契約等の期間】

注文住宅・リフォームの場合
2019年4月~2020年3月に請負契約・着工したもの

分譲住宅の場合
・2018年12月21日~2020年3月に請負契約・着工し、かつ売買契約を締結したもの
・2018年12月20日までに完成済みの新築住宅であって、2018年12月21日~2019年12月20日に売買契約を締結したもの

参照:国土交通省「次世代住宅ポイント」ホームページ
https://www.jisedai-points.jp/


幼稚園、保育園が無償に 対象の範囲を教えて

Q.

いよいよ10月から幼稚園、保育園の利用料が無償化されることになりました。一方で、全ての人が無償になるわけではないとの話もあり、線引きがよく分かりません。具体的に教えてください。

A.

10月から始まる『幼保無償化』では、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育所、企業主導型保育所に通う原則3~5歳児(年少~年長)の利用料が無償となります。0~2歳のいわゆる“未満児”は基本的に対象外ですが、このうち住民税非課税世帯については無償化の対象に含まれることになっています。

また、幼稚園の預かり保育を利用した場合、保育の必要性の認定を受けていることを前提に、利用実態に応じて、さらに月額1万1300円までの利用料が無償化されます。

認可外保育施設では、保育の必要性の認定を受けた場合、3~5歳児において月額3万7000円(認可保育所保育料の全国平均額)まで無償化。そのうち住民税非課税世帯は0~2歳児について月額4万2000円までが無償化されます。

通園バスの利用料や給食等の食材費、各種行事にかかる費用など、保護者から実費を徴収しているものについては対象外で、引き続き保護者が負担することとなります。ただし、低所得者世帯等の副食費については、これまで通り免除を継続。免除対象者は、年収360万円未満相当世帯まで拡充されます。

さて、導入が決まった制度ではありますが、いまだに賛否両論渦巻いているようです。私も、教育を社会全体で支えることには大いに賛成。ただ、待機児童問題の解消や保育士の待遇改善が優先された方がもっとよかったのではないかとも…。今後に期待をつなげたいと思います。


知っ得情報

幼保に続いて大学も

「幼保無償化」に続き、2020年4月からは、所得が一定額以下の世帯について、大学・短大・高専・専門学校の授業料等も無償化される方向です。

目的は、親の経済力に関わらず社会で活躍する人材を育成することと少子化対策です。たった一人が、世界を変える実績を上げるのは珍しくないこと。社会全体で人を育てることが求められています。


消費税率据え置きの品目 具体的にはどんなものが?

Q.

今回の増税では、税率が8%のまま据え置かれる品目もあるそうですね。生活必需品が対象というイメージですが、具体的に何が据え置きになるのでしょうか。

A.

消費税率が8%のまま据え置かれる『軽減税率』。適用されるのは、(1)酒類・外食を除く飲食料品(2)週2回以上発行される新聞とされています。

飲食料品で最も分かりやすいのは、米や野菜、肉、魚などの食材関係でしょう。また、お弁当やお総菜などの加工品も、もちろん軽減税率8%の対象品目です。加工品といえば、寿司やピザなど宅配品も8%。ファストフード店は、テークアウトなら8%、店内での飲食は外食扱いで通常税率の10%が適用されます。

何となく「お店以外の場所で食事すれば軽減税率」と解釈してしまいそうですが、お店側が指定の場所に出向いて調理や配膳などをしてくれるケータリングは、軽減税率に該当せず税率は10%です。

ちょっと迷ってしまいそうなのは、サプリメントや栄養ドリンクなどで、ここは、“医薬品・医薬部外品等”に該当するかどうかが境目。“医薬品”または“医薬部外品”などの表示があるものは食料品ではないので10%、特定保健用食品や栄養機能食品は、それらに該当せず飲食料品として8%の課税です。

ところで、お菓子に付いているおまけのおもちゃは? 明らかに食品ではありませんが、原則“一体資産”として8%が適用されます。

新聞については、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの」とされており、定期購読の契約をしていることが軽減の前提です。


知っ得情報

キャッシュレスポイント

消費税増税から2020年6月末までの9カ月間に、登録された店舗で一定のキャッシュレス決済を行うと、購入額の2%または5%をポイント還元する取り組みが導入されます。還元率は店舗の規模によるとのこと。賢く活用することで、実質的な減税になるともいえそうですね。

具体的な内容については、これから出てくる情報を見守りましょう。


住宅ローン減税の期間 3年延長ってホント?

Q.

10月の消費税率変更に伴い、住宅ローン減税を受けられる期間が3年間延長されると聞きました。具体的にどのような影響があるのでしょうか。もしかしたら、マイホーム購入は増税後の方がお得なのですか。

A.

住宅ローンを利用して住宅を購入した人について、所得税(および住民税)を軽減する制度がいわゆる『住宅ローン減税』です(諸要件あり)。これまで「住宅ローンの年末残高×1%」を、取得から10年間にわたり控除するとされてきました。例えば、年末の住宅ローン残高が3000万円なら、年30万円の減税(本人の納税額が上限)が受けられることになるので、非常に大きな税制優遇であるといえます。

そしてこのたび、消費税が2%増税となることを受け、『住宅ローン減税』の適用期間が3年間延長されることになりました。当初10年間は現行制度と同額の減税ですが、延長された3年間については(1)住宅ローンの年末残高×1%(2)建物価格の2%を3等分した金額のいずれか低い方が各年の控除額です。

「建物価格の2%を3等分した金額」が分かりづらいですが、前提として、マイホームの消費税は建物についてのみ課税されます。その2%を3等分して3年間減税するわけですから、大まかに「消費税の増加分は、のちのち還付しますよ」という意味合いに解釈できそうです。

「増税前後、どちらが…」は、借り入れ条件など厳密に比較しないと何とも言えません。ただ、住宅ローン減税の期間延長は消費税増税への激変緩和措置として有効ではないかと思います。ちなみにこの制度は、消費税率10%適用、かつ2020年12月までに入居した人が対象です。


「すまい給付金」が変更に⁉ 給付額と手続きを教えて

Q.

消費税率が10%に上がったら、『すまい給付金』の給付額も変更になると聞きました。具体的にいくらぐらい、もらえるのですか。また、実際に給付金を受け取るには、どこでどんな手続きをすればいいですか。

A.

『すまい給付金』は、消費税率が5%から8%へ引き上げられた2014年に設けられた制度です。3%もの負担増を緩和するために、まず行われたのが『住宅ローン減税』の拡充でした。しかし、これにより恩恵にあずかることができたのは、概して所得が高く借入金が高額な人たち。そこで、一定以下の所得層をフォローするために現金を給付することとしたのが『すまい給付金』です。

当時から、消費税率は追って10%へ引き上げられることが決まっていましたので、『すまい給付金』も「税率8%の場合」と「税率10%の場合」の両建てで打ち出されていました。

給付額は、「都道府県民税の所得割額」を基準に判定されます。ちょうどお手元に住民税額の決定通知書が届く時期かと思いますので、そちらをご参照ください。「県民税所得割額」の欄に示された数字に対応する金額が各人の“給付基礎額”です。これに、持ち分割合を掛けた金額が実際に給付される額となります。

給付金の申請は、引き渡しを受けてから1年以内に『すまい給付金事務局』へ必要書類を郵送します。また、住宅事業者が手続きを代行してくれる場合もありますので、担当者に尋ねてみてください。

すまい給付金 給付基礎額 (平成30年度以降の課税証明書/住宅ローン利用の場合)

※政令指定市とその他の都市で金額が異なるのは、住民税のうち都道府県と市町村に収納される割合が異なるためです。年収や各種控除額など条件が同じ人は給付基礎額は同じになります。


姑を同居の嫁が長年介護 遺産の相続権はあるの?

Q.

同居していた舅(しゅうと)が他界し、家が姑(しゅうとめ)名義になりました。夫も亡くなり、今は姑を介護しながら2人で暮らしています。夫には妹が1人。嫁には相続権がないそうですが、姑が亡くなったら、私には住む家も無くなるのですか。

A.

遺産相続の権利は、「配偶者と子」が最優先で持つことになります。姑の配偶者である舅は既に他界しているので、自宅を含めた姑の財産を相続できるのは、姑の子であるあなたの夫とその妹です。

他界した夫の相続分は、夫の子が代わりに受け継ぐことになり(=代襲相続)、ご認識の通り、嫁であるあなたには相続権はありません。あとは、誰がどのように遺産を相続し、どのように立ち居振る舞うか…ですが、「売却したいので出て行ってください」と言われる可能性も十分にあると考えておくべきでしょう。

姑とは長年にわたって同居、夫亡き後もあなたが介護を続けていらっしゃるのですよね。にもかかわらず、相続権がないばかりか、住まいさえ失いかねない状況はあまりにも気の毒です。このような立場の人も、故人の財産を受け継ぐことができるように、今年7月に民法が改正されます。

改正後は、相続人以外の一定の親族が故人の療養看護を行っていた場合、相続人に対して『特別寄与料』の支払いを請求することができるようになります。ここでいう「一定の親族」とは、(1)配偶者(2)6親等内の血族(3)3親等内の姻族です。嫁の立場は(3)ということになりますね。

ただ、これだけではあなたの不安が十分に拭えたことにはならないでしょう。最善の方法は、姑に遺言書を遺してもらうこと。遺言書があれば、相続権がない人も故人の財産を受け継ぐこと(=遺贈)が可能となります。


知っ得情報

相続開始後の預貯金の仮払い制度

相続に関する民法改正は他にもたくさん。中でも多くの人に発生しがちな「故人の預金が引き出せず葬儀費用等が払えない」という問題が解消されます。

相続財産は、遺産分割手続きが完了するまで動かすことができないのが原則ですが、7月からは、実務的な観点から、各相続人が単独で「法定相続分の1/3(一金融機関150万円)」まで引き出せるようになります。