4月から産前産後の保険料が免除に 少子化対策の体制整備にまた一歩

【今回のスタディー】国民年金保険料の免除

今年4月から、国民年金第1号被保険者について、産前産後の保険料納付を免除する制度が始まりました。免除されるのは、「出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(多胎妊娠の場合は3カ月前から6カ月間)」の保険料です。

今年度の国民年金保険料は月額1万6410円ですから、合計6万5640円(多胎妊娠は9万8460円)が免除されることになります。2019年2月1日以降に出産した人から対象となりますが、実際に免除されるのは4月分以降の保険料についてのみです。

手続きは6カ月前から

免除を受けるには、居住地の市区町村役場の国民年金担当窓口に届け出る必要があります。出産予定日の6カ月前から受け付けてもらえるので、早めに手続きを済ませておきたいですね。

既に出産を終えている人も、もちろん届け出が可能です。また、保険料を前納している人についても、届け出を行うと対象期間の保険料が還付されます。

免除されても年金の減額はなし

気になるのは、免除を受けたことによる年金受給への影響ですね。国民年金保険料の払い込み免除は、所得が少なく経済的に保険料を納めることが難しい場合にも申請することができます。この場合、免除期間も受給資格期間にカウントされるものの、年金額は「保険料を全額納付した場合の2分の1を支給(全額免除の場合)」とされています。これに対して『産前産後免除』では、保険料を全額納付した場合と全く同じ扱いとなり、年金額が減額されることはありません。

第2号被保険者(社会保険)において同様の免除制度が始まったのは2014年4月のこと。5年も遅れての対応に不公平感は否めないものの、少子化対策にまた一つ制度が整えられたことは歓迎したいですね。

※第1号被保険者…日本に住む20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の方とその配偶者(厚生年金保険や共済組合などに加入しておらず、第3号被保険者でない方)

※第1号被保険者…日本に住む20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の方とその配偶者(厚生年金保険や共済組合などに加入しておらず、第3号被保険者でない方)

少数者へも情報が届く体制を

産前産後免除の対象となる人はどのくらいいるのでしょうか。素朴な疑問が湧いたので調べてみました。

厚生労働省の『公的年金加入状況等調査(2016)』によると、20~59歳の公的年金加入者6241.6万人のうち第1号被保険者は1554.3万人で、その中の女性の占める割合は48%。年齢別加入者数から20~44歳の女性の数を推計すると460万人ほどになり、これは公的年金加入者全体の7.3%です。実際に妊娠・出産して制度を活用する人となると、その割合はさらに少なくなると思われ…。

こうした少数者への情報伝達は何かと手薄になりがち。必要な人へ漏れなく届く体制も求められるところです。


さとう ななみ

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
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