世帯加入率が9割に迫る生命保険契約 販売者側の都合から身を守るために
【今回のスタディー】生命保険(1)
かんぽ生命の不適切な販売実態が問題となりました。報道された実例を見るに「不適切を通り越して悪質」との感想を禁じ得ません。販売者側には、今一度その姿勢を正していただきたいのは言うまでもありませんが、こうした事態から身を守るために、私たち加入者側ももっと賢くなる必要があると感じます。
“分からないもの”に払っている?
保険相談の場面で最も頻繁に耳にする言葉が「分からない」です。多くの人にとって学ぶ機会のなかった分野ですので、無理のないことかもしれません。一方で、世帯加入率88・7%(※)、年間払込保険料の平均額は38・2万円(※)に上るという生命保険の実態に、複雑な思いを抱きます。20年、30年あるいは終身…と、長期にわたって払い込むことを通常とする生命保険契約。仮に、年38・2万円を20年払えば総額764万円に、30年なら1146万円になるのですから、これは「分からない」ものに払う金額なのだろうかと思ってしまうのです。
加入する目的を今一度明確に
また、「何か一つは…」もよく耳にする言葉です。生命保険は「必ず加入するもの」という“常識”に基づく言葉のようですが、「何か」って何? これって「一つ、二つ」って数えるもの?
こうした場合、実は、これといった加入目的がないのではないかと…。だって、明確な目的があれば「〇〇なリスクに備えるために、△△円の保障が□年間は必要だから…」となるはずですから。「加入すること」自体が目的なのだとしたら、その保険は本当に必要なのでしょうか?
ここらで一度、「必ず加入するもの」という生命保険への思い込みを疑ってみませんか。そして「何のために?」を突き詰めてみてください。本当に必要な保障を求める態度は、販売者側の都合を寄せ付けないと思うのです。
※(公財)生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査(H30)』より
最も大切なのは「誰に相談するか」
数々の家計相談を受けてきた中で、生命保険の不適切な販売ケースを目撃したのは、率直なところ、騒動になっている会社に限りません。会社や販売形態(一社専属、または複数社提携)による傾向というよりも、人による部分が大きいと思っています。そう、安心・納得の保険選びで最も大切なのは「誰に相談するか」です。
では、どんな人に相談するべきか。第一に、あなたの利益を最優先に考えてくれる人。第二に、あなたの疑問や要望に応えられるだけの知識を備えている人。双方を満たす人は、何でもかんでも保険商品に落とし込もうとせず、少しでも余分な保険料を払わないで済むようアドバイスしてくれるはずです。
さとう ななみ
「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
https://kakei773.com
相談者募集!
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FAX 096-372-8710
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採用分には商品券3000円分進呈。
次回の予定は
ちゃっかり家計学 「生命保険(2)」
お楽しみに!
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