高額療養費、傷病手当金などなど… 組合が上乗せする独自保障“付加給付”

【今回のスタディー】組合の健康保険

わが国では、全ての国民が何らかの公的医療保険に加入することになっています(国民皆保険制度)。公務員とその扶養家族が加入する『共済組合』、大企業が独自に運営する『組合健保』、中小企業の従業員と家族を対象とした『全国健康保険協会(協会けんぽ)』、75歳以上の人が加入する『後期高齢者医療制度』と、上記以外の人が加入する『国民健康保険』のうちのいずれかです。

給付内容は、制度を問わず共通のものも多いですが、『組合健保』や『共済組合』(以下、組合と表記)には、組合が独自に保障を上乗せする場合もあり、これらを『付加給付』といいます。

医療費の自己負担額は月2万円

付加給付のうち、割と多くの組合で見られるのが『高額療養費』の追加保障です。『高額療養費』とは、ひと月にかかった医療費(保険診療)の自己負担が限度額(年齢、収入による)を超えた場合、その超えた分を健康保険が負担してくれるというものです。例えば、70歳未満、標準報酬28~50万円の人にひと月で100万円の医療費がかかった場合、自己負担の上限は8万7430円となるのが通常です。しかし組合によっては、これに独自の給付を加算、自己負担額を2~3万程度に引き下げている組合も少なくありません。

休業や出産にも上乗せが

病気やケガで休業した場合に収入を補てんしてくれる『傷病手当金』は、被用者(雇われている人)本人のみが対象です。4日~1年6カ月にわたり標準報酬の3分の2を給付するのが通常ですが、組合によっては、手当を70~85%程度まで増額、さらに給付期間を3年まで延長…などのケースも見受けられます。また、出産で1児につき42万円を給付する『出産育児一時金』についても、10万円、20万円…と加算する組合もあります。

付加給付は、あくまで組合独自の取り組みです。個別の内容は、ご加入の健康保険組合に確認してみてください。

給付内容を理解して保険の設計を

日本の公的医療保険制度は、全般的に非常に手厚いといえます。中でも、組合の健康保険がことさらに手厚いことはご理解いただけたかと思います。

そして、組合の健康保険が手厚いのは給付内容だけではありません。報酬額に応じて納める保険料率についても、協会けんぽ5.09%(熊本県/個人負担分)に対して、組合は3~4%台と低く抑えられています。

すでに手厚い保障を持っていることを知らないまま、不安にかられて保険に入り過ぎている人が多いと感じます。ご自身のお勤め先の制度ですから、ぜひ興味を持って情報収集して生かしてくださいね。多くの組合が、ホームページで情報を公開しています。


さとう ななみ

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。
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