「くまにちすぱいす」で隔週掲載中の「まちづくり探検隊」の紙面を通じて地域活動やまちづくりに興味を持った方を対象に開催してきた「かたってみよう! まちづくり」。最終回となる第4回は、前回(2018年12月1日開催)作成した地域版ハザードマップを、まちづくりにどう生かすかを考えるワークショップを行いました。
今週は

第4回セミナー かたってみよう! まちづくり

@熊本日日新聞社・本館4階会議室


考えよう!  身近な防災 Part.3 地域版ハザードマップの活用法を考えよう!

1月20日、熊本日日新聞社・本社4階会議室で開催した第4回セミナー。第2回から3回シリーズで行った「考えよう! 身近な防災」では、「防災」の視点から地域を見つめ、町内や校区内の危険箇所などの情報を地図に落とし込む地域版ハザードマップ作りに取り組みました。

今回は、シリーズの総仕上げとして、作った地域版ハザードマップを、「まちづくりに、どのように活用するか」を参加者に考えてもらうワークショップを実施。初めに、一般・学生合わせて17人の参加者を前に、講師・ファシリテーターを務める水野直樹さんが、市内各校区で実践されている「まちづくり」の実例や、それがもたらした地域への効果などを紹介しました。

この日参加した受講生全員で記念撮影! 年齢や立場を超えて、まちづくりについて話し合った“同志”

この日参加した受講生全員で記念撮影! 年齢や立場を超えて、まちづくりについて話し合った“同志”

地域版ハザードマップの活用法を参加者が"企画"

その後のワークショップでは、参加者から挙がった「高齢者支援」「子どもたちの防犯」「多世代交流」「防災」の4つのテーマでグループに分かれ、それぞれのテーマと地域版ハザードマップを関連付けたイベントや地域ぐるみの取り組みの企画に挑戦。

各班のプレゼンテーションを聞いた水野さんからは、「実際に地域で実現できそうな企画ばかり」と驚きの声が上がるほど。4回のセミナーを通じて、まちづくりについて知り、それを自分の地域で実践することを学んだ皆さんの“本気”が感じられるセミナーとなりました。

限られた時間の中で企画を練り上げていく参加者

限られた時間の中で企画を練り上げていく参加者

各グループのプレゼンテーションを聞きながらメモを取る人も

各グループのプレゼンテーションを聞きながらメモを取る人も


過去3回のセミナー・ダイジェスト

第1回・7/8(日)開催
テーマ「どう守る? 子どもの安全」

地域にとっても家庭にとっても大切な「子どもの命」をテーマに取り上げることで、自分と地域との関わりをより身近に感じてもらおうと開催。グループに分かれて行ったワークショップでは、地域で子どもの見守りをするためにどんな人が関わり、どんな方法で行えばいいかなどについて、キーワードや具体策を発表し合いました。


第2回・9/9(日)開催
テーマ「考えよう! 身近な防災Part.1〜ハザードマップで災害を"見える化"〜」

第2回からは、熊本地震を経験した私たちにとって最も身近な地域課題ともいえる「防災」をテーマにした3回シリーズのセミナーを展開。Part.1では、小学校PTA主催の防災キャンプや消防団活動など、地域で行われているさまざまな取り組み事例の発表に加え、地域防災に欠かせない「地域版ハザードマップ」の重要性と、その作り方を学びました。


第3回・12/1(土)開催
テーマ「考えよう! 身近な防災Part.2〜地域を歩いてハザードマップを作ってみよう!〜」

第3回セミナーでは、前回学んだ「地域版ハザードマップ」についての知識をより深めるために、熊本市各区の総務企画課職員のアドバイスを受けながら実際に地域を歩き、危険箇所を探して地図に落とし込むフィールドワークを行いました。普段何げなく通っている道や地域の地形に思わぬ危険が潜んでいることを知り、ハザードマップの必要性を痛感しました。


活用してこそ高まる地域版ハザードマップの価値

講演要旨

まちづくりのさまざまなテーマに対し、ハザードマップを通して考え・動いてみよう!

災害や、それによって起こり得るさまざまな被害は、普段目には見えません。それを”見える化”して、よりイメージしやすくする手段の一つが地域版ハザードマップです。具体的な危険箇所や想定される被害が分かると、それに対する「備え」や「行動」に移すことができます。

また、地域版ハザードマップは、防災の観点だけでなく「子育て」「高齢者」「防犯」など、さまざまな視点からも作ることができます。そして、どんなテーマでマップを作成するにしても、大切なのは「作って終わり」ではないことです。つまり、マップ作りはあくまでも手段であって、それをどのように地域の中で活用していくかが重要。それがひいては、「まちづくり」につながっていきます。地域版ハザードマップというツールを通じて地域に住む多世代がつながったり、一人一人が発言し動いたりすることで、安全・安心なだけでなく、にぎわいや活気の感じられる”まち”になっていくはずです。

講演で水野さんは、「地域ぐるみのイベントなどは住民同士の顔つなぎの機会になるだけでなく、 地域の抱える問題の掘り起こしにも役立つ」と強調

講演で水野さんは、「地域ぐるみのイベントなどは住民同士の顔つなぎの機会になるだけでなく、 地域の抱える問題の掘り起こしにも役立つ」と強調

各グループの発表後には、水野さんから企画内容や実施するに当たってのアドバイスが送られました

各グループの発表後には、水野さんから企画内容や実施するに当たってのアドバイスが送られました

水野直樹さん(スタディライフ熊本理事)

講師・ファシリテーター
水野直樹さん(スタディライフ熊本理事)


テーマ「高齢者支援」 お散歩に行こう!!

誰もが暮らしやすい地域であるための情報を発信!

高齢者だけでなく、障がい者にも向けた企画として提案しました。グループ内で「外出したときに困らないマップを作ろう」と意見が一致。店の入り口やトイレなどは車いすでも使いやすいか、メニューは何があるかなどを、高齢者や障がい者の声を基に項目に挙げ、マップに落とし込みます。他にも公共交通機関、段差やエレベーター・エスカレーターの有無、景色の良いウオーキングコースなどの情報も、写真付きで掲載します。マップを活用して高齢者や障がい者の外出が増え、将来的な環境整備につながればとの思いも込めています。話し合いの中では、「この内容はベビーカーを押して移動する家族連れにも応用できるのでは?」との意見も出ました。

「高齢者や障がい者が住みやすい町=私たちも住みやすい町」という点を意識した企画に

水野さんからのアドバイス

作成した地域版ハザードマップに、「その地域で課題になっていること」をプラスした内容にするアイデアがいいですね。災害時だけでなく日常でも使えるハザードマップ。「ちょっと行ってみようかな」と思わせるタイトルも素晴らしい!


テーマ「多世代交流」あなたの情報で町を救おう!!

地域の「祭り」の場を利用して情報提供を依頼する逆転の発想!

幅広い世代を対象にしたテーマだけに難しい面もあり、参加者それぞれの地域での実例を挙げながら企画を考えました。古くからの顔なじみが多いコミュニティーはまとまりやすい一方、学生や一人暮らしが多い地域は、(地域で)何が行われているか分からないという人も少なくありません。そこで着目したのが「祭り」です。地域で行われる祭り会場に「ハザードマップ作り」のブースを設置。住民一人一人が、自分の持っている情報を落とし込んでいくことで、多世代・多方面の情報が網羅されます。しかも参加すると、豚汁などがもらえる特典付き。積極的な告知を行えば、祭りの参加者も増えて多世代交流にもつながります。

方向性や具体的な企画内容に迷ったグループには水野さんが入り、アドバイスやヒントを提供

方向性や具体的な企画内容に迷ったグループには水野さんが入り、アドバイスやヒントを提供

水野さんからのアドバイス

ハザードマップは、地域の役員が中心になって作成し配布するのが一般的です。それを、「住民に持ち寄ってもらう」という逆転の発想が面白いですね。まちづくりに関心のない人も、いつの間にか参加していて、マップ上で皆がつながることができます。


テーマ「子どもたちの防犯」デンジャラススポットリサーチ

防犯上の危険箇所把握に加えて地域の新たなつながりも生む

「子どもたちが興味を持ってくれるには?」と考えてたどり着いたのが、「ゲーム感覚」で参加できるイベントです。一人で出かける機会が増える小学校高学年とその親を対象にし、子ども目線で危険箇所を見つけるのがポイント。内容は、大人と子ども、地域の方々でチームに分かれてまち歩きを行い、危険箇所を探します。事前に主催者が調べておいたポイントにはそれぞれ点数が付いていて、見つけることでチームの点数が加算されていきます。そうやって楽しみながら、「防犯」の視点から地域版ハザードマップを完成させていくというもの。高齢者や子ども会、見守り隊なども巻き込んで実施することで、地域に新たなつながりも生まれる一石二鳥、三鳥の企画です。

大学生たちの斬新な視点やアイデアも、企画を考える上で重要なエッセンスになりました

大学生たちの斬新な視点やアイデアも、企画を考える上で重要なエッセンスになりました

水野さんからのアドバイス

「競い合うことで楽しめる」「遊んでいるのに役に立つ」という流れがいいですね。地域の見守り隊の方々と子どもたちが一緒に行動することが、結果的に見守る側と見守られる側を引き合わせている点も素晴らしい。人生を豊かにする企画だと感じました。


テーマ「防災」誰でも分かるハザードマップをまちづくりに生かす!

災害時に在熊外国人にも情報発信を 将来的に海外からの旅行者へも

自治会に入っていないと、地域のさまざまな情報が入手しづらいと感じます。ましてや言葉や文字の理解が難しい外国人は、なおさらではと考えて企画。内容は、4月20日に熊本市が行う「一斉避難訓練」に、地域で暮らす外国人にも参加してもらおうというものです。まず、地域内の外国人コミュニティーを探し、そのリーダー的な人を通じて情報を発信し、避難訓練への参加を呼び掛けます。さらに、外国人参加者の意見も取り入れた地域版ハザードマップを作成。その先の展開として、熊本市の観光情報と一緒にハザードマップが入手できる「外国人も分かるハザードマップ」アプリの作成や、印刷したものをホテルなどに掲示することも視野に入れた提案です。

企画を練る段階では、地域版ハザードマップの多言語化なども話題に上りました

企画を練る段階では、地域版ハザードマップの多言語化なども話題に上りました

水野さんからのアドバイス

海外からの旅行者は、熊本で暮らしている外国人以上に日本語が分からないので、とてもいい企画ですね。工夫次第で、学校の授業への活用もできそうな内容なので、いろんな発展が期待できる企画だと思います。


参加者の感想

学んだことを生かし地域に「見守り隊」を

私の住む地域にはマンションが増え、それに伴い子どもも高齢者も増加し、「見守り隊」の発足が喫緊の課題です。将来、私も見守ってもらう立場になるので、セミナーで学んだことを生かし、活動の要となって“でけたしこ”でやっていきます。
松倉麻美さん


たくさんの「困った」集めるツールを

地域の中には、高齢者や障がい者にとって不便なことがたくさんあると知りました。セミナーで得た情報を発信し、多くの人に伝えていくことが大事。困っている人しか分からないことがもっとあると思うので、そうした情報を集められるツールがあればいいと思いました。
熊本大法学部・伊藤ゼミの皆さん


「まちづくりは行政の仕事」という考えが一変!

自分の視野を広げる機会になればと思い参加しました。まちづくりは「行政がするもの」というイメージが強かったのですが、誰でも参加できるのだと気付きました。自身でSNSを使い、障がいのある方に向けた飲食店などの施設情報を発信しているので、今後も続けていきます。
森雄也さん


参加者同士の情報&意見交換も役立つ

セミナーに参加することでさまざまな世代や地域の方に会うことができ、楽しかったです。知らない情報を得ることができるだけでなく、私の情報が誰かの役に立つことも。まちづくりには、こうしたお互いにプラスになる場と、人づくりが大切だと思います。
フェレロ恵美さん


第4回セミナーのまとめ

まちづくりを「自分ごと」に まずは自分の動ける範囲から始めて!

イメージできそうでできないのが「まちづくり」。地域で安全・安心に暮らすためには、住民一人一人が参画することが必要です。計4回のセミナーを通して、参加者が「まちづくり」を「自分ごと」として捉えることができたらいいなと思い進めてきました。

今回行った、地域版ハザードマップをまちづくりに活用する企画会議では、それぞれが自分の置かれている現実の環境とまちづくりを重ね合わせて、実現可能な提案が出されました。それも、自分の暮らしとまちづくりが重なり、「自分ごと」になったからでしょう。そうなると、地域の中の疑問点や問題点にも目がいくようになります。とはいえ、いきなり大きなことから始めようとすると、障壁ばかりが目に付き実現が遠のくばかりです。今回のセミナーで、地域で暮らしているからこそ提案できるまちづくりがあると感じてもらえた皆さんには、できるだけ小さく、自分の動ける範囲から始めてほしいですね!


まちづくり探検隊・読者アンケート

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