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熊本・南阿蘇「旅館 心乃間間(このまま)」|絶景と美肌の湯に癒されて、自分時間を楽しむ大人の温泉宿

ぴちこ

熊本の温泉ソムリエ・第一号の「ぴちこ」が熊本県内の温泉宿にまつわる、歴史や人、風景、食など、訪ねた人にしか感じられない魅力を発信します!

季節の移り変わりが美しい南阿蘇―。野焼きを終えた阿蘇の山々は初夏を迎え、新緑に包まれています。

そんな景色をわずか10室のプライベート空間から眺めることのできるのが温泉宿「旅館 心乃間間(このまま)」です。

熊本市から場所を移したのは12年前。現在は、“あえて食を出さない”という「泊食分離」の素泊まりスタイルでお客様を迎えている「旅館 心乃間間(このまま)」の魅力とその進化を、社長の藤江甚午さんと妻で女将の沙弥加さん夫妻にお話を伺いました。

目次

7千坪の敷地にわずか10室。大人の宿は泊食分離のスタイルへ

景色になじむ建物

心乃間間からの景色

「心乃間間」を訪れて最初に驚くのは、その絶景。フロントから見えるのは、視界の中心に延びるアプローチと、左右にある丘、その先に阿蘇五岳の雄大な景色が広がっています。

客室を探すと、実は丘にひっそりと客室の入り口が! なんと建物自体が地中に潜っているように造られており、自然と調和しています。

出来るだけ人工物を表に見せない工夫が絶景をより引き立てています。

「自然の中に存在した時に馴染む宿、というのがテーマでした」と藤江社長。九州を中心に活躍する熊本の建築家・大森創太郎さんに想いを伝え、理想通りの建物が完成しました。

心乃間間ラウンジ

「とにかく眺望が一番の自慢。チェックインからアウトまで、この景色を楽しんでいただきたいと考え、目線の変化にもこだわりました。フロント、アプローチ、客室…、それぞれの場所に高低差をつけることで見える景色が変わるよう工夫しています」(女将・沙弥加さん)

ただただ何もせず、その景色に見惚れる時間は、言葉に変え難い贅沢な時間です。

女将の藤江沙弥加さん
女将の藤江沙弥加さん
「山を背負った母屋の景色も好きなんです」と女将・沙弥加さん
「山を背負った母屋の景色も好きなんです」と女将・沙弥加さん
建物を含めて絶景を保つためには手入れも大変。社長自ら刈り払い機を手に除草作業を行っているそうです
建物を含めて絶景を保つためには手入れも大変。社長自ら刈り払い機を手に除草作業を行っているそうです

心乃間間(このまま)の温泉はいつでも独り占め

客室「洋室」の浴室
客室「洋室」の浴室

源泉にたどり着くまでに苦労した温泉は、肌に嬉しいとされる美人湯。各部屋に温泉を引き、滞在中は人目を気にせず温泉三昧!を叶えてくれます。

泉質は、「ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉」。pH8.13弱アルカリ性のお湯はやわらかく、湯上がりはさっぱりとした爽快感があります。しかも、肌がツルツル・もっちりになると言われるW美肌の湯。

客室の浴槽はボタン式給湯を採用し、お客様のタイミングで温泉を楽しめるようになっています。

滞在中、いつでも楽しめる「自分たちだけの温泉」だからこそ、大浴場ではタブーとされる顔までたっぷりつかって、温泉成分を十分に取り入れるのがおすすめです。きっと「翌朝の肌が違う!」と実感できるはず。

心乃間間の足湯
心乃間間の足湯

敷地内にある足湯の建物は以前、男女別の大浴場として利用されていました。熊本地震で建物にゆがみが出てしまったことや湯量の減少などから、現在は足湯として活用されているということ。

温泉は限られた資源。藤江さんご夫妻は、客室の温泉を優先し大浴場を閉めることを決断。

新たな憩いの場として生まれ変わった足湯からもまた、違った阿蘇の景色を楽しむことができます。ゆったりと、コーヒーを片手に過ごす時間もまた一興です。

あえて食を切り離し、素泊まりの宿へ

全国では素泊まりの泊食分離スタイルの温泉宿が増えていますが、熊本ではまだまだ少ないのが現状。「旅館 心乃間間(このまま)」では3年前から、食事の提供を辞め、素泊まり宿として運営しています。

心乃間間の客室(メゾネット)
客室は全部で10室。全室に温泉があり、阿蘇の大自然をダイレクトに感じることのできるつくり(メゾネット)
大きな窓を備えた寝室(メゾネット)
大きな窓を備えた寝室(メゾネット)
落ち着いた雰囲気の和室
落ち着いた雰囲気の和室

社長の藤江さんは、「私も外泊時には外に食事に行くことが多く、また、食事の時間が決まっていると、チェックイン時間の制限に縛られてしまいます。そこで、料理人さんの定年退職を機に泊食分離をスタートすることにしました」と言います。

スタイルを変えたことで、離れていったお客様もいる一方、新しいお客さんとの出会いも増えたと言います。
阿蘇周辺には個性的な飲食店が点在しているため、食の楽しみ方も広がります。

宿泊客は無料で利用できる「フリードリンクバー」
宿泊客は無料で利用できる「フリードリンクバー」

熊本駅前から南阿蘇へ。温泉宿としてスタート

「心乃間間」の前身でもある「藤江旅館」が時を刻み始めたのは大正13年。場所は熊本駅前。その立地から、観光客やビジネス客に親しまれていました。

大正13年の藤江旅館
藤江旅館

昭和に入り、道路拡張のための全面改装や、別館・新館の増築など、進化を続けた「藤江旅館(当時は藤江ホテルに改名)」は平成20年には、客室40室以上の宿へと成長していたそうです。

しかし、九州新幹線の開業に伴う敷地縮小が転機に。悩んだ末に「田舎で小さな宿をやりたい、と思いきって移転することに決めました」(社長・藤江甚午さん)

それから開業までにかかった歳月は実に5年。

「約2年かけて場所を探し温泉掘削を開始し途中、九州北部豪雨で水が入ってしまうというアクシデントも…。一時は、断念も頭をよぎりましたが、無事に掘削が完了し湧出した温泉は、とてもやわらかな肌ざわりの良泉で、とても嬉しかったです」(社長・藤江甚午さん)。

苦労を重ねた5年間。平成25(2013)年7月、無事に「心乃間間」はオープンを迎えたのでした。

まとめ:時代に合わせて進化。未来を見据えた温泉宿

「数年後は、また違うスタイルになっているかも」と話す藤江さん。これまでのように、時代や状況に柔軟に対応しながら新しいカタチを見つけるのが、目指す宿のあり方ということです。

インバウンド客の増加をはじめ、旅行スタイルなど、多様化している現代。全国でも、「老舗有名料理宿が料理提供を終了」という話を耳にします。

先代から守り続けてきたものを変えないことも大事ですが、今、温泉業界には「変化」への決断を迫られているのかもしれません。

移転の決断、スタイル変更の決断―藤江さん夫妻の決断によって進化し続ける温泉宿として、これからも目が離せません。

♨️温泉データ 源泉「心乃間間」
客室「和室」の温泉

泉質名:ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉

源泉温度:41.6℃

加水なし・加温あり(客室・露天風呂)・ボタン式給湯(源泉使用)

旅館 心乃間間(このまま)

住所

熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰5304-1

TEL096-67-2411
Webサイトhttps://konomama.jp
営業時間チェックイン15時、チェックアウト10時
休業日不定休 ※休館日はHPをご確認ください
駐車場あり

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この記事を書いた人

温泉ソムリエ&温泉ソムリエアンバサダー・熊本第一号。熊本愛強めのフリーランスのエディター&ライターです。コロナ禍をキッカケに愛犬とのキャンプにハマり、「温泉×キャンプ」を楽しむ日々を送っています。

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