【383号】すぱいすフォーカス – 秋になったら願掛けめぐり! 大仏を拝みに県北ドライブ
さあ9月! 心落ち着く秋は、穏やかな表情の仏様をめでるにはおすすめの季節。魅力ある仏像を探していたら、なんと県北エリアに東大寺レベルの大仏が4体も! 熊本でも珍しい大仏をめぐるドライブへ行ってきました。
大小のおびんずる様に参拝
日輪寺
おびんずる様
完成年:1988年
高さ:30m
材質:FRP
春のツツジや、細川家お預けになった赤穂義士の遺髪塔など、見どころ満載の山鹿市『日輪寺』。境内の裏山から見守るのが、釈迦の弟子の一人で、十六羅漢の筆頭に挙げられる「おびんずる様」です。
国道3号からも、樹木の間からのぞく顔が見られる巨大な大仏。近づくとその迫力に圧倒されます。住職の荒木正道さんによると、古くから伝わる座像の「おびんずる様」があり、そのシンボルとして大仏を造ったとか。大仏の足下には座像の「おびんずる様」を本尊とするお堂があります。また大仏と同じ姿の小さな「おびんずる様」も安置されており、こちらは、なで仏として親しまれています。
大仏内のおびんずる様の体をさすって、癒やされてください
日輪寺住職 荒木正道さん(写真は境内の大石内蔵助像)
山道を歩くかいがあるご尊顔
弘泉寺
釈迦説法座像
完成年:1979年
高さ:38.5m
材質:鉄筋コンクリート
フジの名所で知られる玉名市の山田日吉神社の近くにある『弘泉寺』。そこから田んぼを抜け、険しい山道を約15分歩くと同寺「奥の院」に到着。見上げると山の上に、縦が7mもある大仏の顔が。ニッコリ笑っているような穏やかなご尊顔に、山歩きの疲れもどこかに消えてしまいます。
「今は草や木々の葉で覆われていますが、体もあるんですよ」と住職の野内雅仁さん。祖父で初代住職の一念さんが戦友の供養にと、山を切り開き、地元の仏師・東義雄さんと2人で10年の歳月をかけて造ったそうです。完成当時の写真を見せてもらうと、スケールの大きさに再びびっくり。帰る際にはお寺に寄って、完全な大仏写真をぜひ見て!
山道を歩くので、参拝の際はトレッキングスタイルで!
住職の野内雅仁さん(左)、父の雅行さん
戦争犠牲者の供養のために造られた完成当時の釈迦説法座像
人々を救うため龍身になった上人
蓮華院誕生寺奥之院
皇円大菩薩の大仏様
完成年:1989年
高 さ:13m
材 質:銅製
小岱山の西の中腹に広がる『蓮華院誕生寺奥之院』。境内の中央にある仁王門をくぐると、真正面の木々の間から「皇円大菩薩の大仏様」の姿が見えてきます。
波やウロコの模様が刻まれる台座の上で、穏やかな表情で手を合わせるのは皇円上人。玉名の地で生まれ、浄土宗開祖の法然上人の師匠でもあった高僧です。「皇円上人は人々を救うために龍身となって桜ヶ池(静岡県)に入定されました」と僧侶の川原光照さん。なるほど、池から姿を現すシーンがモチーフになっているようです。これから冬にかけて、背後に夕日が落ちていくとか。大仏と夕日との共演も魅力的です。
11月3日は奥之院大祭。周囲の紅葉もきれいな、秋の奥之院へぜひ
僧侶 川原光照さん
青空に映える白い大師像
慈照院
弘法大師大仏
完成年:1973年
高 さ:約20m
材 質:鉄筋コンクリート
国道208号から県道46号に入り約10分、『荒尾大師・慈照院』の案内板が見えてきます。看板から細い道を上っていくと、駐車場からでも見える白い体の「弘法大師大仏」が待ち構えていました。
大仏を造ったのは、住職の末藤伝修さんの祖父で、この寺を開いた児玉修明和尚。当初は、和歌山県の仏師による仏像が鎮座する予定でしたが、完成した仏像は想像以上に小さかったとか。そこで、児玉和尚は自らの手で大仏を造ろうと決意。家族が浄財を集め、自身も足場から落下するなど、多くの苦労を重ね11年をかけて完成させました。ほのぼのとした表情の裏に、和尚の熱い想(おも)いがありました。
大仏の顔は祖父に似ていると言われますが、最近は私も似てきたような…(笑)
住職 末藤伝修さん
大仏の台座はなんと本堂。仏師に依頼した仏像は本尊として安置されています
コメント
1