【417号】初夏の花岡山辺りをのんびりお散歩 春日をてくてく
JR熊本駅前の再開発が進み、西区の春日春日周辺は新しい顔を見せ始めています。移りゆく景色の中、駅から花岡山の辺りを歩いてみると、さまざまな「へえ、そうだったのか」を秘めたスポットがあります。変わるもの、変わらないものが混在した熊本駅周辺で、歴史の息吹を感じてきました。
花岡山の頂上からは、熊本市の中心部から東部、南部にかけて一望できます
博多へ向かう新幹線を清水寺からパチリ。運転手さんを確認できるほど間近!
"西郷どん"も清正公も熊本バンドも
JR熊本駅新幹線口から歩いて15分以内のところに、見どころが点在。そこで、春日地域コミュニティセンター運営委員会長の益田陸一さんに案内してもらうことにしました。ぜ〜んぶ回ると約2時間。新しい発見がいっぱいでしたよ。
"おてもやん"が見守る町は、さまざまな歴史の舞台でした!
新幹線口を出るとすぐ、片足を後ろへ跳ね上げた愛らしい姿のおてもやん像を発見。「サンバおてもやん」のメロディーを口ずさみながら北へ向かいました。春日神社・加茂神社を巡って清水寺へ。目の前を加速しながら通り過ぎる新幹線を見て得した気分になりながら、写真をパチリ。そこから花岡山までは徒歩で上りました。
民家の間の石段やくねくねと曲がった道を進むと5分ほどで中腹に。神風連の乱の官軍墓地や西南戦争で熊本城をめがけた薩軍砲座の跡などがあり、“西郷どん”に思いをはせます。
そこからの長い石段を上がると熊本市内が一望できる頂上に到着。息を整えながらしばらくの間、目の前に広がるパノラマに感動です。仏舎利塔が立つ花岡山は、その昔、熊本築城の際の石切場、明治に入って熊本バンドが誓いをたてた場所でもありました。
花岡山
標高133m。頂上広場は、仏舎利塔や加藤清正にまつわる史跡を見ることができるほか、日本キリスト教の源流ともいえる熊本バンドゆかりの地でもあります。さまざまな歴史を感じる場所です
山頂にある白い仏舎利塔が目印。春は桜の名所としても有名です。奥は金峰山
春日神社・加茂神社
京都の賀茂神社の末社として建立された加茂神社。大正初期に春日神社の境内に移されたため、現在は春日神社と加茂神社は同じ敷地に並んで立っています
拝殿前には、一対のこま犬が鎮座
官軍墓地・砲座跡
神風連の乱で犠牲になった鎮台の司令長官種田政明や初代県令安岡良亮をはじめ、多くの戦死者が眠ります
案内板を発見! 官軍墓地、薩軍砲座の跡を通って花岡山山頂へ
1877(明治10)年の西南戦争の際に熊本城を攻撃するため、この地まで大砲を運び上げて砲撃した薩軍。しかし、大砲の弾は熊本城まで届かず、途中の新町や段山付近に落ちたともいわれています
兜石・腰掛け石
熊本城の石垣は、その多くが花岡山から採られた石と伝えられます。石を切り出す際に指揮した加藤清正が腰掛けたという腰掛石、兜(かぶと)を脱いで置いたという兜石があります
仏舎利塔
日蓮宗の藤井日達上人が1954年に建立。インドの故・ネール首相から贈られた仏舎利=釈迦(しゃか)の遺骨=が納められています
日蓮宗の藤井日達上人が1954年に建立。インドの故・ネール首相から贈られた仏舎利=釈迦(しゃか)の遺骨=が納められています
熊本バンド
熊本洋学校の教師ジェーンズの教えを受けた生徒35人が1876年1月30日、「キリスト教で日本を救おう」と奉教趣意書に署名し、誓いをたてた場所です
熊本洋学校の教師ジェーンズの教えを受けた生徒35人が1876年1月30日、「キリスト教で日本を救おう」と奉教趣意書に署名し、誓いをたてた場所です
都(みやこ)にちなんだ寺や地名が春日に多いのはどうして?
「春日」は、古墳時代の大和政権の直轄地、春日部屯倉(みやけ)が置かれたところで、その由緒ある名がそのまま地名に残ります。清水、長谷、加茂、春日など都をほうふつとさせる名の寺社が多くあるのは、平安時代に肥後の国府が現在のJR熊本駅周辺に置かれた際、京都から赴任した国司が京の文化をこの地に伝えたためといわれています。
春日てくてくマップ
案内してくださったのは
春日地域コミュニティセンター 運営委員会長
益田 陸一さん
春日小学校の児童たちと花岡山に桜の木を植樹するなど、春日校区の町づくりに奮闘。春日校区郷土史保存会副会長、春日校区まちづくり委員会長を歴任。
清水寺(長谷寺)
地元では清水寺で知られます。山門からは熊本駅に出入りする九州新幹線がバッチリ見えます。鉄道ファンならずとも、目の前を通り抜ける新幹線にワクワクすること間違いなしです
清原神社
肥後の国司として京から赴任した清原元輔がまつられています。元輔の娘は、なんと「枕草子」を書いた清少納言!
北岡神社
神社の創建は平安時代。京都の祇園社(八坂神社のこと)の御分霊を勧請したのが始まりで、古くは祇園社・祇園宮と呼ばれていました。藤崎八旛宮と並び称される古い神社で、西南戦争の際は薩軍の本営も置かれていました
おてもやん
県民に親しまれている民謡「おてもやん」は、春日が発祥の地。歌詞にも「春日」の地名が登場し、モデルの富永登茂(チモ)は北岡神社近くの小作農の娘といわれています
※参考書籍
・熊本県の歴史散歩/山川出版社
・新版 熊本県の歴史散歩/山川出版社
・熊本駅周辺うんちく歴史巡り/マインド
ちょっと一服
3代続く老舗のもち屋。赤飯や自家製粒あんのおはぎが人気です。春は桜もち、初夏は柏もち、夏は水ようかんと季節に応じた商品も登場します。おはぎ118円、大福118円
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