【480号】駅で過ごす まったり時間
ローカル線の駅に魅力を感じてレストランやカフェを開く人が出てきています。新たなコミュニティー空間として生まれ変わった駅に、まったりとした時間を過ごしに行ってみませんか。
地元の人が愛し・集う― ローカル線の駅たちが魅力ある空間に!
歴史ある駅舎や山里の小さな駅舎…。人を迎える「駅」としての役割に、新たな魅力が加わった4つの駅をご紹介。懐かしいたたずまいやそこでしか見られない風景、人の交流など、仕掛けた人たちが「駅」に引かれた理由も聞いてみました。
[JR肥薩線]大畑(おこば)駅 × フレンチレストラン
囲炉裏キュイジーヌ ループ
人吉球磨の豊かな食材を 心踊るフレンチで楽しむ
明治42年に開業した当時の駅舎が残るJR大畑駅。昨年9月に、構内の旧保線詰所をリノベーションしたレストラン『ループ』がオープンしました。
キッチンを囲むように設けられたカウンターで味わえるのは、人吉・球磨の食材を生かした「囲炉裏フレンチバーベキュー」。ジューシーに焼き上げたお肉をメインに、スイーツのようにカラフルな「野菜のパフェ」やフレンチ風にアレンジした郷土料理の「つぼん汁」など、一品一品手の込んだ料理が登場します。
昼時には特急「いさぶろう・しんぺい号」が発着。料理に加えて、駅ならではの人の乗り降りも、イベントさながらの特別感を与えてくれます。
銀座やフランスで経験を積んだ中務雅章さん(写真右)が腕を振るいます
出発する列車に向かって手を振ってあいさつを交わすのも日常の風景に
季節のフルーツを使ったパフェ。写真は「いちごの給水塔パフェ」1200円
『ループ』と並んで立つ大畑駅の駅舎。壁面は訪れた人の名刺がいっぱい
大畑駅のシンボル・石積みの“給水塔”が迎えてくれる『ループ』
「囲炉裏フレンチバーベキューランチコース」は1800円~。写真は、和王と黒豚を盛り合わせた2500円のコース。炭火でじっくり焼き上げるので、ジューシーな肉のうま味があふれます
店舗情報
- 住所
- 人吉市大野町4301
- TEL
- 0966-23-1003
- 営業時間
- ランチタイム11:30~14:00、ティータイム14:00~17:00、ディナータイムは要予約
- 休業日
- 水曜
- 駐車場
- 12台
[JR肥薩線]矢岳(やたけ)駅 × ホテル
国鉄矢岳駅旧駅長宿舎 星岳・月岳
"駅長の家"がホテルに 宿泊の受付は8月から
大畑駅の次の矢岳駅から歩いて3分の場所にある旧国鉄駅長宿舎。登録有形文化財に指定されている明治末期の建物をリノベーションしたホテルが8月2日(金)に誕生します。
古き良き日本建築の面影を残す雰囲気の良いホテルは、誰にも邪魔されない一棟貸し。山里の自然を眺める浴室や、『ループ』での食事などで、非日常の時間を約束してくれます。
2棟からなるホテル。ロンドンタクシーで送迎され、『ループ』でフルコースを味わえるなど、山あいのホテルとは思えないおもてなしが待っています
店舗情報
- 住所
- 人吉市矢岳町葭ノ本4762
- TEL
- 0966-23-1003
- 料金
- 1泊2食1名につき4万4000円(JR人吉駅からの送迎込み)
- 備考
- 電話番号は『ループ』
秘境駅の魅力を生かす
人吉市の地元有志から古民家再生の依頼を受け、300軒もの古民家を見学した中で注目したのがJR肥薩線の大畑駅と矢岳駅。「山あいの秘境駅は、国鉄OBや地元の方々が手入れされ、春は桜、秋は紅葉が楽しめる場所でした」と中島さん。ここでおいしいフレンチを味わえたり、ゆっくり泊まれたりするとステキだなと思ったのが計画の始まりです。「JR九州や地元の協力を得て生まれたレストラン。この経験を九州各地の無人駅に生かしていきたいですね」
リノベーションに関わった(株)『CLASSIC RAILWAY HOTEL 人吉球磨』 代表 中島 秀豊さん
[南阿蘇鉄道]南阿蘇水の生まれる里 白水高原駅 × 古本屋
ひなた文庫
田園に囲まれた週末本屋で のんびり読書三昧
時計塔を持つ八角形のかわいらしい建物は、日本で最も長い駅名を持つ駅舎。ここに金・土曜限定でオープンするのが古本屋の『ひなた文庫』です。
駅舎の本棚に並ぶのは、小説や実用書、漫画、絵本などジャンルが多彩。イスやソファもあるので、田園風景を楽しみながらのんびり読書…とぜいたくな時間も過ごせます。
8月24日(土)の夕方から、夜中まで駅舎を開放して「本屋ミッドナイト」が開催されます。野外映画館やホームでの朗読会などが予定されています。詳しくはHPをチェックして。
本棚には、地元の方から提供された本棚やリンゴ箱などを活用しています
現在は運行停止中ですが、時刻表は以前のままです
熊本の出版社「伽鹿(かじか)舎」から発行される「銀河鉄道の夜」は、ココだけの取り扱いに
人々の交流の場にしたい
「初めてこの駅に降りた時、西日が差す駅舎は学校の図書館のように感じました」と中尾さん。本が大好きで出版社勤めの経験もある中尾さんは、「ここで本を読んでみたい。駅が本屋だったら…」と想像を膨らませていきました。「南阿蘇村には本屋や図書館がないので、気軽に本に触れられる場所になれば。また、村の人たちと旅行者との交流の場にもしていきたいですね」
『ひなた文庫』店主 中尾 恵美さん
店舗情報
- 住所
- 阿蘇郡南阿蘇村中松1220-1
- 営業時間
- 11:00~15:30
- 休業日
- 日~木曜
- 駐車場
- 10台
- 備考
- 問い合わせはTwitter@hinatabunko、HP http://www.hinatabunko.jpで
[JR豊肥線]宮地駅 × コーヒーショップ
ELEPHANT COFFEE(エレファントコーヒー)
駅で味わうハンドドリップの一杯
昭和18年に建てられたJR宮地駅。レトロな駅に降り立つと、コーヒーのいい香りが迎えてくれます。
駅舎内の一角でオープンするカフェでは、ハウスブレンドの「エレファントコーヒー」からフラッペまでコーヒーメニューは多彩。ハンドドリップで丁寧に入れた、香りと味を楽しめる一杯を提供してくれます。
ほかにも、高校生に人気のタピオカミルクティーや季節のスムージーもおすすめ。コーヒー豆やタンブラーなども販売しています。
夏におすすめ「フフラッペ&カプチーノ」(キャラメル・ホイップトッピング)450円
駅のホームを眺めるカウンターは特等席。観光客に阿蘇の見どころを尋ねられることも多いそうです
子どもたちの居場所を提供
「阿蘇神社近くで営業していたころ、2号店を無人駅に出店できないかと考えました。豊肥線の無人駅なら、観光客だけでなく、地元高校生の見守りにも役立つと思ったからです」と山本さん。ところが、熊本地震で1号店が被災し、計画は白紙に。その後、運よく宮地駅でカフェ営業の再開がかないました。「JR通学の学生のほか小学生も遊びに来るようになり、駅が子どもたちの居場所に変わりました」
『ELEPHANT COFFEE』店長 山本 沙記さん
店舗情報
- 住所
- 阿蘇市一の宮町宮地4737
- TEL
- 0967-22-0896
- 営業時間
- 11:00~18:00(OS17:30)
- 休業日
- 不定
- 駐車場
- 2台
- 備考
- 電話番号は、阿蘇はなびし
南阿蘇鉄道 × 駅舎めぐり
熊本地震の影響で、現在は高森ー中松間の限定運行中の南阿蘇鉄道。運休中でも駅舎でランチやスイーツが味わえるお店がオープンするなど駅めぐりが楽しめます。駅やお店の紹介、営業日などは「南阿蘇鉄道沿線ガイドマップ」をチェックして。
「中松駅」にあるカフェ「ひみつ基地ゴン」で人気のカレー
紅茶飲料のCM撮影地として話題になりました
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