【560号】すぱいすフォーカス – 天草四郎ゆかりの上天草へ

今年は生誕400年

島原・天草一揆で総大将となった天草四郎は、今でも語り継がれる熊本のヒーロー。そんな四郎が生まれたのは元和7(1621)年と推定され、今年で生誕400年を迎えます。ゆかりの地・上天草で四郎にまつわる謎に迫ってきました。


16歳でカリスマリーダー? 不思議な力 逸話にロマン?

天草四郎とは宇土城主・小西行長の旧臣であった益田甚兵衛と天草大矢野出身のマルタとの間に生まれた益田四郎時貞のこと。幼い頃は父親と共に長崎でさまざまな学問を修め、周囲からは「神童」とカリスマ的な人気を集めていました。

四郎が活躍したのは、関ヶ原の戦いから37年後の徳川三代将軍家光の時代。キリスト教禁教令が始まり、さらに飢饉が続いたことで農民・町人は苦境に陥っていました。中でも島原・天草は、キリシタンが徹底的に弾圧され、過重な年貢の取り立てが行われます。「年貢の負担を軽くしろ!」「キリスト教信仰を認めろ!」と要求し領民が集結。16歳の四郎を総大将に掲げ、島原半島にある原城で約3カ月におよぶ籠城戦を繰り広げます。

一揆勢からは総大将としてまつり上げられ、死後は幕府に逆らった者の末路として見せしめとなった四郎。一方で、湯島までの海面を歩いた、四郎の手のひらで鳩が卵を産み、中から聖書が出てきた…といった逸話が語り継がれるのも、神秘的なヒーローにロマンを感じる人が多かったからでしょう。

四郎のことを教えてくれたのは

熊本大学大学院准教授
安高啓明さん

長崎市出身。日本近世史の中でも江戸時代の法律、キリシタン史を研究。上天草市史の編さんや『天草四郎ミュージアム』企画展にも携わる。


ゆかりの地をめぐる

天草パールセンターの四郎像


“四郎の2つの墓”の一つ 天草四郎公園

天草四郎の生家があったとされる丘の上に広がる公園。中央には片手を上げる丸顔の四郎像があり、その後ろには「天草四郎之墓」と彫られた墓碑も。

天草四郎公園の四郎像


天草と島原の真ん中にある小島 湯島

一揆勢の首謀者たちが密会したことで“談合島”とも呼ばれる湯島。山頂の峯公園にカマボコ形のキリシタンの墓碑、島内の諏訪神社には武器製造に用いた鍛冶水盤が残されています。


四郎が祝宴を開いた展望所 千巌山(せんがんざん)

天草の島々や天草五橋が一望できる絶景スポット。山頂の展望所は、出陣の際に四郎が祝宴を開いたと伝わり、四郎が座ったといわれる岩も残っています。


腹心の妖術師をまつる神社 森宗意軒神社

四郎の腹心・森宗意軒は、山田風太郎の小説「魔界転生」で黒幕の妖術師として描かれる人物。ゆかりのある大矢野町中柳地区では「もりすけさん」と親しまれ、神社にまつられています。


四郎が逃れたトンネル? 吹割岩

キリシタンたちの重要な密会場所となっていた洞窟。島原の原城と海底トンネルでつながっており、四郎が逃げ延びた…という伝説も。


天草・キリシタンの歴史を学ぶ 天草四郎ミュージアム

丘の上に立つミュージアムは、キリスト教伝来から島原・天草一揆までの歴史を映像やジオラマで紹介。安高研究室の学生たちによる企画展示室も必見です。

店舗情報

天草四郎ミュージアム

住所
上天草市大矢野町中977-1
TEL
0964-56-5311
営業時間
9:00~17:00(最終入館は16:20)
休業日
1・6月の第2水曜
料金
入館料/600円、中学生以下300円、幼児無料

ゆかりの地への問い合わせは…

お問い合わせ

観光/上天草市観光おもてなし課

TEL
0964‐26‐5512
お問い合わせ

歴史/上天草市社会教育課

TEL
0969‐28‐3361

上天草からちょっと足を延ばしてみよう!

天草市

四郎ヶ浜

白砂の海水浴場は、寛永14(1638)年に四郎率いる一揆勢が上陸した場所。このことから四郎ケ浜と呼ばれています。

南蛮寺跡(正覚寺)

天草のキリシタン布教の中心となり、四郎も活動していたとか。島原・天草一揆後は、仏教布教のために正覚寺が建立されました。

天草キリシタン館

国の重要文化財「天草四郎陣中旗」をはじめ、ロザリオやクルス、マリア観音像など、潜伏キリシタンの貴重な資料を展示。

祇園橋

島原・天草一揆の激戦地となった町山口川に架かる珍しい多脚式の石橋。今の橋は天保3(1832)年に架けられ、国の重要文化財に指定されています。

苓北町

富岡城跡

平成17年に復元整備された『富岡城』は、一揆勢から総攻撃を受けた城。石垣の中には銃弾の跡が残るものもあるそう。


上天草高校〜天草しろう(知ろう)部〜

四郎と同じ16歳が四郎の魅力を発信!

16歳で島原・天草一揆の総大将として立ち上がった天草四郎。現代の16歳・上天草高校の生徒も、「天草四郎生誕400年」を盛り上げるバーチャルな部活「天草しろう部」を発足させ、冊子「しろう本」やPR動画、観光ルートなどの作成を進めています。

普段から上天草市と協働で地域の課題に取り組み、貢献してきた同校。しろう部の活動では、観光事業者や飲食店の店主などの地元の大人と一緒に学び、考え、上天草の魅力を発信していくそうです。

上天草高校天草しろう部の皆さんと担当の荒木真実先生。「町のキャラクターで身近な存在。多くの人を率いた魅力ある人」「四郎をイメージしたスイーツ作りで、町の人たちとのやりとりが楽しかった」と感想はさまざま。満面の笑顔に上天草愛があふれていました