青春時代の思い出の曲 音楽がタイムマシンになった【円盤で時間旅行109回 嶋田宣明 】
先月、鬼籍に入って10年目を迎えた友の「まだ忘れてないぞ。そっちはどうだい会」を開きました。
彼は中学生時代のバンド仲間で、ちょうど1人抜けた後釜のMr.ベースマンとしてやってきました。最初はただ、「バンドやればモテるだろう」くらいの不純な動機が(われわれもそうだったのですが)見え見えの、ベースの「ベ」の字も知らない奴(やつ)。覚えてもらうため、間違えるとドラムのスティックで手をはじく厳しい指導と自主練の成果もあり、ひと月ほどするとわれわれの仲間として立派に演奏することのできるベースマンになっていました。当時のレパートリーはもっぱらベンチャーズで、テケテケブラザーズとして、あちこちで演奏したのを思い出します。それからおよそ3年間、それぞれの進路が決まる高3くらいまで続け、最後はラジオ局主催のバンド合戦にチャレンジして、そこで一応バンドは解散。成績はもちろん優勝。賞品のエレキギターは、解散するバンドには必要なく、すぐ豪華な食事となってわれわれの腹に収まりました。
今回ご紹介する曲は、そのバンドが一度だけ再結成するきっかけとなった、バンドのドラマーの結婚式で演奏した曲、ベンチャーズの「10番街の殺人」。当時はイントロのギターコードが分からず諦めていた曲でしたが、その日のためにリードギターが猛練習することで実現しました。それはまさに4人が15歳に戻ったタイムマシン曲。今回はずうずうしく、その時に友人のスタジオで録音した私たちの演奏バージョンでお聴きください。
※今回紹介したものは5月24日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。