増える詐欺被害 だまされない方法は?
心当たりのない不審なメールが届き、アクセスしたら料金を請求された…。そんな経験はありませんか? 消費者をだまし、お金を盗み取る詐欺の被害が県内で増えています。被害に遭わないための対策を考えましょう。
今日も誰かが狙われている…
うその電話で現金をだまし取る「電話で『お金』詐欺」などが県内で多発しています。実際に起きた被害例を取り上げながら、回避のポイントを紹介します。
オレオレ詐欺
年々手口が巧妙化 娘や孫への成り済ましも
手口
息子や娘、孫など親族を装った電話で、お金を要求します。複数の犯人が警察や弁護士、会社の上司などを名乗り、現実に起こっていることと信じ込ませるケースが増えています。
県内の被害例
医師を名乗る男から電話がかかり、「息子さんの喉に悪性の腫瘍があるので、入院が必要」と言われた母親(70代)は、その後、息子を名乗る声のかすれた男から「財布と携帯電話、会社名義のカードを盗まれ困っている」との電話を受けた。さらに息子の上司を名乗る男から「今日中に支払いが必要。いくら準備できるか」と連絡があり、自宅に来た会社関係者を名乗る女に現金を渡してしまった。
被害回避のポイント
電話で「お金」の話が出たら詐欺を疑い、「こちらからかけ直す」と言っていったん電話を切りましょう。家族との「合言葉」を決めておくのも効果的です。
架空請求
「電子マネーカードを買って」は要注意
手口
利用した覚えのないサービスの使用料や、未払いの請求があるなど架空の事実を口実として金銭をだまし取ります。不審なメールや電話、はがきなどが届き、お金を支払わせようと誘導します。
県内の被害例
女性(20代)の携帯電話に、ガス料金の未払いがあるとショートメールが届き、記載されたURLのサイトにアクセスしたところ、支払いをしなければガスを停止するなどと表示された。女性はサイトに記載されていた内容に従い、電子マネーカードをコンビニで購入してコード番号を入力したため、電子マネーをだまし取られてしまった。
被害回避のポイント
事業者が、未納料金の支払いなどに電子マネーカードを購入させることはありません。不審なメールやはがきに記された連絡先にはアクセスしないようにしましょう。
預貯金詐欺
銀行員や警察官を装って訪問
手口
「キャッシュカードが不正に利用されている」「預金を保護する」などと電話をかけ、その後、銀行員や警察官と偽って自宅を訪れ、言葉巧みにキャッシュカードを預かり、預貯金をだまし取ります。
県内の被害例
70代の女性は、警察官を名乗る男からの電話で「あなたのキャッシュカードが悪用されている。被害者救済法の関係で、これからカードを取りに行く」と言われた。女性は、家に来た男を警察官と信じてカードを渡し、暗証番号を教えた結果、貯金を盗まれてしまった。
被害回避のポイント
警察や自治体職員などがキャッシュカードを預かりに来ることは絶対にありません。どんな理由があっても、キャッシュカードを他人に預けたり、暗証番号を教えたりしてはいけません。
ロマンス詐欺
恋愛感情を巧みに利用 欲しいのは愛より「金」
手口
インターネット上の交流サイトなどで知り合った相手を言葉巧みにだまし、恋人や結婚相手になったかのように振る舞い、金銭を送金させます。
県内の被害例
SNSでメッセージを送ってきた外国人男性(自称パイロット)とやりとりをしていた女性(30代)は、相手から「好きだ」「一緒になろう」などと言われるようになった。そして「日本に行くのに荷物を送りたいが、費用を立て替えて」と言われ、現金を振り込んだところ相手と連絡が取れなくなり、お金をだまし取られてしまった。
被害回避のポイント
写真やプロフィルは全部ウソです。自分が詐欺のターゲットにされていると気付いたら、SNSをブロックして警察に相談してください。
ささいなことでも周囲に相談して
県の消費生活センターに寄せられる相談件数は、この5年ほど、年間4000〜5000件で推移しています。内容は架空請求や還付金詐欺など「電話で『お金』詐欺」に関するもの、通信販売での定期購入トラブルや副業・内職トラブル、多重債務などさまざまです。親が巻き込まれたトラブルに気付いたお子さんからの相談も少なくありません。
消費者庁の全国調査によると、2021年度に消費者被害やトラブルを経験した人のうち、47・5%が誰にも相談をしていなかったことが分かっています。ささいなことでも、家族や友人など周囲の誰かに相談することが、消費者被害を回避する第一歩になります。
教えてくれたのは
熊本県消費生活課
山本さおりさん
だまされないためのアドバイス
「自分は大丈夫」と過信しない
「電話で『お金』詐欺」被害者の9割以上が、被害に遭う前は「だまされない自信があった」と思っています。誰でもだまされる可能性があると考え、日頃から備えておきましょう。
犯人からの電話を受けない
自宅の電話を在宅時でも留守番電話に設定しておきましょう。自動通話録音機や防犯機能付き電話機の利用も効果的です。
家族や相談窓口などを頼る
犯人は相手を不安にし、困惑させ、正しく判断できないようにして金銭をだまし取るのが狙いです。電話やメールで「お金」の話が出たら、家族や友人、警察、消費者相談窓口などに相談しましょう。
相談窓口
熊本県警察「電話で『お金』詐欺」ホットライン(24時間対応)
tel:096-381-2567(ふりこむな)
熊本県消費生活センター(月〜金曜:午前9時〜午後5時)
tel:096-383-0999
消費者ホットライン
tel:188(いやや)
被害総額約3億3000万円! 手口を知って対策を
昨年1〜12月に県内で起きた「電話で『お金』詐欺」被害認知件数は100件で、被害総額は約3億3000万円に及びます。しかし、これは氷山の一角です。家族に知られると恥ずかしいなどを理由に被害届を出さないケースが多いのです。
皆さんが被害に遭わないためには、実際の手口を知ることが大切です。県警は、最新の詐欺手口を知らせるメールを配信し、実際の犯人の音声を公開するなど情報提供に努めています。ぜひ家族で対策を取ってください。