サンドアートで描く復興【村上美香のヒトコトつれづれ】
東京在住のサンドアーティストCave(ケイブ)さんと阿蘇を巡る旅をしました。Caveさんは、11月3日に熊本城ホールで開かれる能登半島復興支援「いのちのめぐみコンサート」に出演されます。
そこで披露するのが阿蘇神社の復興記念交響曲「蘇」を題材にしたサンドアートなのです。交響曲「蘇」とは、熊本地震の被害から見事に再建した阿蘇神社を祝い、「芸術の力による復興支援として後世に残そう」とクラウドファンディングで制作されたもの。今年4月に阿蘇神社に奉納されました。作曲をした寺嶋民哉さんは熊本出身の作曲家。Caveさんは東京で寺島さんと出会い、交響曲「蘇」に魅せられコンサートで作品にしようと決めたそうです。
今回は阿蘇の神話を巡る取材です。約9万年前に大噴火を起こしたと言われる阿蘇の山、大きな湖から健磐龍命(たけいわたつのみこと)によって開拓された広大なカルデラの集落、峠を蹴破って開拓された阿蘇谷、南郷谷。湖が干上がり現れた大ナマズなどを想像しながら巡る阿蘇。いつも見慣れたはずの阿蘇もCaveさんの視点で回ると新鮮で幻想的。日が落ちると、阿蘇の草原を舞台に、作品のアイデアを砂で描いてくれました。
砂で描いては消え、消えてはまた描く姿が、幾度の自然災害にあっても復興していく阿蘇の姿に重なりました。神話や神々、人々の祈りなど目に見えない世界を感じ、目の前にある立体を平面で描くサンドアートが、コンサートでどんなパフォーマンスになるのか楽しみです。