【かたつむりのメモワール】かたつむりを心の支えに生きる 孤独な少女の奇妙で波乱の歳月【カルチャールーム映画】

大人の心に響く、こま撮りのクレイアニメ（ 8/1（金）公開）

オーストラリアを代表するアニメ作家アダム・エリオット監督による、各国で高評価を受けたクレイ（粘土）アニメです。

1970年代。双子のきょうだい、グレースとギルバートは、ひとり親の父を亡くし、別々の里親に引き取られることに。いつも支えてくれる姉思いの弟ギルバートとの手紙のやりとり、かたつむりのコレクション、そして個性が強過ぎるおばあさん・ピンキーとの交流を心の支えに、グレースは寂しい現実と向き合いますが…。

実写映画にしてもよさそうな内容ですが、1こまずつ動かして撮影するというすごく手間のかかるクレイアニメであえて制作することで、その独特な雰囲気がほぼファンタジーのような部分やブラックユーモア的な部分とうまくマッチして、味わい深い作品になっています。

ちょっとクセはあるけれど最後まで目が離せない面白さ。見た後には何とも言えない余韻とすがすがしさが残る逸品です。

（フリーライター 上妻祥浩）