【433号】カルチャールーム – 円盤で時間旅行 嶋田宣明
テーマ選びに悩む楽しさ 前職で身に付いた選曲スタイル
ラジオ番組の選曲を始めてから、もう十数年が過ぎました。私の番組は、毎回ちょっと変わったテーマを決めて選曲しています。今までのテーマを振り返ってみると、「インバウンド歌謡」「ドM歌謡」「台詞歌謡」「笑歌」「ピンク歌謡」などなど、条件を絞ることで、普段はなかなかターンテーブルにのることのないレコードにスポットを当てる楽しさがありました。先日、友人と話している時、自分でテーマを決めて選曲するスタイルが、広告代理店時代、表現に制限のある仕事に携わる中で、知らない間に身に付いていたと気付かされて、自分でもちょっとした驚きでした。
なんでも自由にできる不自由さ、私はそれが意外と苦手なタイプの人間なのでしょう。いまだに毎回、今度はどんなテーマにしようと悩んだりする時間が楽しいのです。中でも一番好きなテーマがCOVER SONG。オリジナルの歌の良さを生かしながら、今の時代の色付けや、新しい解釈で昔の曲をよみがえらせる手法ですが、取り上げる歌手や編曲者の力量が問われる難しいテーマでもあります。
今回ご紹介するレコードは1974年、和田アキ子が「古い日記」の3カ月後にリリースしたEPで、ジョン・レノンの名曲「LOVE」をカバーしたシングル「ふれあう愛(LOVE)」。英語のボーカルを追いかけるように入る、芝居掛かった男性のナレーションが印象的な曲です。あのゴッドネーチャンの別の一面を聴いたような、そんなカバーでした。
※今回紹介したレコードは8月21日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。