喫茶室 桜Café・熊本市中央区│館内散策も楽しい!建築家の想いが詰まった美術館内の喫茶室

江戸時代には上流家臣の屋敷が立ち並び、1755年には藩校「時習館」がたち、明治時代には陸軍が駐屯するなど様々な歴史をもつ「二の丸広場」。今は緑あふれる熊本城の眺望が楽しめる、いこいの広場となっています。
そんな「二の丸広場」の一角にある「熊本県立美術館」は来年2026年で50周年!
広場の緑と建物の赤レンガの色のコントラストが素敵なこの建物自体も、建築家によるアートです。そんな特別なアート空間を楽しみながら過ごすことのできる喫茶室 桜Caféをご紹介します。
熊本県立美術館を作られた建築家・前川國男さんとは?
熊本県立美術館は、1976年に開館され来年2026年で50周年を迎えます。


建物自体もフランスのパリで修業を積み、活躍された建築家 前川國男さん(1905~1986年)の作品。
前川さんは、東京文化会館や東京都と宮城県、福岡市の美術館など、人々が集まりやすく、過ごしやすい場所を作ることに力をいれられました。
そして、熊本県立美術館を建築する際は「あたかも以前からそこに存在しているような様態を示されるべきだ」と、あくまで「主」は「熊本城」で、「美術館」は「従」と位置づけされました。
外壁には、その姿が自然の中に馴染むようなコンクリートの壁に土の色を生かしたレンガ風のタイルを打ち付けてあります。
見た目の美しさに加えて強度もあり、前川氏が亡くなって40年後におきた熊本地震でも崩れることがなかったそうです。


そして、この写真はアート雑誌にも掲載されたことがある、館内を象徴するアングルから撮った写真です。
最も特徴的なのは、この天井!
ワッフルスラブ(格子梁)と呼ばれ、それを窓の外にも続かせることで建物の内外がつながり、より広々と見えるように工夫されています。
こちらも耐震性にも優れていると言われ、実際に熊本地震でも大きな被害がなかったことで、その強度が証明され、多くの作品を地震から守ってくれました。
外の木と調和するように木目加工されたコンクリートの柱や、65種類もの繊細な色の違いで組み込まれた床のタイルなど、前川建築のこだわりが詰まっています。
そして、アート空間の一部に溶け込んでいるのが、今回ご紹介する「喫茶室 桜Café」です。
「喫茶室 桜Café」の店内にもその前川建築のこだわりが随所に
「喫茶室 桜Café」店内も同じくアート空間で、ゆっくりのんびりと過ごすことができます。
天井は外まで続くワッフルラブ(格子梁)で、中の青色も前川建築で用いられることの多い「成層圏ブルー」と呼ばれる青が印象的です。


天井から吊るされている照明器具も全て前川さん設計によるもので、雨の日など、館内が薄暗い時にも素敵な空間を演出してくれます。




外まで突き出た天井や、天井まで続く一面の迫力ある窓により店内と外が一体化しているよう。
熊本城は見えずも二の丸広場の鮮やかな緑を眺めながら、リラックスができます。


ドリンクも充実!紅茶は熊本県産の和紅茶を含め10種類も揃います
「喫茶室 桜Café」のメニューもまた素晴らしく、この空間にマッチした飲み物やデザート、軽食が揃います。
中でも注目なのは、紅茶で、熊本県水俣市の「天の製茶園」やオーガニックティーファーム「あまたま農園」の和紅茶を含む全10種類が揃います。


ティーカップは次の3種類あり、どのカップに入れてもらえるか楽しみ♪
飲み頃を知らせてくれる砂時計にもわくわく感があります。


紅茶はうれしいポットサービスで、ティーポットが透明なので、届いたときにポット内でジャンピングする茶葉が見え、注ぐときには香りが高くあがり、紅茶の香りや色や味わいをゆっくり堪能できます。


なんだかノスタルジックな魅力が漂う、夏季限定の「青空クリームソーダ」650円も、この空間にぴったり。


創業70年以上の熊本市南区に本店を構える「まる味屋珈琲店」のコーヒーもあり、コーヒー派も楽しめます。
紅茶やコーヒーが苦手な方や、お子様にも飲んでいただけるフルーツジュースなどもありますよ。
具沢山のホットサンドは3種類!パスタやハッシュドビーフ、ハンバーグも
フードも充実していて、中でも人気なのは店内でプレスしたあつあつのパンをいただける「ホットサンド」!


「たまごサラダ」「ポテトサラダ」「ごぼうサラダ」の3種類があり、いずれも1100円で、選べるドリンク付きです。


写真の「たまごサンド」(選べるドリンク付き、1100円)は、たまごだけでなく、ハムやレタスなども入っていて、具沢山!


胚芽やふすま、小麦とライ麦の粒をまるごと挽いた全粒粉を使用した食パンを使用していて、パンの風味と食材がよく合います。


デザートも豊富で、写真は「苺とブルーベリーのクレープ」650円です。


これらメニューをいただく、この空間もまた、ご馳走です。
感性が磨かれそうな空間で、お子様と過ごすのもおすすめ
店内には、お子様用の椅子やカトラリーも用意されているので、ご家族連れでも楽しめます。


お子様との過ごし方としておすすめなのは、塗り絵です。
当館はお子様のアート教育にも力を入れられていて、当館が保有または寄託されているアート作品を塗り絵で楽しめる台紙が館内にて無料配布されています。そちらを手に入店して、店内で楽しむのもよさそう♪
写真は当美術館所蔵のピエール=オーギュスト・ルノワール「胸に花を飾る少女」。


他に、永楽文庫から寄託され修復保管などされてきた菱田春草の「黒猫」なども塗り絵の台紙となっています。
感性を刺激してくれる常設のアートや展示、物販にも注目!
カフェに向かう道中にも無料で間近で拝見できる常設の美術品がたくさんあります。
例えばこちらは、「考える人」などで有名なフランスの彫刻家 オーギュスト・ロダンの「接吻」。こちらはなんとレプリカではなく、本物だそう!


地下には「装飾古墳室」もあり、なんと開館中は無料で拝見できます。


中には熊本県山鹿がその名の発祥とされる「装飾古墳」の現物またはレプリカの展示が。お子さんが喜びそうな隠れ家的な展示となっています。


1500年以上前とは思えない素敵な色使いやデザインは、まさに日本のアートの原点かもしれません。
2階の展示室では、細川家ゆかりの品々をはじめとする美術館貯蔵の希少な展示が行われ、その出口付近では、熊本県上益城郡出身の浜田知明さんの版画の常設展が拝見できることも。
展示によっては、「ワークショップ」や「ギャラリートーク」と題し、学芸員の方などの解説を聞きながら楽しめる機会もあるので、アート初心者にはそちらもおすすめです。
物販コーナーでは、過去開催された展示の図録やグッズも販売中です。
こちらは、毎年開催している「アールブリュット展」の人気作家による作品です。よく見るとなんと切り絵なんです!よくできていますね。


美術館から一歩出ると、熊本城を望めるこんなにも素敵な光景が広がっています。
「桜Café」には、二の丸広場から直接入店することもできるバリアフリーの入口もあるので、二の丸や熊本城見学の休憩に利用するのもおすすめです。


熊本県立美術館は、二の丸駐車場(有料)からすぐ。アート空間の喫茶室や、建物や常設の設置物を見ながら散策できる楽しみがたくさん用意されています。
これからは、「美術館にアートを見に行く」と気負わずも、ぜひお気軽にお立ち寄りになってみてください。
喫茶室 桜Café
住所 | 熊本市中央区二の丸2番 熊本県立博物館内 |
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TEL | 096(352)2111 |
Webサイト | 熊本県立美術館 – 熊本県ホームページ |
営業時間 | 11時~16時(ランチ~14時OS、喫茶から15時40分OS) |
休業日 | 月曜(美術館に準ずる) |
席 | 店内29席、テラス8席 |
駐車場 | 二の丸駐車場(有料) |