腎臓を守って生き生きと健康に【医療従事者によるリレーエッセー】
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慈愛の心 医心伝心 vol.128
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)をご存じでしょうか。わが国の成人の5人に1人と多く、国民病ともいわれていますが、あまり知られていないのが現状です。検尿で蛋白(たんぱく)尿や血尿などの異常を認める場合や、腎機能を表すeGFR(推算GFR)が60未満に低下した状態を指します。
進行し腎機能が低下すると末期腎不全となり、血液透析や腎移植が必要となるため、早期診断・早期治療が大切です。また、腎臓が悪くなると心臓や骨も悪くなります。腎臓は大事な臓器です。
腎臓専門医としてCKDの診療に従事して30年になります。「先生のおかげで腎臓が良くなった」と喜んでくれる患者さんの笑顔を見たくて全力で治療に取り組み、国際学会で治療成果の学術発表も行ってきました。
2人の子育てに奮闘しながら、アメリカ、ドイツ、フランス、スペイン、デンマークなど多くの国で学術発表を行ってきました。幼い子どもを連れての海外出張は大変なこともありましたが、海外の文化に触れることは、私自身にとっても子どもたちにとっても素晴らしい経験となっています。
2020年に新型コロナウイルス感染症が広がり、国際学会での発表が難しくなりました。当たり前の日常が当たり前でないことに気づかされ、改めてこれまでの経験と出会いに感謝しています。
これからも皆さんの腎臓を守って「いつまでも生き生きと健康な毎日が送れますように」と願いながら、腎臓外来を頑張ってまいります。