道路マニアの僕が国道57号への愛を叫ぶ⑨【熊大生のイマドキヒマドキ?番外編】
道路が好きなKumarismのメンバー・Fuyaが、国道57号についてマニアックな視点で語ります! 道路に関心がある方も、そうでない方も、どうぞお付き合いください!
Fuya
大分出身、熊本が大好きすぎる文学部1年男子。大学生の春休みは長い!どこに行こうかな。
最終回!次世代の国道57号 中九州横断道路
このシリーズでは、熊本県内の国道57号の魅力を、道路好きの僕のマニアックな観点から紹介してきました。
シリーズ最終回の今回は、国道57号のバイパスとして整備が進んでいる「中九州横断道路」について紹介します!
今回も国土交通省熊本河川国道事務所に取材しました。
前回の記事はこちら
https://spice.kumanichi.com/human-culture/imadoki/130761/
中九州横断道路とは
中九州横断道路は、熊本市と大分市を結ぶ予定の、全長約120kmの道路です。
中九州横断道路は、略すと「中九州道」と表記されます。「九州道」みたいな表記なので、高速道路っぽい感じがします。
実際に現時点で開通済み、もしくは建設中の区間は、すべて高速道路と同等の規格で整備された自動車専用道路です。
けれども、中九州道は厳密にいうと高速道路ではありません。正しくは「地域高規格道路」という分類になります。なんだか難しいですね…。
簡単に説明すると、地域高規格道路は、「高速道路と一般道の中間のような性質の道路」です。
一般的に高速道路は70~100km/hで走行できますが、一般道路の多くは50km/h以下と速度に大きな差が生じています。
そのため、高速道路が通っていない地域にもスムーズに移動できる道路をつくり、広域的な道路ネットワークの形成や地域振興などにつなげることを目的としたのが、地域高規格道路です。
ちなみに、地域高規格道路は、概ね60km/h以上で走れるような規格で建設されます。
地域高規格道路は、熊本県内には中九州道以外にも、熊本と天草を繋ぐ計画の「熊本天草幹線道路」や、熊本市西部を通る「熊本西環状道路」などがあります。
どこを通る?
中九州道は、先ほど出てきた熊本西環状道路と接続した後、九州道の北熊本SA付近に新設されるJCTから、合志、大津方面に進みます。
建設が進むTSMCの工場などの近くを通ることから、半導体産業を支える重要な道路となりそうです。
大津から阿蘇の間は、開通済みの「北側復旧道路」が中九州道として活用されることが決まっています。
阿蘇市内はまだ計画が進んでいない区間も多いですが、前回取り上げた滝室坂の近くでは、並走するように滝室坂トンネルの建設が進んでいます。
滝室坂トンネルは、全長約4.8kmのトンネルで、九州でも有数の長さを持つ道路トンネルとなります。
阿蘇の火山灰などが堆積した複雑な地層を掘り進めるため難工事が予想されましたが、最新のデジタル技術の活用などもあり、概ね順調に進んでいるようです。2022年9月には、避難坑が貫通しました。
(注:避難坑とは、主に長大トンネルに設置されるもので、トンネル内で事故、火災などが起こった際に避難経路として利用される、車が通行するトンネルに並行して設けられるトンネル)
滝室坂から竹田市までの区間は、2022年から工事が始まりました。道の駅波野の近くでも、インターチェンジをつくる工事が行われていました。
竹田市から豊後大野市犬飼までのおよそ25kmの区間は、すでに開通しています。
無料で通行できますが、雰囲気はまるで高速道路です!
犬飼から大分市内の区間は、詳細は決まっていませんが、建設に向けた調査が始まっています。
思い入れのある中九州道
このように、開通しているところもあれば、事業が始まっていないところもあるなど、区間によって状況はさまざまです。
ですが、僕としては、ここ数年で一気に事業のペースが上がってきたように感じます。
僕が小学生だった頃、中九州道の事業は今ほど進んでいませんでした。
熊本に行く時、「早く全線開通しないかな」と思っていました。熊本・大分間を57号で移動すると3~4時間ほどかかるのですが、全通すると2時間ほどに短縮されるからです。
そして、暇さえあれば「どこに中九州道を通そうか、どんな構造のインターチェンジにしようか」と妄想にふけっていました(笑)。
A4の白い紙に、定規で道路を描くのが大好きでした。
6年生の卒業前には、阿蘇市にインターチェンジと道の駅、バス停を併設した複合施設の計画を、A4の紙5枚分ほどのスケールで描いたのを思い出します。計画が進む前だったからこそ、自由に考えることができてとても楽しかったです。
そう、中九州道は、僕にとって深い思い入れのある道路なのです。
全線開通はいつになるかまだわかりません。でも、幼い時に思い描いた夢が少しずつ現実になってきていてとても感慨深く感じます。
最後に
この連載を通して、国道57号の魅力をみなさんにお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
高校生の時は忙しくて、道路に対する興味も正直薄らいできていました。
けれども、今回の連載のために57号に何度も足を運んで、昔の道路好きの感覚をもう一度思い出しました。
特に、幼稚園の頃から好きだった東バイパスを歩いたときは、ちょっと感動してしまいました。
情報提供にご協力いただいた、国土交通省熊本河川国道事務所はじめ関係各所のみなさま、そして読者のみなさま、今まで本当にありがとうございました!