荒尾が舞台の映画が完成 有働佳史監督、撮影に込めた故郷への思い【カルチャールーム】
「女優は泣かない」 11/3(金)~先行公開
荒尾市出身で、テレビドラマや舞台の演出を手がけてきた有働佳史監督(39)の長編映画デビュー作『女優は泣かない』。キャンペーンで来熊した有働監督に、撮影秘話や作品に込めた思いを聞きました。
「僕は荒尾が本当に好きで、今回の映画は僕ができる地元への恩返し」と、てらいもなく語る有働監督。ご当地映画にありがちな名所・名物的なシーンはなく、物語に自然に溶け込むように県北の風景が映し出されています。
「役者同士の化学反応を信じ、撮影前に練習はしない」有働監督ですが、蓮佛美沙⼦さんと伊藤万理華さんが墓前で本音をぶつける長回しのシーンだけは練習したそう。「芝居がうまく成立し、良いシーンになった」そうで、見どころの一つと言います。
この映画は、2021年8月にクランクインするもコロナ禍で撮影2日目に中断。22年10月に再クランクインし、企画から完成まで6年かかりました。「映画のテーマは『リスタート』。何の因果か結果的には自分の人生を投影したような作品になった」と苦笑します。
撮影中断というつらい経験を乗り越える原動力は、「故郷で撮る」という強い思い。「地元で映画を撮ることを目標にこの仕事を始めました。確かに東京でも撮影できたけど、やはり地元で撮らないと僕にとっては意味がない」と言い切ります。「仕事と家族のどちらが大事かで悩んでいる人の心にも刺さるヒューマンコメディーです。多くの人の背中を押せたらうれしい」
(フリーライター 上妻祥浩)
Information
監督/有働佳史
脚本/有働佳史
出演/蓮佛美沙⼦、伊藤万理華、上川周作、三倉茉奈、升毅、宮崎美⼦、吉⽥仁⼈、浜野謙太ほか
【ストーリー】
女優としての才能に自信がない上にスキャンダルで仕事を失った梨枝(蓮佛)は、テレビの密着ドキュメンタリー撮影のため、家族とけんかし飛び出して以来、10年ぶりに故郷の町に帰る。しかし、スタッフはバラエティー班ADの咲(伊藤)だけ。崖っぷちの2人の前途多難な撮影が始まる…。
【上映館】
- Denkikan