【580号】カルチャールーム – 円盤で時間旅行 嶋田宣明 98回
リサイクルショップで遭遇 非売品のお宝ソノシート
今回はDJアルアル的な話をさせてください。全てのDJがそうだというわけではありませんが、レコード好きなDJは街なかのレコード屋さん巡りはもちろんのこと、ちょっと郊外のリサイクルショップのレコードコーナーなども、看板を見つけたら何かに吸い寄せられるように近寄っていくのが普通のこと。もちろん目的は「お宝発見!」。民謡・カラオケ・演歌など、自分の趣味以外のレコードをかき分けながら、無駄な努力に終わるかもしれない、遠く長いDIG(掘る!)という作業に没頭するのです。
そこには一時期、ご主人様のご寵愛(ちょうあい)を受けながらも役目を終え、後は廃棄されるだけのモノの哀れがあふれています。アイドルのジャケットに「ハートマーク」や「好き」「愛してる」の書き込みが躍っているもの。何度も歌ったのでしょう、歌詞カードに線が引いてあるもの。さらに女性の顔に鼻毛やひげを付けた、別れ際の仕打ちのようないたずら書きのものまで。
そんな中、ごくまれにですが公には販売されず、限られた目的だけのために製造されたレコードと出くわすことがあります。それは宣伝用だったり、自主制作のものだったり、…社歌などもありましたね。そこで今回ご紹介するレコードは、私が子どもの頃、TVから流れてきていたサンヨーテレビの「サンカラー 薔薇の歌」の宣伝用ソノシート。浜口庫之助作詞・作曲で本人が歌っているもの。掘って手にした時はなんだか昔の友達にあったような、うれしい気持ちになったのを覚えています。
※今回紹介したレコードは6月22日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。