「裏」と「表」の逆転現象 B面から火が付いた大ヒット曲【円盤で時間旅行123回 嶋田宣明】
レコードにはA面とB面があり、両面を聴くためにはひっくり返す必要があることを以前にも書きました。CD時代になってそのような儀式(作業)はなくなりましたが、CDシングルにも「カップリング」と呼ばれ、表題曲と別にもう1曲、B面的な曲が入っていることがよくありましたね。
レコード会社的には、A面はヒット狙い、B面は極端なことを言うと〝おまけ〟のような位置付けでしょうか。ただB面にはそのおまけ的な気軽さから肩の力が抜けた状態で制作された楽曲が多く、時々予想外の名曲に当たることがあります。「B面を侮るなかれ」―私の番組では時々そのB面の名曲(迷曲?)をまとめてオンエアすることがありますが、「なぜこんなに良い曲がB面なんだろう?」と、思うことが少なくないのです。
A面を差し置いてB面の方が大ヒットしてしまった例があります。それが今回ご紹介するGARO(ガロ)の3枚目のシングル。当初、A面「美しすぎて」で売り出されました。ところがレコード会社の思惑とは裏腹にラジオや有線放送で火がついたのはB面の「学生街の喫茶店」。この曲は、デビュー当初からヒットに縁のなかった彼らの最初のミリオンセラーとなり、グループの人気を不動のものにしました。
そしてその後、追加でリリースされたこのレコードは、A面とB面のタイトルが逆転していたのです。
※今回紹介したレコードは7月25日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(月曜・21時~21時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。