【498号】カルチャールーム – 円盤で時間旅行 嶋田宣明
人恋しい秋だから 映画音楽でも聴きませんか?
毎年、秋になると不思議と映画音楽を聴きたくなるのは、夜空にともる月明かりや、庭の片隅で歌い始める虫の音のせいでしょうか? 秋特有の“おセンチモード”がかなり関係しているようです。そうなると映画音楽も、スペクタクルモノの派手な音とは全く無縁で、どちらかというとセピアっぽい古い映画のサントラだったり、ラウンジ気分を上げてくれるメロディーに、ついついひかれてしまうのです。
今回ご紹介するレコードは、主演、製作、脚本、監督、音楽を愛川欽也が務め、1974年に公開された東宝系映画「さよならモロッコ」のドーナツ盤「愛のエトランゼ」。
キンキン(愛川)が私財を投げ打った上、借金もして作られた映画の内容はさておき、私がとても驚いたのはその音楽。彼が尊敬するチャップリンからの影響でしょうか、ヨーロッパの風景を思わせるような、ラウンジな雰囲気のおしゃれなソフトロックだったのです。
司会業やパーソナリティーとしてのキンキンしか知らなかった私にとって、彼の隠れた才能には、ただただ驚くばかりでした。今では、キンキン作曲のこの曲は、私がこの季節に編集するCD「映画音楽を聴きたくなった」の定番曲として、毎年登場するスタメン曲となっています。
※今回紹介したレコードは11月19日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。