日本近代詩の父 常識外れな歩き方【つんどくよんどく】
猫町
著者:萩原朔太郎
今年の秋分の日は9月23日。いよいよ秋本番です。涼しい気候というのは、それだけでなんと幸せなことでしょうか。
さて、秋にまつわる文芸作品は多数ありますが今回は、今年没後80年を迎えた「日本近代詩の父」こと、萩原朔太郎の『秋と漫歩』をご紹介したいと思います。たった4ページの掌編エッセーで、本書で読むことができます。
「四季を通じて、私は秋という季節が一番好きである」と始まります。「空が低く憂鬱」な春より秋が快適だし、趣味の散歩にも適しているから、と。ここまでは分かりますよね。ところが…。タイトルにある「漫歩」のゆえんに話が進むにつれあらわになるのは、朔太郎の変わり者っぷり。質も量も常識外れなその“歩き様”は、確かに「散歩」とは言えない域に達しています。創作と切り離せないものだったのでしょう。
表題作の小説『猫町』とも通ずるところがある内容なので、ぜひ合わせてどうぞ。『猫町』も秋のお話です。
紹介するのは
長崎書店
児玉 真也さん
書店員歴11年くらいです