社会からの圧力に苦しむ母たち【つんどく よんどく】
「母親になって後悔してる」
本書はイスラエルの社会学者が、アンケートで「母親になって後悔してる」と答えた23人のユダヤ人女性に行ったインタビューをまとめたものだ。大前提として言っておきたいのは、このタイトルは子どもを愛していないとかそういう意味ではない。後悔しているのは「母親」という役割になってしまったことに対してだ。
この本で語られる、イスラエルの社会が母親にかける圧力は強い。それは日本にもかなり共通するし、むしろさらにひどいのでは、と考え込んでしまう。
政治も社会も、母親と子どもに驚くほど冷淡なこの国。不都合な時には父親の存在は透明化されがちで、出産育児の責任は大体において母親に押し付けられる。「母性」という呪いのような妄信のせいで。
このタイトルの本を家に置き難い方もいらっしゃるだろうが(本屋が言うのもなんですが図書館って手も…)、母親になることについて、少しでも考えたことがあるならぜひ。救いになる人は少なからずいると思う。
紹介するのは
映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員