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心に空いた「猫の穴」埋めるために【つんどく よんどく】

著者:北大路公子 小学館 文庫判 715円

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ロスねこ日記

飼い猫が死んで、心にぽっかりと空いた「猫の穴」。この穴を、埋めることはできるのだろうか─。

さまざまな事情で生き物の飼育ができない著者は、植物を育て、食するというミッションに挑むことになる。

担当編集者にまず提案されたのが、シイタケの栽培。え? シイタケ? と読者は戸惑うだろう。著者も戸惑いつつ、初めてのシイタケ栽培を始めるのだが…。

北大路エッセーが単なる植物の成長日記にとどまるはずがない。けめたけ(シイタケ)、きせのさこ(マイタケ)それから、われ松(カイワレブロッコリー)。名付けのセンスが最高だ。そして、その生育過程を物語に見立てて描く筆力と妄想力の高さは、さすがとしか言いようがない。私は特に、ヒヤシンスのアイドルユニット「キタシンス」のエピソードを推したい。

最初からずっと笑わせてくれる本作。最後の最後に、ちょっと泣きそうになると思う。温かな結末をぜひ見届けてほしい。

紹介するのは

長崎書店 佐藤 美和さん
長崎書店 佐藤 美和さん

芸術書・雑貨担当。好きな動物はアザラシです。

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

著者:北大路公子 小学館 文庫判 715円

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この記事を書いた人

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