資金提供したい団体などに遺言で寄付 実行する際は専門家と十分に相談して【知りたい!お金の話】
【今回のスタディー】「遺贈寄付」という選択肢
今月初旬、「国立科学博物館がクラウドファンディングで1億円を募集」というニュースが流れました。”地球の宝”とも言える貴重な収蔵物を管理・保管するために膨大な光熱費を要するそうで、本年度の見込み額は3億8千万円に上るとのこと。目標額の大きさに驚かされましたが、いざ募集が始まると、なんと9時間余りで達成されたというではありませんか。さらに3日目には、5億円を超える寄付が集まっていたことにも胸が熱くなりました。11月5日の最終日までにどれだけの共感が集まるか、とても楽しみです。
話はすっかり変わりますが、誰にもいつかは訪れる「相続」もファイナンシャルプランニングの一分野です。相続とは、故人(=被相続人)の財産を受け継ぐことで、相続人となり得るのは、被相続人の配偶者、子(養子を含む)、親、兄弟姉妹に限られます。また、その優先順位と割合には基準(=法定相続分)が設けられています。
しかしながら実際は、必ずしも法定相続分通りに分けなければならないわけではありません。遺産分割協議を行い、相続人全員が同意すれば、どのように分配してもよく、遺言書により被相続人の意思が示されていれば、それに従って分配を行うのが基本です。
ここで、遺言書により遺産を譲ることを「遺贈(いぞう)」といいます。遺贈は法定相続人以外の相手を指定することもでき、遺贈先は個人でも団体でもOKというのが大きな特徴です。
そこで一つご提案です。何らかの理由で親族には財産を極力渡したくない人や、相続人がいない人(遺産は国庫に帰属)たちは、ご自身が資金を提供したい団体などに遺言で寄付を行う「遺贈寄付」という選択をしてはいかがでしょう。また、相続税対策と併せ、共感できる活動に資金を提供したいと考える人にも有効かと思います。
遺贈寄付には注意点がたくさんあります。実行する際は、専門家と十分に相談しながら進めてください。
遺留分や税に注意
お話しした通り、遺言書があれば、「基本的には」遺言書に従って相続手続きが行われます。一方、法定相続人には“遺留分”と呼ばれる最低限の相続を受ける権利が保証されており、遺言内容が遺留分を侵害している場合、法定相続人は遺留分までの財産を他の相続人などに請求することができます(遺留分減殺請求)。
遺贈を行う場合、遺贈相手(=受遺者)をもめごとに巻き込まないためにも、遺留分には十分配慮しておく必要があります。また、遺贈を受けたことにより、場合によっては受遺者に納税の義務が発生する可能性が考えられる点にも注意が必要です。
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