企業年金等に加入する会社員など対象 月額1万2000円から2万円に引き上げ【知りたい!お金の話】

【今回のスタディー】iDeCo掛け金の上限額変更
昨年12月から、企業年金等に加入する会社員や公務員に適用されるiDeCo掛け金の上限額が、従来の月額1万2000円から2万円に引き上げられました。この改正は対象の人にとって、老後に向けた資産形成の枠が広がると同時に、現役期間中の節税機会が拡大することを意味します。
まずは制度についておさらいを。iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」です。自分が拠出した掛け金を自分で運用し、60歳以降に一時金や年金の形で受け取ります。投資信託などで運用することにより、資金を増やせる可能性が広がるほか、所得税・住民税に関して
- 掛け金は全額所得控除の対象
- 運用中に生じる利益は非課税
- 受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除が適用
─といった優遇を受けられます。
(1)について、いくらぐらいの節税になるでしょう? 所得税率は個人の所得額によって異なりますが、例えば最低税率の5%適用の場合だと、住民税(一律10%)と合わせ、掛け金の15%が軽減されます。掛け金を月に8000円増やせば、節税額は年間で1万4400円増える計算です(所得が一定額以下の方はこの限りではありません)。
iDeCoは、税制優遇が手厚い代わりにさまざまな条件があります。例えば、公的年金や企業年金など他の年金制度と連動した上限額が設けられていることや、原則60歳まで資金を引き出せない─などです。
掛け金の上限額は表の通り。自営業者が最も高く設定されているのは、公的年金が国民年金に限られているためです。対して、厚生年金に加え企業年金や共済年金など職場の制度が充実している会社員や公務員は最も少ない設定となります。また、「企業型確定拠出年金」や「確定給付企業年金」などの加入者については、「5万5000円と事業主掛け金の差額」と「2万円」のいずれか低い方の額が掛け金月額の上限となる点にご注意ください。
iDeCo掛け金上限額
加入資格 | 上限(月額) |
---|---|
第1号被保険者/任意加入被保険者(自営業者・フリーランスなど) | 68,000円(国民年金基金・国民年金付加保険料との合算) |
第2号被保険者(会社員・公務員) | 企業年金等に未加入 23,000円 |
企業年金等に加入 55,000円と事業主掛け金の差額(上限20,000円) | |
第3号被保険者(専業主婦・主夫) | 23,000円 |
今後も引き上げの可能性
iDeCoの掛け金上限額については、近く、さらに引き上げられる方向で検討が進められています。
昨年末に政府与党から公表された「令和7年度税制改正大綱」によると、自営業など公的年金の第1号被保険者は、現行の月額6万8000円から7万5000円へ、サラリーマン(第2号被保険者)は、企業型との合計額で現行月額5万5000円のところ6万2000円へ引き上げられる方向です。また、企業型で事業主の拠出に上乗せして個人が掛け金を積み立てる“マッチング拠出”について、「事業主の拠出額と同額まで」とする制限も撤廃されることになりそうです。
現在会期中の国会で、法案の可決成立が待たれます。
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