不動産など分割が難しい場合に有効 注意点は専門家に相談の上、対策を【知りたい!お金の話】

【今回のスタディー】代償分割
「終活」という言葉がすっかり浸透し、相続に備える意識が高まっているのを実感します。片や「うちには、もめるほどの財産はないから」といった声も根強く…。いえいえ、もめ事に財産の多い少ないは一切関係ありません。むしろ「財産といえば自宅ぐらい」といった場合ほど備えが必要です。
ここで、相続人が姉妹2人(法定相続分、各2分の1)、相続財産はほぼ実家の不動産のみというケースを想定してみます。例えば「姉妹で実家を半分ずつ所有して2家族が同居」というのは現実的ではありませんよね。かと言って、「姉が実家(全財産)を相続し、妹は何も受け取れない」のも不満が出そうです。こんなときに活用されるのが「代償分割」という方法です。
今回の例に当てはめると、実家の土地や建物を姉がまとめて相続する場合、その代わりに姉から妹へ相応の現金を支払うものです。そうすることで、思い出が詰まった実家を売却せずに済むと同時に、納得感のある相続を実現できる可能性が高まります。一方で、不動産の価値をどう評価するかは意見が割れやすく、また、代償金を支払う資力が求められる点にも注意が必要です。
前提として踏まえておきたいのは、各相続人には法律上の権利とされる割合(法定相続分)が認められているものの、必ずしもその通りに分けなくてよいという点です。遺言書がない場合、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、全員が合意すれば、どのように分けても構いません。実際の相続では、預貯金のようにスパッと分けられる財産ばかりではありませんし、介護をしたとか、しないとか、相続にはさまざまな感情も入り乱れがちです。現実に即した調整が欠かせません。
資産規模を問わず、円満な相続を迎えるには生前の準備が鍵となります。資産評価、権利関係、税制面のことなど個別の状況により、起こり得る問題や注意点はさまざまです。専門家と相談の上、対策しておくと、より安心ですね。
![代償分割のイメージ 父から長女へ相続[財産を受け取る(実家の土地や建物)]、長女から次女へ代償金を支払う](https://spice.kumanichi.com/spice/wp-content/uploads/2025/08/spice_250926_p11_01.jpg)
![代償分割のイメージ 父から長女へ相続[財産を受け取る(実家の土地や建物)]、長女から次女へ代償金を支払う](https://spice.kumanichi.com/spice/wp-content/uploads/2025/08/spice_250926_p11_01.jpg)
生命保険金は遺産分割の対象外
生命保険金や会社から支給される死亡退職金などは、民法上、受取人固有の財産とされています。そのため、相続人同士で分け合う対象には数えませんし、相続放棄(家庭裁判所に申述して「相続人ではない立場」となる手続き)をしたとしても、受け取ることが可能です。
本文のケースでは、対策の一つとして姉を受取人とする生命保険に加入しておく方法が考えられます。これにより、姉から妹に渡す代償金を準備でき、資産の移行がスムーズに達成されやすくなるでしょう。
ただし、保険金や死亡退職金は、相続税の計算上は「みなし相続財産」として合算される点に注意が必要です。
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