【沖昌之の湯島日記④】「おばけさん」の威厳

(5回続き、毎週金曜日アップ) 猫写真家の沖昌之さん=東京都=は、熊本県上天草市の湯島をたびたび訪れ、見たことがないような島猫たちの日常をカメラに納めている。お気に入りの写真とエピソードを寄稿してもらった。
初めて出会った頃、彼「おばけさん」は線の細い臆病な猫で到底出世するタイプには見えませんでした。ところが、1年半が過ぎた頃には見違えるほど体が大きく堂々となり、対峙するオス猫を威嚇で追い払い、行動範囲もぐんと広がっていました。
そんな男らしいオス猫になった彼ですが、子どものことが気になるのか、時折様子を見にやってきます。
この日、屋根の上からさっそうと現れた彼は、まるで男の威厳を示すように電線に念入りに匂い付けをしていました。それでいてどこか心地よさそうな表情を浮かべているのが印象的でした。(2021年撮影)
おき・まさゆき 1978年神戸市生まれ。会社員を経て、2015年に独立。「ぶさにゃん」「必死すぎるネコ』シリーズなど著書多数
インスタグラム@okirakuoki
新著「これネコ それネコ?」(インプレス)

