【猫部長の業務報告④】もずくさんちの“きのこ3兄妹”

熊本県上天草市の離島・湯島で、約250匹の猫たちの健康管理に奔走する「湯島猫部」の部長・林愛子さんが、島猫にまつわるさまざまなエピソードをつづるブログです。
定期船発着所の東側にある宿泊施設「乙姫邸」周辺に、チョコレートのようなこげ茶色の珍しい毛色の猫がいます。2021年生まれの雌猫「もずく」。愛らしく元気な3匹の子猫たちを子育て中です。
もずくの子供たちは食べ物系の名前で、これまで「ハニー」、「リタ(マルゲリータ)」と「ロニ(ペパロニ)」のピザ兄妹、「ぺぺ」「ロン」「チーノ」のパスタ3兄弟がいます。
今年は、「しいたけ」(雌)、「しめじ」(雌)、「榎木日の丸」(雄)の、“きのこ3兄妹”です。「しいたけ」はママと同じこげ茶色、残りは白猫で、しっぽがちょっと短い方が「しめじ」、長い方が「榎木日の丸」です。
白い子猫には、頭に灰色っぽい斑点があることがよくあります。これは「キトンキャップ」と言われるもので、成長と共に消えていきます。人間でいう蒙古斑のようなものと言えば分かりやすいかもしれません。
この白2匹にもキトンキャップがあるのですが、「榎木日の丸」は灰色ではなく、なんとなく赤茶けた丸い模様だったのです。初めて見た時思わず「日の丸弁当か!」と突っ込みました。ということで、とりあえず今は「榎木日の丸」で、出世魚みたいに大きくなって模様が消えたら「えのき」に落ち着く予定です。


きのこ3兄妹はただいま人馴れトレーニングの真っ最中です。触れたり捕まえたりすることができないと、ワクチンも避妊去勢手術も治療もできないので、人馴れしていない子猫が現れると必ずトレーニングをやります。
最初は近寄るだけで逃げられるので、「ごはんですよー」と声をかけ、ごはんだけ置いて離れて見守るところから始めます。食べながら警戒してこちらをチラチラ見るうちは動かず、話しかけるだけにします。1週間ほどかけて少しずつ距離を縮め、こちらの存在に馴れてきたら、ごはんに集中している隙に少しずつ触れて、人の手に馴れさせます。
「しめじ」はいちばん食いしん坊で、ごはんを持っていくとすっ飛んで来るので触り放題ですが、「しいたけ」と「榎木日の丸」は警戒心が強めです。最近ようやく、全員触れられるようになりました。幼少期はその後の猫生を左右する重要な時期です。しっかりと信頼関係を築いていきたいところです。
ちなみにママのもずくさんは、手懐けられる気はさらさらないらしいので、おやつに釣られて寄ってきても、お手を触れないようご注意ください。しばかれます。


はやし・あいこ=1978年生まれ、熊本市出身。2019~2024年に湯島地区の地域おこし協力隊として活動し、湯島に移住。「人と猫との共生」を目指して、島内外のメンバーと「湯島猫部」を立ち上げ、猫の名簿作成、避妊・去勢やワクチン接種等の健康管理などさまざまな取り組みを続けている。
インスタグラム@cat_island_yushima.nekobu