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【猫部長の業務報告⑤】手荷物検査官「がんも」の秘密

手荷物検査官「がんも」

熊本県上天草市の離島・湯島で、約250匹の猫たちの健康管理に奔走する「湯島猫部」の部長・林愛子さんが、島猫にまつわるさまざまなエピソードをつづるブログです。

定期船乗降場近くのアコウ樹売店エリアに「お客様対応係兼、手荷物検査官」と呼ばれている猫がいます。 

2020年生まれの茶白の雄猫「がんも」。ライブカメラにもちょくちょく登場します。 

好奇心旺盛で、お客さんが大好き! そしてなぜか、かばんが大好き! かばんを見つけると必ずと言っていいほど、その上に乗るのです。乗り心地が良くてリラックスしているだけなのかと思いきや、チャックを開けて中から財布を抜き取ろうとしたところを〝現行犯〟で押さえられたこともあるので油断は禁物です。 

かばんに乗るがんも

こうして普段はお客さんと遊んでいるか、かばんに乗っているがんもですが、ちょくちょく売店エリアから離れた場所で目撃されることがあります。売店にやってくる島民が「こん猫は昨日○○におったばい」と次々と証言、「夜は魚釣り、早朝は大根畑で農作業をしている」という噂までささやかれるほどです。 

最初のうちは、私も売店の店主も、「そんなところに行くはずない。人違い、いや猫違いでしょ」と話してたのですが、そのうち証拠写真が上がってくるようになりました。 

「がんちゃん、大根畑で何してるの?」 

『…何のことですかね』 

「今年の大根の出来はどうですかね?」 

『どうでしょうね』 

シラを切り通すがんもとの攻防戦が続いていたある日、ついに私も、ありえない場所でがんもに遭遇しました。 

「…え? がんちゃん??」 

驚いて声を掛けると、私の顔を見て『やばい!!』という顔をして、全速力で走り去っていきました。 

いつもいる売店からかなり離れた島の中腹付近、急坂を登ると大根畑へつづく道の分岐点でした。 

10分後、売店に行くと、一足先に戻っていたがんもが何事もなかったかのようにあいさつしてきました。 

「いや、さっき会ったよね」 

『あれは…がんちゃんじゃないですね』 

「……」 

猫にだって、秘密のひとつやふたつ、持つ権利はあるはずだ。…そういうことにしておこう。それからは、変なところでがんもに会っても知らないふりをしています。 

夜釣りを楽しむところをパパラッチされたがんも

はやし・あいこ=1978年生まれ、熊本市出身。2019~2024年に湯島地区の地域おこし協力隊として活動し、湯島に移住。「人と猫との共生」を目指して、島内外のメンバーと「湯島猫部」を立ち上げ、猫の名簿作成、避妊・去勢やワクチン接種等の健康管理などさまざまな取り組みを続けている。

インスタグラム@cat_island_yushima.nekobu

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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