10月は骨髄バンク推進月間 骨髄ドナーについて正しく知ろう!
「骨髄バンク」という言葉を聞いたことはあっても、具体的な仕組みやどんな人が登録をして、登録後はどうなるのかなど、正しく知られていない部分も多いようです。10月は「骨髄バンク推進月間」。熊本市保健所や、実際にドナーとなった人に詳しく聞きました。
「誰かの命を救う」ための一歩
白血病や再生不良性貧血、悪性リンパ腫といった血液の病気の治療法として、健康な人(ドナー)の骨髄から、正常な血液を作る「造血幹細胞」を取り出し、移植する方法があります。現在、移植を待つ患者は毎年国内で2000人以上とされています。しかし、骨髄には「型」があり、適合する型のドナーからでなければ移植はできません。さらに型は数万通りあり、きょうだいでは4分の1の確率で一致するものの、親子間ではまれ、非血縁者では数百~数万分の1となります。
そこで、一般の人に広く骨髄の提供を呼び掛け、ドナー登録を増やし、マッチングさせる機会を増やすことが必要です。患者とドナーをつなぐ公的機関が「骨髄バンク」です。現在の登録者数は全国で約54万人。
しかし、移植希望者が実際に移植まで至るのは約6割といった現状があります。提供時には4日間程度の入院が必要となるため、家庭や職場の状況、経済的な理由などが関係しているのかもしれません。熊本市では、本年度からドナーに対する助成も始まっています。この機会に「誰かの命を救う」ための一歩を踏み出してみませんか。
教えてくれたのは
ドナー登録できるのは?
■骨髄バンクや骨髄などの提供について理解している人
■年齢が18歳〜54歳の健康な人
■体重が男性45kg以上、女性40kg以上の人
※実際に骨髄などを提供するのは20歳から
※健康状態などにより登録できない場合もあります
ポイントとなるのは、年齢に上限があること。55歳以上はドナーとしては「卒業」となり、毎年一定数が減ってしまいます。そこで、常に新規の登録者が必要となります。
ドナー登録の流れ
(1)熊本市内の登録窓口
日赤プラザ献血ルーム
東区長嶺南2‐1‐1
096-384-6727
下通り献血ルームCOCOSA
中央区下通1‐3‐8 5F
096-325-9218
※その他、献血バスなどの献血会場で登録できる場合もあります
(2)「骨髄バンク」を理解する
会場で提示されるパンフレットなどをよく読み、骨髄バンクの実情などを十分理解した上で「登録申込書」に署名し提出。会場でボランティアの相談員に詳しく話を聞ける場合も。登録費用は必要ありません。
(3)採血後・登録完了!
少量(2mL)の採血をして、登録は完了。後日、日本赤十字社から「登録確認書」が送付されます。登録後は日本のみならず海外の骨髄バンクを通して、型が合う患者を探すためのマッチングが行われます。
登録しても必ず適合するわけではありません。また登録して数年後から数十年後に連絡が来ることもあります。
骨髄の「型」が適合したら?[提供までの流れ]
(1)適合の連絡・確認調査・最終同意
日本骨髄バンクから適合の連絡と書類が届きます。書類を返送後、医師らとドナー候補者との連絡調整を行う「コーディネーター」と面談。医師も入った話し合いが行われ、候補者と家族を含めて「最終同意」を確認します。
(2)入院・提供
医師による健康診断・検査などが行われた後、骨髄もしくは末梢血幹細胞を採取するための入院が必要となります。一般的に検査のための通院や入院は合わせて1週間程度。通院、入院の費用はかかりません。
(3)数日内に退院
採取された骨髄・末梢血幹細胞は患者さんの元へ。ドナーは採取後、数日内に退院し、日常生活に戻ることができます。
熊本市かたドナーに1日2万円の助成金
熊本市には、骨髄などを提供するドナーを対象とした助成金があります。金額は通院・入院1日あたり2万円(上限14万円)。「仕事を休むことで収入が減る」といった理由で提供をためらう人を後押しするのが目的です。
詳細は、熊本市のページで確認ができます
[体験談]ドナーとして実際に骨髄を提供した方に聞きました
自信が生まれ、人生観が変わった
八代市在住 稲田裕美子さん
「人のためになれば」といった軽い気持ちで登録し、3年後に適合通知が届きました。最初は不安があったものの、コーディネーターの丁寧な対応で提供を決意。実際に採取した際の痛みはほとんどなく、気が付いたら終わっていたという感じです。提供後は「自分も他人の命を助けるお手伝いができた」という自信が生まれ、人生観も変わりました。この経験を生かし、献血会場などでドナー登録を勧める相談員のボランティア活動に取り組んでいます。