専門家に聞く! 目の健康と、おすすめのメガネの選び方
スマホやパソコンなど近い距離を見続けることが多い現代。10月1日の「眼鏡の日」、10日の「目の愛護デー」を前に、読者スタッフが目の健康とメガネの選び方について学びました。
見えにくい?老眼? と感じたら専門家への相談がベスト
30~40代は老眼をはじめとする目の衰えを自覚し始める時期でもあります。目の健康やメガネ選びの基本、注意点などを専門家に教えてもらいました。
目の健康
加齢と共にピント調節難しく
老眼は、遠くの物は見えるのに近くの物がぼやけたり、ピントを合わせにくかったりする症状で、早ければ30代で自覚する人もいるそうです。馬渡祐記院長は「目のピント調節を担う水晶体の弾力性が年齢と共に損なわれることが原因」と説明します。
近くの物を見る時は水晶体を厚く変化させることでピントを合わせます。加齢で水晶体の弾力性が落ちて固くなると厚みを変化させることができず、手元が見えにくくなります。
硬くなった水晶体は元に戻すことはできないので、メガネやコンタクトで視力を補うのだそう。馬渡院長は、「それぞれに長所・短所がありますが、メガネは目に与える負担が軽い」と教えてくれました。
教えてくれたのは
院長 馬渡祐記さん
お問い合わせ
まわたり眼科 形成外科クリニック
[Q]定期的に検診を受けた方がいい? 受診すべき症状は?
[A]緑内障は自覚症状なく進行する場合も 定期的な検診を
眼圧の異常で視神経が傷み、視野が狭くなる「緑内障」という病気があります。自覚症状に乏しく、症状が出た頃にはすでに進行していることが多いため定期的な検診をお勧めします。40歳以上の20人に1人は緑内障に罹患(りかん)しているという報告もあります。40歳以上で近視が強い人は年1回程度、検査を受けた方がいいでしょう。中でも糖尿病や高血圧などの持病がある人、家族に緑内障の患者がいる人は定期的に検診を。
[Q]視力は子どもに遺伝しますか?
[A]近視は遺伝要素と環境要素があります
近視は遺伝要素と環境要素があり、親が近視の場合には子どもが近視になりやすいという報告があります。近視は、遠くの物をはっきりと見ることが難しい状態で、眼球の前後軸が長いために焦点が網膜の前で形成されることが原因です。眼球の前後軸が長い遺伝子は子どもに受け継がれる可能性が高い一方で、習慣による環境要素も大きく、勉強やゲームなど近くを見過ぎることには注意が必要です。時々は遠くを眺めた方がいいでしょう。
これってウソ?ホント?
視力に関する素朴な疑問を馬渡院長に思い切って聞いてみました。
遠くを見るといい?
ホント 近い所を見続けると近視になりやすい
近い所を見続ける時間が長くなると近視になりやすいので、時々遠くを見た方がよいでしょう。無理に目を凝らして遠くを見る必要はなく、一般的には目を疲れさせない程度に遠くを見ることが重要です。
ブルーベリーや魚の目、サプリは目に良い?
どちらともいえない バランスの良い食事の方が大事
緑黄色野菜などに含まれる「ルテイン」は加齢黄斑変性症(中心視野が失われる病気)の進行を抑制するという報告があります。目に良いと言われている成分もありますが、バランスの良い食事を取ることの方が大事です。
前髪が目にかかると視力は低下する?
ウソ 網膜に映る光の焦点の位置や網膜自体の健康状態に影響
視力は網膜に映る光の焦点の位置や網膜自体の健康状態に影響されるため、前髪が目にかかるだけで視力が変わることはありません。視力の変化が感じられる場合は、眼科医に相談することをお勧めします。
眼鏡の選び方
似合うメガネはフェイスラインとフレームのバランスが重要
メガネは、視力を補正する矯正器具。メガネ店では目の健康を第一に、その人の使用目的に合ったレンズ・フレームの選定のため、細やかに利用状況を聞き取って一番合ったメガネをお薦めしています。
眼鏡作製技能士の資格を持つ佐川真店長は「自分のフェースラインを知ることがフレーム選びのポイント」と話します。フレームの縦幅は、眉から顎までの長さの3分の1以内に収めるとバランスがいいそう。また、目とレンズの距離や位置、角度も重要です。佐川店長は「合わないと見え方が悪くなったり、気分が悪くなったりすることがあります。専門家によるフィッティングで調整を」と話しています。
教えてくれたのは
眼鏡作製技能士
店長 佐川 真さん
お問い合わせ
株式会社ヨネザワ本店
[Q]目に優しいメガネはありますか?
[A]ピント調整をアシストするレンズを使ったメガネを
ピント調整をアシストするレンズを使ったメガネは、目への負担を軽減してくれます。このレンズは、視線や距離に応じて度数が変化する設計で、遠くも近くも違和感なく見ることができ、ピント合わせがスムーズにできるようにサポートします。メガネのかけ外しの煩わしさもないのでお薦めしています。
そのほか、眼球の中の水晶体が白く濁る「白内障」を引き起こす原因になる紫外線をカットしてくれるレンズを選ぶことも重要です。
[Q]メガネに寿命ってあるのですか?
[A]平均3~4年ほど。定期的に視力のチェックを
平均3~4年ほどです。視力変化による寿命と、メガネに使われている素材の劣化による寿命があります。視力変化には個人差があるため、定期的に視力をチェックすることをお勧めします。軽くて割れにくいプラスチック製のレンズやフレームは、熱や温泉成分に弱いというデメリットがあります。また、金属が使われている場合はさびが発生することも。そのため、屋外や熱にさらされる時間が長いメガネは寿命が短くなる恐れがあります。
[Q]似合う眼鏡を作りたいとき、どう伝えたらいい?
[A]使用する状況や場所、どんなイメージに見せたいか、を伝えて
使用する状況や場所、どのようなイメージに見せたいかなど希望を伝えてください。何に困っているのかが分かれば、具体的な解決策を提案できます。
ちなみに、「似合う」とはメガネのデザインの美観ではなく、使う人の顔と、メガネの調和によってかけたときの方がイメージアップした状態を言います。メガネをかけることで輪郭を補正したり、小顔を演出したり、顔の立体感を表現したりすることもできます。
長持ちさせるメガネの扱い方
お手入れ方法
メガネに付いた汚れは水洗いし、メガネ拭きを使って拭きます。汚れがひどいときは中性洗剤で洗ってください。※自然乾燥はさせないように
保管方法
メガネのつるは左→右の順番で畳み、ケースに入れて保管します。無理な畳み方や入れ方をすると破損する原因になります。
不要なメガネの処分方法
メガネ店で引き取り、部品を再利用するケースがあります。引き取り可能かどうかは各店舗にお尋ねを。