老犬介護で学ぶ「命の尊さ」【村上美香のヒトコトつれづれ】
老犬介護をしていて寝不足の日々が続いています。19歳になる愛犬はほぼ寝ていて、床ずれが起きないよう、数時間ごとに体勢を立て直すのですが、すぐにひっくり返ってしまいます。
夜中にてんかんを起こすことも増えて、動物病院で調べてもらうと、肝不全と腎不全だと診断されました。発作を止める薬を投与すると、そのまま昏睡(こんすい)状態になるらしく、獣医師と相談した結果、今は弱めの薬を飲ませて様子を見ています。
気を抜けないのが排せつ。痩せすぎておむつをしても隙間から漏れてしまうため、愛犬がソワソワするたびにトイレまで抱え、お尻を支えて排せつを促しています。外出から戻り、トイレの近くで汚物にまみれて倒れているのを見ると、なんとかして自分で行こうとした努力が垣間見えていとおしくてたまりません。
フードはほとんど食べませんが、「ねっとり系」のサツマイモだけは、少しだけ食べてくれます。何か少しでも食べてくれるととってもうれしいし、朝、目覚めてくれるだけで幸せを感じ、抱きしめてしまいます。
19年間、どんな時も一番そばで私を愛してくれたことへの恩返しの時間。以前、老犬介護の取材であるお坊さんが話していたのは「生きものは全て、老いて、機能が衰え、やがて命果てるもの。動物は人間よりも短い時間の中で、私たちにそれを見せてくれるありがたい存在です」ということ。今、心からそれを感じています。最期の日までできることを数えながら寄り添っていきたいです。