長崎次郎喫茶室・熊本市中央区│文豪たちも訪れた「明治7年」創業の文化財内にある喫茶室

熊本城築城時、加藤清正公がつくったとされる城下町のひとつ、「新町」。
その風景の一つとして長く愛されてきた元「長崎次郎書店」2階にあるのが、今回ご紹介する「長崎次郎喫茶室」です。
国の登録有形文化財であり、著名人達も訪れたスポットで、惜しまれつつ閉店した1階の元書店もこの9月よりイベントスペースとして再始動!
今回は、おなじみの風景として長年地域に溶け込んでいる長崎次郎喫茶室の魅力を紐解きます。
熊本ならではの風景の一つ 旧「長崎次郎書店」と喫茶室
新町交差点や熊本市電の「新町」電停付近を通るときに見えるこの風景。
とても趣があり、いつ見ても思わず足を止め、眺めておきたくなります。


それもそのはず!この建物は丸の内赤煉瓦オフィス街の設計などでも知られる建築家 保岡勝也氏により、今から150年以上前の明治7年(1874年)に建てられた「登録有形文化財」です。


熊本の風景を形作る素敵な建物として、平成7年(1995年)には熊本市の「景観形成建造物」、令和2年(2020年)には「歴史的風致形成建造物」の第一号にも選ばれています。
1階にあった明治7年創業の「長崎次郎書店」は、熊本に初めてできた書店として長年愛されてきましたが、昨年、惜しまれつつ閉店。
2階の喫茶室は今も営業しています。


中は壁の白と黒光りした木のコントラストが美しい、タイムスリップしたかのようにクラシカルな店内。


大きな窓からは新町交差点が見下ろせ、そこを往来する市電や車、人々を眺めながら、優雅に過ごすことができます。


喫茶室で過ごす時間を美しく彩る食器やメニュー
今回いただいたのは店長おすすめの「次郎風フレンチトースト」930円。


たまごとミルクがひたひたに染みたやさしい甘さのフレンチトーストは、内側がとろっとした食感。
外側はほんのり香ばしく、濃厚な甘さのメイプルソースがよくあいます。


「水出しアイス珈琲」(950円)は1日限定15杯。


スペシャルティ豆で長時間かけて精製された、苦すぎず飲みやすいすっきりとしたコーヒーで、真鍮製のグラスで提供されます。このグラスの見た目の美しさがこの空間にぴったりです。
そして、喫茶の王道「クラッシックプリン」は810円。


食感は固めで、カラメルのほろ苦さとプリンの甘さのバランスがちょうどいい、喫茶店好きを唸らせる味も見た目も二重丸◎のプリンです。


店内散策!名だたる文豪も訪れた喫茶室
長崎次郎喫茶室は、雰囲気や料理だけではありません!
もう1つ大きな魅力があります。それは名だたる文豪が訪れたことがあるということ!


まず1人目は、明治から大正にかけて数々の小説を発表した「森鷗外」。
自身の著書で同店に訪れたと残しているそうで、その一篇が店舗への登り口付近に掲げてあります。


2人目は「村上春樹」さん。入口そばの壁にはなんと、同氏が訪れた時のサインが残っています。


キッチン上の棚には、大正や昭和の年号がかかれた綴りがずらり。
こちらは喫茶1階にあった「長崎次郎書店」が当時、教科書の受発注もしていて、これらは、その時の貴重な台帳なのだとか。


当時、熊本にはここにしか書店がなったため、熊本で教鞭をとっていた夏目漱石も訪れたことがあるかもしれないと言われています。
物販コーナーにも注目!


「長崎次郎喫茶室」オリジナルロゴのコースターや紅茶や焼き物など種類も豊富なのですが、
中でも気になったのが、4種類のオリジナルブレンドのコーヒーのドリップバック。


「長崎次郎喫茶室」の外観の「長崎次郎ブレンド」や、「熊本城」やその初代城主であり新町の町並みを形作った「加藤清正公」が描かれその愛称が商品名となった「清正公さん(せいしょうこうさん)」ブレンド。
書店に訪れた文豪森鴎外の「鴎外ブレンド」や長崎次郎書店を訪れたかもしれない「漱石ブレンド」もあります。
いずれもお土産や来店の想い出によさそうです。
読書の秋にもぴったり!店内の書籍は読み放題
店内にある書籍は、自由に読み放題!


ここに訪れたことがある村上春樹さんの作品「ノルウェイの森」もありました。


赤と緑の装丁が魅力的。村上春樹さんに想いを馳せ、同氏の作品を読みながら過ごすのも素敵ですね。
1階の書店も2025年9月から、イベントコーナーとして再始動!
長崎次郎書店3代社長 長崎圭作さんにお話しをお伺いすることができました。


「長崎次郎書店は、明治7年(1874年)創業ながら、そのわずか3年後の明治10年(1877年)西南戦争にて全焼。その後、立て直すも昭和50年(1975年)には火事、平成28年(2016年)には熊本地震にあうなど、度々災難に会いながらも、立ち直ってきました。
その書店は昨年で閉店したけれども、地域に貢献できる場所でありたいという想いは変わらず。書店だったスペースを2025年9月からイベントコーナーとして活用することにしました。すでにいくつかイベントの予定があるので、ぜひ楽しみにしていただきたい!」とのこと。
こちらは旧「長崎次郎書店」跡に並べられた椅子。このように、様々なイベントに活用でき、貸し切り等も行われるそうです。


2階の喫茶室はもちろん、再スタートした1階書店跡の今後も楽しみですね♪
最後に、唐突ですが、同喫茶室に関するトリビアをひとつ。「長崎次郎喫茶室」の営業は、11時26分~18時なんです。
なぜ、キリの悪い「26分」からなのでしょう!?
……それは、「長崎次郎喫茶室」の「次郎(26)」にかけてあるからでした!笑
長崎次郎喫茶室 店舗情報
住所 | 熊本市中央区新町4-1-19 |
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TEL | 096-354-7973 |
Webサイト | https://nagasakijiro.jp/ @nagasaki_jiro |
営業時間 | 11時26分~18時 |
休業日 | なし |
席 | 35席 |
駐車場 | 新町周辺のタイムズ駐車場と提携。2,200円のお会計ごとに100円分のサービス券 ※詳しくは店舗まで |