熊本で世代を超えて愛される「甘酒まんじゅう」の名店4軒を巡る

店の軒先から立ち上る湯気と、ほんのり甘い香り。熊本で世代を超えて愛される和菓子といえば「甘酒まんじゅう」です。
今回は、熊本で長年親しまれてきた老舗4店の甘酒まんじゅうをご紹介します。こだわりの生地に手作りのあんが詰まったものや、揚げて香ばしく仕上げたものなど、どのお店も個性と歴史が光ります。
郷土の味として、お土産やおやつにぴったり。後半では、熊本で甘酒まんじゅうが親しまれる理由や歴史もご紹介します。
ニコニコ饅頭(南阿蘇村)


駅前で迎える手作りひと口まんじゅう
JR豊肥線と南阿蘇鉄道の立野駅の前にある『ニコニコ饅頭』は1907(明治40)年創業の老舗です。
熊本地震直後はまんじゅう作りも困難な状態になりましたが、それでも約1カ月後には店舗外での販売を再開、2018年には店舗での販売も復活しました。23年の南阿蘇鉄道の全線運転再開時には多くの人が訪れ、現在、ようやく地震前の日常が戻ってきたそう。
ひと口サイズの「ニコニコ饅頭」は、無添加・手作りにこだわった甘酒まんじゅうで、優しい甘さのこしあんを一個一個手包みしています。多い日には一日に100パック(8個入り)以上売れることもあるそう! 小さなお子さんでも食べやすいサイズで、列車の中でのおやつやお土産にもピッタリ。先代から受け継いだ懐かしい味を、ドライブがてら、お店で味わってみて。








ニコニコ饅頭
住所 | 阿蘇郡南阿蘇村立野1576 |
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TEL | 0967-68-0104 |
営業時間 | 8時~17時30分 |
休業日 | 火曜 |
藤ひろ菓舗(熊本市東区新外)


職人技が生み出す豊かな香りと甘さ
「甘酒まんじゅうは香りを楽しめる和菓子」と『藤ひろ菓舗』の店主・藤﨑さんは話します。三世代で楽しめる和菓子を提供し、地元に愛されている店です。
創業当初からの看板商品「甘酒まんじゅう」は、数種類の甘酒をブレンドした生地が特長。ふんわり広がる優しい香りと、季節に応じて微妙に甘さを調整する職人技が光ります。
さらに、まんじゅうに衣を付けて香ばしく揚げた「揚げまんじゅう」も、もう一つの名物。外はカリッ、中はしっとりで、まんじゅうの新しい楽しみ方を教えてくれます。




藤ひろ菓舗
住所 | 熊本市東区新外3-1-56 |
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TEL | 096-367-3337 |
営業時間 | 9時~売り切れ次第終了 |
休業日 | なし |
一休本舗(熊本市中央区水前寺)


自家製にこだわった看板商品
1963(昭和38)年創業、県内で現在8店舗営業している『一休本舗』。“日常に寄り添った和菓子”をコンセプトにした種類豊富な和菓子は、多くの県民から愛されています。
中でも「甘酒万十」は看板商品。生地に、糀(こうじ)をはじめとする厳選素材で仕込んだオリジナルの甘酒を使い、ふわっとした食感と優しい口当たり。自家製あんは、粒あん・こしあん共に程よい甘さで、生地との相性抜群。ほっとするような味わいです。




一休本舗
住所 | 熊本市中央区水前寺6-10-27 |
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TEL | 096-383-0606 |
営業時間 | 8時30分~17時30分 |
休業日 | なし |
坪井饅頭島田商店(熊本市中央区坪井)


街なかで愛される老舗の逸品
街なかの老舗まんじゅう店として地元の日常に寄り添ってきた『坪井饅頭 島田商店』は創業70年以上。創業間もない頃から作り続けているのが「甘酒万十」です。
特徴は“つぶしあん”で、小豆を朝から3~4時間かけてじっくり炊き上げ、豆の食感をほんのり残しています。季節に応じて甘さを微調整したり、生地に自家製の甘酒で風味付けをしたりするなど、長年の経験が詰まった、同店でしか出合えない逸品です。




坪井饅頭 島田商店
住所 | 熊本市中央区坪井1-9-13 |
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TEL | 096-343-7241 |
営業時間 | 8時~15時(売り切れ次第終了) |
休業日 | 日曜、祝日 |
甘酒まんじゅうが熊本に浸透した理由
甘酒まんじゅうの歴史について、一休本舗代表取締役 髙木 功一さんに聞きました。
ソーダまんじゅうや酒まんじゅうがある中、熊本では甘酒まんじゅうになじみ深いのはなぜですか?
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熊本の城下町で150年以上営業していた「慶徳饅頭(現在は閉店)」の影響が大きいと思います。甘酒まんじゅうを細川家に献上していたこともあり、そこから庶民に広がっていったのではないでしょうか。紅白の色付けでお祝いなどにも用いられるようになり、定着したのだと思います。熊本の人が甘いもの好きということもあるかもしれません。
なぜ甘酒が使われたのでしょうか。
甘酒は平安時代以前から、特に夏に冷やして飲まれていたと聞いています。その甘い味はもちろん、栄養価が高いということもあり、まんじゅうの生地に練り込まれているようです。
教えてくれた人


すぱいす読者投稿:甘酒まんじゅうにまつわるエピソード
みんな大好き「慶徳饅頭」
親戚が集まる時などに、決まって母と買いに行っていたのが電車通りの元祖と本家の「慶徳饅頭」でした。あの甘~い蒸した生地の香りとあんこはみんな大好きで、ペロッとなくなっていました。(北区・50代・コニー)


運動会後の恒例行事
運動会の後、小学校近くの店で甘酒まんじゅうを買って帰るのがわが家の恒例行事でした。「今年は赤組が勝った」「白組が強かった」と言いながらパクパク。疲れた体に染み渡るおいしさは、懐かしい思い出です。(南区・40代・かなっぺ)


紅白同じ数だけ買った祖母
必ず紅白同じ数の甘酒まんじゅうを買ってきていた祖母。私は必ずピンクを選ぶので、「なら、ばあちゃんは白にしようかねぇ」と言いながら一緒に食べていました。今でも私は甘酒まんじゅうを紅白同じ数だけ、買っています。(北区・40代・あじさい)


ハムスターの”しょっぱい”思い出
飼っていたハムスターが生んだ赤ちゃんを、ペットショップに売りに行った帰り道。そのお金で父が買った甘酒まんじゅうは、当日小学生の私と妹には、涙で少ししょっぱかった…。(東区・40代・りくママ)



