熊本のピザ専門店オーナー4人が語る「 私がピザを作る理由」
ピザは大人も子どもも大好き。生地の発酵方法やトッピングする食材、火の入れ方などの違いから、その店ならではの味が生まれます。そこに込めた店主のこだわりとは―。県内で腕を振るう職人に聞きました。
“極みの味”を追い求めて 店主たちのストーリー
異なる職業から熊本でピザ専門店のオーナーとなった4人にピザ職人になろうと思ったきっかけやこだわりについて語ってもらいました。
PIZZERIA AVENTO(ピッツェリアアヴェント・荒尾市) 薮内 優さん(39歳)
生地の感触、炎の安らぎを感じながら さらに納得いく味を追求したい
「予約の時間を逆算し、最高の発酵状態の生地を使ったピザしか提供しない」という薮内さん。関東の大学を卒業後、百貨店や不動産の仕事を経て、熊本地震後に地元に戻ることを決意しました。たどり着いたのが当時、荒尾にはなかった薪(まき)窯で焼く本格ピザ店の経営でした。
自宅の庭に窯を造り、ひたすらピザの研究に没頭。「生地に触れ、炎を見ているだけで幸せを感じられた。そこでピザ作りの魅力にどっぷりはまってしまった」と振り返ります。
何事も、自分が納得しないと気が済まない性分。生地の出来上がりに納得いかなければ予約を断ることも。ピザにのせる野菜やチーズなどの食材も必ず、栽培・生産現場を見てから契約するといいます。
「自分のピザはまだ62点。終わりが見えないからこそ、おもしろいのです」
焼き加減を秒単位で調整し、生地の香ばしさと軽さを出す職人技
PIZZERIA AVENTO(ピッツェリア アベント)
住所 | 荒尾市上井手104 |
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TEL | 0968-82-8444 |
営業時間 | 11:30~15:00(土・日曜、祝日は11:00~)※生地がなくなり次第終了 ※予約可 |
休業日 | 金曜 |
駐車場 | 10台 |
@pizzeriaavento |
PIZZERIA&CAFE「堀川ピッツァ」(菊陽町) 福島 啓介さん(45歳)
30歳で飛び込んだ料理の道 本場ナポリの味を熊本で
農家の長男として生まれ、料理上手な母の背中を見て育った福島さんは、幼少期から料理の世界への憧れがありました。しかし就いたのは半導体関連の仕事。現場から管理職になったが、モノ作りの喜びを忘れられず、30歳で料理の道に飛び込みました。
熊本地震をきっかけに、当時勤めていた店が閉店。自分の道を見極めるために向かったヨーロッパで文化や食べ物に触れると、「本場のピザの奥深さに衝撃を覚え、“これだ”と決意しました」。どうしても本場ナポリの味を習得して帰りたいと、郊外の店に飛び込みで修業を懇願し帰国後の2017年、地元菊陽町に店をオープンさせました。
直伝のレシピは、熊本の風土に合わせて発酵や焼き時間を変えるなどし、「もちもちの食感を残しつつ、香ばしさの際立つピザに仕上げています。自分が作ったピザで喜んでくれる人の顔を見るのがやりがい」と話します。
フランスで食べたキャロットラペのおいしさを地元で再現!
PIZZERIA&CAFE「堀川ピッツァ」
住所 | 菊池郡菊陽町原水5193‐1 |
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TEL | 096-237-6591 |
営業時間 | 11:00~15:00、18:00~21:00 ※予約可 |
休業日 | 火曜(不定休あり) |
駐車場 | 10台 |
@horikawapizza |
ひらやま pizza (山鹿市) 松岡 静也さん(54歳)
完全無添加の”おいしさ”を多くの人に味わってほしい
高校の体育教師だった松岡さんは、2015年に一念発起し、経営者になる夢を実現。食に厳しかった父から燻製(くんせい)の技術を受け継ぎ、完全無添加の素材を使ったハムやベーコンの製造・販売をスタートさせました。
「豚肉は遺伝子組み換え飼料を使わず、抗生物質を一度も投与されていないもの。塩は天草の天然塩を使用しています」。信頼できる食材を厳選し、原料にとことんこだわった商品が完成。この生ハムやソーセージを、より多くの人に食べてもらう場所として加工場の隣に開いたのが、ピザ店でした。「今後も、食べるお客さんの立場に立った安心・安全な商品を提供していきます」
山鹿栗を使ったデザートピザにもこだわり、「県産牛乳で作ったミルクジェラートを栗ペーストで包んでみました」と松岡さん。おいしさを追求する姿勢に、妥協はありません。
1枚に5〜6個の和栗を使用。山鹿の栗のおいしさを存分に味わって!
ひらやま pizza
住所 | 山鹿市平山5427‐1 |
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TEL | 090-2853-5628 |
営業時間 | 11:30~14:45(土日祝は、~16:30)※入店後90分、予約可 |
休業日 | 火曜、第1・3月曜 |
駐車場 | 25台 |
@hirayamashizen |
焚き火&ピザ もやし ( 御船町)村山 聖さん(33歳)
自家製の薪と、兄が生産する小麦粉を生かす
実家の薪製造・販売会社の新規事業に携わる村山さん。農機具を扱う前職で、もみ殻の処分に困っている農家の声を多く聞いていました。
「農家が抱える課題を解決する事業をできないか」と考え、もみ殻を使った薪の製造を始めました。販売先の拡大に苦戦する中で追い打ちをかけた熊本地震。「その時、御船には人が集い語らえる場が少ないことに気付いた」と言います。
気軽に人が集える場所づくり、薪の性能をより実感してもらうための実演の場、そして兄の作る小麦を生かせる場としてたどり着いたのが、ピザ店でした。「稲刈りが続く11月初旬まで、薪の製造に集中するため店は休業します」。最高の薪で焼かれたピザを食べられる日が待ち遠しいですね。
兄が生産する小麦粉「ミナミノカオリ」は、引きが強く、香りも立ちピザ作りに最適
焚き火&ピザ もやし
住所 | 上益城郡御船町辺田見486‐5 |
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TEL | 090-7466-4907 |
営業時間 | 11:00~14:00 ※前日までの予約可 |
休業日 | 月曜、木曜(不定休あり) |
駐車場 | 3台 |
@moyashi_tkb |
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ショウガの生産量九州一を誇る八代市東陽町にある廃校を活用した「KAWAMATA LAB.」では、冷凍ピザなどを製造、ECサイトで販売しています。ピザには、フードロス削減に貢献するために規格外の野菜を使用。町特産品のショウガや県産大葉などを使ったこだわりピザもメニュー化されています。
KAWAMATA LAB.
TEL | 0965-65-2165(トーヨー) |
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Webサイト | https://www.toyo-vv.shop/ |