あの春の厄介者を主役にした 花ならぬハナSONG

桜の便りが聞こえてくる季節になりました。今年の春は、日本にとっても特別。いよいよオリンピックに向けた、聖火ランナーの出発に重なってくる時期でもあります。まだまだ油断のできない“今”ではありますが、いくつかの困難を乗り越えながら、ぜひ無事にその日を迎えられることを祈るばかりです。

さてそんな花の季節、聞いただけで鼻がムズムズする、あの春の厄介者を題材にした沢田亜矢子のレコードがありました。沢田亜矢子といえば『火曜サスペンス劇場』の常連だったベテランの女優さんですが、今回ご紹介するのは、そんな彼女が残した「花粉症」というヘンテコリンなタイトルのシングル盤。いろいろなレコードを見てきた私ですが、花は花でもさすがに花粉症を題材にしたレコードは、これしか見たことがありません。ただし歌詞の内容は、自分の彼が別の女性の放つ花粉(色香?)に誘われて逃げられてしまうという、現代の花粉症の症状とは全く関係のない話。

実は、このレコードが発売されたのは1982(昭和57)年の3月。日本で花粉症が急増したのは平成に入ってからといわれていますので、この歌詞が書かれた年には、まだそれほどまん延していなかったのではと考えられます。それゆえに、女性が放ついわばフェロモンのようなものとして表現された「花粉症」。今やおよそ国民の4分の1がその症状に悩まされているという国民病は、昭和57年にはまだ女性のパフュームのような存在でしかなかったのかもしれませんね。

※今回紹介した曲は3月23日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。